働くということ -実社会との出会い- (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061456488

作品紹介・あらすじ

一生の大部分をかけて自分は何をやりたいのか、何になりたいのか。いったい何のために働くのか。たとえ給料はあまり上らなくとも、自分らの意志で、納得のいく仕事がしてみたいと望むのはなぜか。何かをなしとげた時に味わう手応え、自己実現への欲求こそ、労働の本質である。会社勤め15年の体験をふりかえりつつ、働くことの意味と意識を考える。

働くことと遊ぶこと――「労働」と「遊び」を互いに背反するものと考えるのではなく、むしろ、相互補完的な人間の営みとして受けとめようとする姿勢こそが重要なのだ。「労働」の中には「遊び」がひそんでおり、「遊び」の底には自己表現を核とする「労働」が沈んでいる事実が忘れられてはならないのである。「労働」は疎ましく「遊び」は好ましい、という単純な感覚論をもってしては、「労働」そのものはおろか、「遊び」の本質さえ掴みそこなうことになるだろう。つまり、「労働」のあり方が正確におさえられていなければ、「遊び」のありようも探れぬわけである。いずれにしても、「遊び」に向けられた欲求のこれほどまでの肥大を、生活レベルの向上による文化的豊熟の表現であると喜んでばかりはいられない。「労働」が病んでいる時には、「遊び」もまた病んでいるのだ。――本書より

感想・レビュー・書評

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  • 前の部署の上司のバイブル的な本(らしい)。
    出張先で読む本がなくなって、古本屋でふと見つけて、
    読んでみました。

    「働くということはどういうことか?」について考えてみるという
    ちょっと哲学的な本。
    (僕にとっては)やや難解な感じがしましたが、
    人生の大部分を占める「働く」という行為を
    もっと積極的に消火していけたらなぁと思って読みました。

    著者は作家になる前に自動車メーカーで働いていたそうです。
    メーカーで働く2年目くらいの人は、
    より臨場感を持って読み進めることが
    できるのではないでしょうか。

  • 教授から頂いた本
    アルバイトして感じたことと似てます。
    仕事が楽しい、仕事に拘りたいって思える瞬間がないときついよね
    社会人1年目3年目5年目って感じで読んでみようかなぁ

  • 自分は何をしたいのか、何になりたいのか、どう生きたいのか、を仕事を通じて考えていくこと。業種や職種を規定することは、さほど重要でないのかも知れないと感じた。

  • 働いていない人が読んでも本書の全部を理解できないと思います。社会人10年位経験してようやく本書の全部を理解できると思います。

    1.この本を一言で表すと?
    働くことの本質を著者の実体験から考察した本

    2.よかった点を3~5つ
    ・仕事そのものが自然の内に人と人とを結びつけているのに他なるまい。(p171)
    →夜の残業の話はよく理解できる。達成感の共有が人同士を結ぶのだと思う。

    ・自分は国鉄職員であるからキップを切るのか、キップを切るから国鉄職員であるのか。(p51)
    →この問いが生まれるのは理解できる。

    ・たとえ困難であろうとも、「会社員」は会社の中でなんとかして自分の職業を探すべく務めねばならない。(p121)
    →自分の職業を持つという気持ちは常に持っていたい。

    ・会社を辞めた時の感慨には忘れがたいものがある。(中略)背後の樹が突然消え失せ、広い野原に一人で投げ出されたような気分が迫ってくる。(p154)
    →自分も退職した時に同じような感覚を感じた。

    ・働くということは生きるということであり、生きるとは、結局、人間とはなにかを考え続けることに他ならない。(p180)
    →人間とは何かは考え続けることは必要だが答えは出ないと思う。だから、働くことの意味の答えを出してからではなく、ひとまず「走り続ける」ことが重要ということだと理解した。

    2.参考にならなかった所(つっこみ所)
    ・会社が求めているのは職場にいる時だけでの人間ではなく、二十四時間の企業人なのだから、と。(p149)
    →副業が認められる現在では、この考え方はあまり受け入れられない気がする。


    3.実践してみようとおもうこと
    ・仕事の中に遊びを見いだす

    5.全体の感想・その他
    ・35年以上前の本だが、内容に古さは感じず、若手社員が感じるであろう疑問・不満を分かりやすく説明している。
    ・自分の経験と重なる部分が多く、考え方も賛同できる部分が多い。

  • 105円購入2012-03-15

  • 本来は学校の授業で読むはずだったが、買わずに対応しきったので、ようやく読みました。
    身近な例を例えに出して、働くことの意義とそれによって得られる賃金ではないものを示してくれる書。
    就職前に読むべき1冊だと思います。

  • 自動車メーカーに入社した小説家がどのように自己変容していくかを丹念に振り返った本。
    単に仕事をこなすことから、生産物に自分の責任を感じるようになってきて仕事をしていると言えるようになってくる過程の描写が興味深かった。それは自己完結的なものではないにせよ、かといって制度的なものではなく、内発的・間主観的な過程として描かれる。
    企業意識と職業意識が区別される。その企業に属している・その企業で働いているという感覚よりも、生産品やその受け取り手・共に仕事に従事する仲間をリアルだとみなす感覚においてこそ自己実現ができるだろうという話はなるほどと思う。
    企業に属するということは確かに決められた労働時間内だけ拘束されることではあるのだが、個々人はその労働時間内に労働するため実質的には他の時間も活用せざるを得ない。また、会社員という身分は労働時間外も享受しているものである。
    企業の外にいては自由ではない、しかし企業に入ったらもちろん不自由であり、単なる企業意識から職業意識へと突き抜ける必要があるという話。

  • 学生時代から本書の存在は知っていたが、読む機会、時間が無かった。就職して一年ほど経ち、偶然手に取る機会に恵まれた。作者が黒井千次ということもあり、文章は堅く読みづらいが、その実書かれていることは簡潔で、同調したり、疑問を抱いたりする。
    特に引っ掛かった「「労働」が病んでいる時には、「遊び」もまた病んでいる」という一文には、「では、病んだ労働がその会社では通常であり、それらを強いられた時、それはつまり、病んだ人間を生み出すことになる」ということなのだろうか? 今の世の中はこういう現場があまりにも多い気がする。
    本書が出版されたのは30年ほど前というのもあり、現在にも残る本質的なものを知り得た上で、自分が望んだ答えはどこにも無いことだけ、心残りだった。
    優れた啓発書ではあるが、少々年期が経ち過ぎている。

  • p31 ここにあるのは教科書や研究論文ではなくソロバンなのであり、高邁な理論ではなく実務なのだということをー。

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著者プロフィール

黒井千次

1932年(昭和7年)東京生まれ.55年東京大学経済学部卒業後,富士重工業に入社.70年より文筆生活に入る.69年『時間』で芸術選奨新人賞,84年『群棲』で第20回谷崎潤一郎賞,94年『カーテンコール』で第46回読売文学賞(小説部門),2001年『羽根と翼』で第42回毎日芸術賞,06年『一日 夢の柵』で第59回野間文芸賞をそれぞれ受賞.

「2019年 『老いのゆくえ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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