小説-いかに読み、いかに書くか (講談社現代新書 684)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061456846

感想・レビュー・書評

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  • 小説家による創作論が面白いのは、いわゆる批評用語が用いられていないところ。後藤明生自身が書いていたとおり、批評家による批評と小説家によるそれとは、そこで一線を画す。批評とはある種の暴力だと思う。既存の概念でもって作品をねじ伏せる傾向がある。逆に、小説家による作品論には、ある抽象を目指しながらも、あくまで具体につこうとする姿勢が土台にある。
    創作家と批評家がそれぞれ性質の異なる存在だという前提に立つと、批評家は理性的で創作家は本能的といった誤った2分法が生まれる。本書にも登場する田山花袋はその不幸な犠牲者だ。そんな彼を、後藤明生が、精緻な読みで救い出している。それだけでも、本書は読む価値がある。

  • 小説家である著者が、小説作品を読み解いている本です。

    著者は、早稲田大学およびNHK文化センターで、創作を志す受講者のための講義をおこなうことになりましたが、そこで著者がとった方法は、実作指導ではなく、著者自身が小説をどのように読んできたのかということを語ることでした。著者は、「なぜ小説を書きたいのだろうか」という問いに対して、「それは小説を読んだからだ」というこたえを聞くことがすくないことに不信を述べています。そして、「われわれは皆ゴーゴリの『外套』から出てきた」というドストエフスキーのことばを引用し、小説を読むことで創作への意欲が賦活されるとともに、小説に用いられている「方法」を読みとり、創作へつながっていくというプロセスがあることに目を向けようとします。

    本書でとりあげられている小説は、田山花袋の『布団』、志賀直哉の『網走まで』と『城の崎にて』、宇野浩二の『蔵の中』、芥川龍之介の『藪の中』と永井荷風の『墨東綺譚』、横光利一の『機会』、太宰治の『道化の華』と『懶惰の歌留多』、椎名林蔵の『深夜の酒宴』です。

    創作のための技術指導のような内容はあまり含まれていませんが、「文章がどうにも前へ進まなくなったとき、この「そして」を使ってみる。すると、とにかく文章は前へ進む。接続詞は、そういうバネのような性質を持つものではないかと思う」といったような、実作者ならではと思われることばもあって、興味深く読むことのできたところもすくなくありませんでした。

  • 扱われている作家や作品を丁度ある程度読んでいたのでとても勉強になったように思う。中で言われているテキストも多くは青空文庫にある。小説の捉え方みたいな部分で勉強になった気がする。ちょっと前の時代の高橋源一郎的存在といったところか。「林修の日本文学講座」を読んでから読むと丁度いい。

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  • 新書ではありますが、小説に関して色々参考になりました。もっと昔に読んだ記憶があります。再版でしょう。

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著者プロフィール

●後藤明生(ゴトウ・メイセイ)1932年4月4日、朝鮮咸鏡南道永興郡永興邑生まれ。敗戦後、旧制福岡県立朝倉中学校に転入。早稲田大学第二文学部露文学科卒。博報堂を経て平凡出版(現マガジンハウス)に勤務。67年、「人間の病気」で芥川賞候補。翌年、専業作家に。「内向の世代」と呼ばれる作家として注目を集め、代表作に73年発表の『挾み撃ち』が高く評価される。77年に『夢かたり』で平林たい子文学賞、81年に『吉野大夫』で谷崎潤一郎賞、90年に『首塚の上のアドバルーン』で芸術選奨文部大臣賞を受賞。89年、近畿大学文芸学部の設立にあたり教授に就任。93年より同学部長。99年8月2日、逝去。

「2020年 『四十歳のオブローモフ【イラストレイテッド版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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