ユングの心理学 (講談社現代新書)

  • 講談社 (1982年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784061456778

みんなの感想まとめ

心理学の深淵な世界を探求する本書は、ユングの思想をわかりやすく解説し、その生涯と密接に関連づけているため、読者は彼の理論に対する理解を深めることができます。ユングは人間の態度を外向型と内向型に分類し、...

感想・レビュー・書評

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  •  1章から4章まではユングの人生を辿りながらその時点でユングが研究していたことを記述。物語形式になっていて面白い。
     フロイトやその信奉者達との勢力争いは、ゴシップ的な観点から興味深かった。学者も派閥争いをするんですね。
     5章と6章は「内向と外向」「無意識と元型」について突っ込んで解説されている。少々歯ごたえある記述。
     第7章 ユングと現代「子ども」の活性化
    は、ユング派の観点から人間の生涯について俯瞰的に記述。
     学術をテーマにした新書としては内容としても難易度としてもバランスが取れていて名著ではないでしょうか。

     私が図書館で借りたのはクリーム色した旧版の装丁で、表紙に太陽の絵が描かれています。

     今は新書といっても読みやすくて薄っぺらい内容の新書が増えましたが、本書はまだ新書が新書していた時代の古典的名著です。
     本書は名著なので今でも版を重ねていますが、今の講談社現代新書の装丁は面白みがないですね。

     本書でも幾つか紹介されていますが、ユングはレベルの高い夢を何度も見たようです。
     さすが名を残す偉大な学者は見ている夢までレベルが違う。
     私も見た夢を記録する努力をしているのですが、ほとんど覚えていないし、覚えている夢も、過去の嫌な経験に関する嫌な夢ばかりです。
     過去にとらわれているから碌な夢も見られないし新しい人生も送れないということを表しています。
       http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20180612/p1

  • 『「魂の医師」としてユングは、自己内部を深く凝視し、心の深奥、広大な無意識の領域へ踏みこんでいった。そこは、人間の喜怒哀楽の感情を生みだす源泉であり、心のあやういバランスを保つ力も存在している。忘れられた心の断片<影>、内なる異性像<アニマ・アニムス>、母なるものの根源にある<グレート・マザー>、そして<老賢人>などのイメージは壮大な神話やファンタジーを創りだしつつ、日常のささやかな幸福や人間関係のドラマにも密接に関わっている。ユングの心理学は、生の根底、自己の未知なる内面への旅である。』(カバー表紙より)
    『ファンタジーの創造性-ユングの心理学では、病的な症状はただ治療しなければならない、過去の悪い思い出とつながるだけのものではない。そこにはすでに、これから生まれるべき、別の姿が、一つのヴィジョンとして含まれているはずなのである。病的な状態が生みだす妄想さえも、ユングはけっして否定的なものとはとらなかった。あらゆる人間のファンタジーは、心の奥から生まれてくる想像力が形作ったものなのである。その背景には、揺れ動く人間の創造性があって、現実化されるのを待っているというのが、彼の考えである。-本書より』(カバー見返しより)

     著者は既に故人ですが、チューリッヒのユング研究所にて分析を学んだとのこと、講談社現代新書にも他に『ユングの性格分析』、『ユングとオカルト』、『夢診断』と合計4冊の著者があって、没後十年を過ぎてもいまだに版が途切れず書店で手に入るとは驚異的と思えます。カバー裏表紙の著者経歴には「●あきやま・さとこ 一九二三年東京に生まれる。文化学院、駒沢大学仏教学部を経て、六四年から六八年までユング研究所に在籍。専攻、精神分析学。一九九二年逝去。(以下略)」とのことです。不思議なことに、どうもユングの研究をして一般的なユング関係著書を出されている日本(に限らないのかもしれないが)の方々は、専門の心理学者や精神科医ではなく門外からの方も多いようです。

     この本の著者はこの本の「中年の危機」に関する文中、「私自身もまた、偶然にも、あるいは必然的にといったほうがいいのかもしれないが、三十四、五歳で急に世間でもまれながら仕事をしているのが嫌になり、それまでのマスコミの世界を離れて大学に入学し、学究的な生活へと方向を変えてしまった。今から考えると、どうしてそんな決心をしたのか不思議なようであるが、心の奥のどこかから、内なる声がささやきかけたのかもしれない。」と書いている。スピンオフしたわけですが、同時に自己実現したとも言えるでしょう。

