朝鮮語のすすめ 日本語からの視点 (講談社現代新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061456143

感想・レビュー・書評

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  • 中国は昔から大好きですが、朝鮮半島には全く興味がなかったのです。あえて目を逸らしていたかも知れない。それがにわかに朝鮮への興味が湧いてきました(僕の場合、言語への興味は即ちそれが話されている土地への興味に直結します)。きっかけは多分、日本語話者にとって学びやすい言語と難しい言語の話をスワヒリ語の先生に聞いたこと。その中で朝鮮語は英語話者に難しく日本語話者には易しいということだったんですが、そんなのは当たり前という人も多いことでしょう。でも僕には不思議だったのです、中国語は日本語とあんなに違うのに、朝鮮語はそんなに似てるんかなと。それで、ちょうどよいときにこの新書をみつけた。鈴木孝夫先生の本はかなり積読していて1冊も読んでなかったのですが、ようやくこの本でその状態も脱出です。まあ実質的には鈴木氏は長めのまえがきを書いてるに過ぎないけれど。この本の読みどころは第3章だと思います。朝鮮語に関する本は初めて読むのですが、多分他にはない特徴じゃないでしょうか。文法も知りたいけれど、それは他の本にも書いてある。まさに第5章で述べられる非日本的な韓国流コミュニケーションの特徴の通り、韓国人だからこそ書けることでしょう。何をするかと言うと、金田一春彦、大野晋、外山滋比古といった学者の日本語論に痛烈に批判するのです。日本語論において、日本語の特徴の原因を日本文化や日本人の性質に求めることがよく見られる。しかし、その日本語の特徴が朝鮮語にも共通し、にもかかわらず朝鮮と日本の文化が違えば、このような議論は全く不毛というわけです。朝鮮語を知ることは、日本語を知ることですね。あと、ハングルのつくられ方も実に興味深い。朝鮮語の罵り言葉も。また、僕は「日本語ほど素晴らしい言語はない!」という無知からくる誇大妄想を日頃抱いていますが、韓国人の自国語に対する強烈な愛には遠く及ばないかも知れない。僕はいとも簡単に外来語を吸収してしまうのも日本語のよさだと思っていますが、韓国人は外来語を侵略者と見做して反撥する。もちろんこれには、過去の朝鮮半島に対する日本の行為も深くかかわっているわけで、いつまでもignorantではいられないのです。こんな感じで、朝鮮語に対する興味はしばらく続くと思います。それから、著者と同様、日本においては朝鮮語という呼称が一般的なのでそれに従いました。

  • 1981年当時、韓国ではサランヘヨ(愛してる)は使われていなかったと書いている書籍。歴史は変わりましたね。

    韓国語の文法などの説明もありますが、それより面白いのは、当時に韓国語を勉強する大変さが記載されており今とのギャップを感じずには入られません。

    当時は全く勉強する術が無かったらしいですね。一つもテレビやラジオで放映されていなかったとのことです。

    今でいうカンボジア語ぐらいの扱いかもしれません。

    ◯トリビア
    韓国語は西洋のような開けっぴろで直接的な愛の表現が発達する素地なし(だったらしい)

    この夜は特にお月様が明るうございます→妻から夫への懐妊の合図

    この夜は蓮の花が咲くだろうか→妻に対する懐妊の問いかけの合図

    韓国語の罵り言葉は豊富→日本は無いに等しい

  • <本棚の隅にあったこの本を約四十年ぶりに手に取った。>現在と1981年当時では韓国の情勢も随分と変わってきただろうけど、文化や人情についてはまだまだこの本に書かれていることが当てはまることもあるのではないか。本に書かれた例文を見て思うのは、まだ漢字ハングル交じりの文章が例文となっていることだ。今はほとんど全てハングルで書かれているのに。この四十年で漢字を見ることがなくなったのだろう。もちろん、専門書や歴史書には漢字はあるだろうが。日本の状況も随分と変わった。街には韓国語の教室があり、NHKで毎日ハングル教室を放送している。韓流やK-POPが大人気。それでも、韓国語を勉強すると知人に言うと、なんでまた?と聞き返される。英語やフランス語ではそんなことは無いのに。

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  • [ 内容 ]
    日本語の特色は――と聞かれたら、「日本語は、主語や動詞をよく省く。
    動詞が文末にくる。
    単・複の区別があいまい。関係代名詞がない。」などと答えるだろう。
    ところが、朝鮮語もまったく同じなのである。
    一方、日本人が「――ですが……」と語尾をにごすのは、切り口上を避けるためといわれるが、朝鮮語でも語尾をにごすにもかかわらず、韓国人は、きついことばを平気で使い、議論をつくすことをよしとする。
    本書は韓国育ち、在日十五年の気鋭の言語学者が、肌で感じた日・韓の文化の違いを通して、朝鮮語の面白さを紹介した読者待望の書。

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