夢診断 (講談社現代新書 613)

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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061456136

感想・レビュー・書評

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  • ユング心理学を基にした夢分析が行われている。ユング心理学なるものは、科学主義が広く普及した現代においては危なっかしいものだとして、心理学自体においても軽視されつつある分野なのではないかと思われるが、しかし、紐解いてみると必ずしもそうとは言えないところがある。確かに、ヒトってやつは誰しもが根源的にはとあるなにかを共有しているのではないかという思想は必ずしもオカルトじみているとは限らない。なぜならば、神話や古典、宗教などにには必ず共通項が見受けられるからである。そこに記されていることが実在するかどうかは別として、そうしたことを「考える」「意識」は「実在」していてもおかしくはない。そしてそれこそが「集合無意識」で、それを実際に枠にあてはめたものが「元型」となると解すれば、確かにこの分野も軽視していいものではなくなる。

    無論、神話や古典、宗教などが取り入れられているという点にひかれる人はとりわけ多いと思われる。例えば、日本人は宗教そのものを信仰しようとする意思は低いのだが、一種のエンターテインメントとして宗教を知ろうとする探究心は強いという傾向があろう。なので、日本でユング心理学が一定の支持を受けることに欧米からすると却って疑問を抱くのかもしれないが、とはいえ、ユング心理学がやはり面白いというのも、また一つなのだろう。

    本著においては、元型として例えば男性ならば、シャドウ(自らの影、闇=同性)、ペルソナ(自らの仮面、建前=同性)、アニマ(象徴的な女性)、グレートマザー(母なる存在)として捉える。女性ならば、アニマがアニムスになり、グレートマザーがオールドワイズマンとなり性別が転換される。これはユング心理学的に夢を判断するための取っ掛かりみたいなものである。なので、例えば、男性ならば、即座に影か仮面にされてしまうという点に問題点も感じるかもしれないが、それならばそれで別の解釈を加えればよいのである。これはあくまでユング式でしかないのだから。そもそも、ユング式を本気で覚えようと思ったら疲れてしまう、なので、別にユング式に拘る必要はないだろうとは思うが、取っ掛かりとしてこういう鋳型を用いるとわかりやすいというのは確かにその通りだ。

    ちなみに、フロイト的には夢は前意識という、無意識とは違う部分で生じていると考えられる。また、ユング的には夢は意識することによって少なからず影響を受け、ストーリ性を持ち始めるようだ。今まで夢を見るとそのままのダイレクトな意味しか見出そうとしてこなかったが、しかし、自分なりに自分の夢へもう一歩踏み込んでみたいと感じさせてくれる刺激を与えてくれる一冊であった。また、著者は始終、夢を軽視して侮ってはいけない、つまり夢の持つ危険性を説いている。これは少し大げさなようにも感じられるが、しかし、夢と現実が入れ替わる、なんていう錯乱状態に陥ってしまうひとだってときにはいるのかもしれない。個人的にはその錯乱状態にこそ興味がある。

  • 基本はユングの言ったことに沿っているけどフロイトとかもでてくる
    そこまで専門的じゃない
    夢について自分で考えてみような感じで読めるとおもうが
    今の本に慣れてるとちょっと文字が小さく1ページに行が多い
    それは古い本に共通するけどね

  • 夢判断と言えばフロイトであるが、本書はユング心理学であるが、フロイト-アードラー-ユングの違いも明らかにする。
    自分自身の夢をあれこれ考えれるための、いいテキストであろう。ただし冒頭近くに「エモーション」という用語が出てくるが、それについては何も触れない。自明のこととしているのだろうが不親切である。
    やむなく辞書をひくことになった。
    「エモーション(emotion)情緒。感情。感動。心理学では情動という」とあった。
    親鸞は六角堂に籠って夢の中で聖徳太子のお告げから「肉食妻帯」の教えを説くようになったという。これも夢判断ではどうなるのだろう。しかも最近は「聖徳太子」はいなかったという説も有力となっている。そうすると親鸞の夢の聖徳太子とはと、夢の意味に興味は尽きない。

  • ユング心理学に基づいて、夢のアレコレ。
    気軽に読めて じっくり考えられる、ような。

    ユングだけでなく、
    漱石・明恵上人・更級日記まで話が及びます。
    国文系としてはニヤニヤ。

  • まずユングの「無意識」と「元型」の理論について説明し、続いて夏目漱石などの文学作品や著者自身の夢にその理論を応用します。元型のイメージをつかむには最適です。

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著者プロフィール

1923年生まれ。駒沢大学で仏教や禅思想を学んだ後、1964年の渡欧して、ユング心理学研究所に4年間在籍。ユング心理学から女性の問題を取り上げ、おおらかで力強い評論を多数残した。著書に『子どもの深層』『聖なる男女』『ユングの心理学』『ユング・ブッダの夢』など多数。1992年没。

「1983年 『子ども時代の内的世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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