     この本の構成は、第1章~第5章がユングの生涯をユングの体験・活動を軸に綴っており、それがそのままユング心理学の発展を表しています。これはユング心理学が主にユング個人の経験と洞察によって形作られたからで、語られる個々のエピソードはユング心理学に興味を抱く人にはまるでユングサーガの1場面のように思えるのではないでしょうか。

     第六章は、ユング心理学の根幹を成す「無意識と元型」理論を平易にしかし丁寧に解説しています。また、第七章ではユング心理学が人生の諸段階で起こりうる問題解決に「こどもへの回帰」の有効性を謳っています。いずれも前章までに描ききれなかったユングのエピソードをちりばめながら書かれています。初版後16年間で35刷でありほぼ毎年2度の増刷を重ねていたロングセラーなので活字がかすれかけていました。

  • ・『フロイト―その思想と生涯』『カントの人間学』に続き、人となりを知ることができる本を読みました。並行して読んでいた榎本博明さんの『中高年がキレる理由』にも、秋山さと子さんの言葉が引用されていました。

     ユングは人間の態度を外向型、内向型に類別し、心理的機能を合理的なものと非合理的なものという対概念で考え、さらに合理的な心のはたらきとして思考と感情を対として考え、非合理的な心のはたらきを直感と感覚とに分けた。

     外交思考型の人は、事実に即して答えを出す人であり、外交的感情の発達内向思考型の人は、自分の中に沈潜して論理的な考えをもて遊ぶ。

     私は、事実に即して答えを出そうと努力しているものの、その実は、現実のものごとに対する興味はなく、独自の情景を心の中に描き、自分の感覚と遊ぶことに巧みなタイプだと考えられる。

     成長するということは、自分自身を客観的に見る視点を持つことで、置かれている環境の中で、長所を伸ばして活用するとともに、短所を補うことができるようになる、ということだと思うのですが、ユングの類別を使うと掴みやすくなると考えます。

     フロイトにしても、カントにしても、ユングにしても、ちょっと変わった人だったみたいですね。そのような人たちが、こうして時代を越えて語り継がれる存在になった経緯が不思議ですが、脳から分泌される化学物質の分析などがない時代に、観察から概念を作り上げた実績は凄いと思います。

  • ユングとその思想についてわかりやすく解説している入門書です。おおむねユングの生涯にそって説明がおこなわれており、「元型」や「ペルソナ」の概念については多少立ち入った解説がなされています。

    ユングの生涯と思想との有機的なつながりに重点を置いた説明になっており、入門書としての役割は十分に果たしているように思います。

  • (薄暗い霧の立ち込める道を、ろうそくの灯を守りながら歩いていく、そうすると後ろに巨大な入道が立ちはだかっていた、という夢をユングが見た)
     これは、ユングが大学に入ろうとしていた頃に見た夢である。
     (略)後ろから迫ってきた大入道が、実は手に持っていた灯のために、背後の霧の中に映し出された自身の影だったtことに気づいた。そして、両手でかばっていた小さな灯こそ、(略)自分自身を照らし出す意識の光であって、彼の唯一の大切な宝であることを悟った。

     なににもまして(ユングとフロイトの)ふたりの相違点は、フロイトによる父性を中心にした理論と、ユングによる母性の強調ということがあげられるだろう。

  • ユングに関する伝記的な記述の部分は、物語を読んでいるかのような面白さ。ユングの理論の部分は、初学者には少し難しい。最終章の「ユングと現代」は圧巻。現代社会の生きづらさが分析されている。1982年の本だが、未だ事態は改善されないどころか、悪化しているのを感じる。どう歳をとっていけばよいか考えさせられ、ぐいぐいと引き込まれた。

  • 10年近く前昔ユングって何だろう?と思って読んだ本。その時印象に残ったが、あまりピント来なかった。再び読み直している。初めて知る人向け書かれていて、秋山さと子さんの文章は滞りなくスラスラ読めてやさしい感じが伝わってくる。

  • 本書はユングの理論を彼の生涯を辿りながら解説すると同時に、ユングの心理学と現代との関わりについて著者の見解を述べている。古い本ではあるが、著者の見解は現在にも通じる部分があるように感じた。またユングについても簡潔にまとまっておりある程度参考になった。ただ好みがわかれる本だと感じた。哲学、心理学に興味がある人におすすめしたい。

  • フロイトより複雑で難解だといわれるけれど、ユングの方が好きです。フロイトは直接的で真向的な。たとえるなら、メスで体を裂くような療法ですが、一方ユングは迂回しながら時間をかけて、患者との信頼関係を築くことで、患者自身の口から問題を話せるよう導きます。肉体をメスで切り裂かれるのだって、患者にとって怖いことなのに、心までもメスで切ろうとするフロイトのやり方に、反発した当時の人の気持ちも分かるような気がします。もちろん、心理学の進歩に貢献するための、ひとつの方法ではあると思いますが…。

  • 読書録「ユングの心理学」1

    著者 秋山さと子
    出版 講談社

    P35より引用
    “しかし、ユングはかならずしも、そういう意味ばかりには考え
    なかった。むしろ、それは彼にとって内なる魂のあらわれであり、
    感情的エネルギーの源泉であった。”

     目次から抜粋引用
    “二つの夢
     フロイトとの出会い
     危機の時代
     内向と外向
     無意識と元型”

     心理学者である著者による、ユングの心理学理論について紹介
    する一冊。
     ユングの見た夢についてから現代の子どもや老人についてまで、
    著者の持論を添えて記されています。

     上記の引用は、ユングが発見したコンプレックスについて書か
    れた項での一文。~コンプレックスと言われると、今は人から欠
    点を指摘されているような印象を受けてしまいがちなようですが、
    元の意味はかなり違うようです。自分たちの利益になるように、
    元の意味を歪めて使い出した人達は、どう思っているのでしょう
    か。
     今の老人について書かれた項を見ていると、著者は身も心も弱
    り切った老人しか見ていないかのように見受けられます。

    ーーーーー

  • 10年ぶりくらいに読んでみた。
    昔はもうちょっとおもしろく読めた記憶があるんやけどなぁ。

  • 心理学の入門書

  • 無意識やコンプレックスなどの概念を考え、夢判断ではフロイトと袂を分けてしまったものの、現在にもこの思想は大きな影響を与えている人物だ。どちらかといえば私はツユング派かな。

  • ユングの人生に即して、心理学について解説している。
    最初に2つの人格を対比させることによって、解説しようとしている。

  • 23.12.4津島市立図書館で借用
    12.8返却

  • ユングの生涯を辿りながら、その思想の変遷を紹介した本である。

    ユングがどのような人間なのか興味があったので、本書を読んで頗る満足した。ユングがフロイトの元を去る理由も具体的にどういう考え方の相違があったのかが分かって良かった。

  • 人の二重性
    第二の人格をもとめた
    人の根源を内面的にもとめたのがユングだろう
    絶対的な根源、それに向かい人は人格を形成する
    それはそれぞれある、でもその根源を知らぬ間に抑える
    これが人から人間への変化だろう
    異性、父、母、影
    これが根源。これで人格を支配する

  • [ 内容 ]
    「魂の医師」としてユングは、自己内部を深く凝視し、心の深奥、広大な無意識の領域へ踏みこんでいった。
    そこは、人間の喜怒哀楽の感情を生みだす源泉であり、心のあやういバランスを保つ力も存在している。忘れられたの断片〈影〉、内なる異性像〈アニマ・アニムス〉、母なるものの根源にある〈グレート・マザー〉、そして〈老賢人〉などのイメージは壮大な神話やファンタジーを創りだしつつ、日常のささやかな幸福や人間関係のドラマにも密接に関わっている。
    ユングの心理学は、生の根底、自己の未知なる内面への旅である。

    [ 目次 ]


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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • フロイトとユングの関係・・・知っていたようで、実はよく知らなかった。
    アニマ・アニムス、グレートマザー、老賢人などのイメージが生まれた背景など、ユングを手っ取り早く知りたい場合に役立つ。

  • 想個人の像の世界の重要性と、その在り方への道しるべの提示を試みた本です。
    フロイトとユングの別離らへんや、グレード・マザーあたりの解説は興味深かったです。
    全体的には長たらしい印象もあり、つまみ食いするには良い本だと思います。

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著者プロフィール

秋山 さと子(あきやま・さとこ)
1923年東京生まれ、1992年没。ユング派の心理学者で、お茶の水女子大学や駒澤大学などに務める。著書に『ユングの心理学』(講談社現代新書)、『ユング心理学へのいざない―内なる世界への旅』(サイエンス社)、訳書に『ユングとタロット――元型の旅』(共訳、新思索社)など。

「2020年 『グノーシスの宗教 増補版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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