クレヨン王国の白いなぎさ (講談社青い鳥文庫)

  • 講談社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061471450

作品紹介・あらすじ

さっちゃんと、「百点マシン」こと菅原君は5年生。毘沙門さまの節分会で、かるたの清少納言のふだを追って、タヌキの「かげ売り屋」から人魚とゲンゴロウのかげを買います。2人は、クレヨン王国の世界へどんどん足をふみ入れて……。ゆかいな会話と意外な展開で一気に読んでしまうクレヨン王国シリーズ第5作。

感想・レビュー・書評

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  • ぬいぐるみを持ち歩く代わりに百人一首の札を持ち歩く中で清少納言がお気に入りになったり、勉強が出来すぎてテストをすぐ終えて実況しだすという百点マシンというあだ名のエピソード、影を売買したり、人魚の影を選んだら人魚のように泳げたり、設定のアイディアがとても面白かった。
    今作では街開発で自然が壊されることや、釣り針などが絡まって魚が混乱していたりというメッセージ。

    あとがきに、その後の話がある。
    それが良い話なのかどうか、微妙なところなのが好きだ。

    百点マシンは影から生まれ変わったのですから、影ができない雨の日の記憶はないのです。本当の百点マシンは、バクのシャトータウンで自分の作った墓地の中にひっそりねむっているでしょう。さっちゃんは、はじめそれをとてもあわれに思いましたが、次第にその方が良かったのだと思うようになりました。百点マシンが以前ほど勉強が出来なくなった代わりに人のよいおおらかな性質がでてきて、みんなに愛されるようになったからです。思えば、雨の日に無理やりさせられた勉強がかれの本来の明るい人柄をよほど歪めていたのですね。百点マシントイレマンというあだ名は廃れ、みんなはたっちゃんと読んでいるのです。

  • 心の原風景みたいなものって、かならずしも現実に見たものとは限らない。
    実際にこの目で目にするよりも先に本の中で出会った風景が、ずっとずっと自分の中でイデア的存在であり続けることもあると思う。

    この本を読んだ子どもの頃はまだ、まっ白ななぎさを見たことはなかったはず。
    海水浴で行くようなふつうの砂浜とは違う、太陽に照らされて限りなく色を失った砂に影がくっきりかたちづくられるような。
    影があまりにはっきりと映るので、まつげや爪のかたちまで見分けることができそうなくらい。
    ひとりでに影が動き出してもおかしくないくらい。

    お話の中での白いなぎさは本当に最後にしか出てこないけれど、これを読んで以来、テレビでも写真でも、まっしろな砂浜を見ると反射的にこの本のことを思い出してしまう。

    ストーリーも好きだけれど、この光景を自分の中に生みだした、自分にとって本当に意味深い本です。

  • 2008/04/02読破。
    元いた彼では無いのに本物。と言う定義が怖かった。
    それは人が必ずしも、一個人唯一無二だと誰もが信じて疑わないからだろう。

  • 当時はバクのシャトータウンの豪華なお城に憧れていたが、鬼の襲撃や海ザクラ、百点マシンのなれの果てなど怖い描写が多くてエピソードがどれも記憶に残っていた。夢を持ち続けることの大切さを説いているが、どんな状況でも夢を持ち続けるのは無理があるよな、と考えてしまう凡人の大人になってしまった。

  • この本でバクを知り、清少納言を知った。

  • とても久しぶりに再読。「クレヨン王国」シリーズの五巻目。
    やっぱり何か、どこか怖いところのあるシリーズだなぁと思う。影の実体化の恐怖とか、その可能性を封じないどころか積極的に残すところとか。それでもさつきは無事帰還するから、一見すると恐怖は拭われたかにみえるのだけど。
    話がポンポンとんでいく、その脈絡があるようなないようなリズム感が、不思議。

  • 夢の大切さを実感するファンタジー。小学3-5年生で楽しく読めて、大人になってからはちょっとどきりとする、そんな物語です。

    ちょっとネタバレはこちら http://d.hatena.ne.jp/ha3kaijohon/20120629/1340942706

  • 懐かしい~

  • 全ての出来事は必然。

  • あらすじ
    さつきの父は海外赴任中で、とある小国の白いなぎさを潰して港を作ろうという王さまのそばにいる。さつきは電話で父に歌を聞かせる歌手志望
    百点マシンは、成績はいいけど、問題を解くのが早すぎて授業を妨害する問題児
    さっちゃんことさつき、百点マシンこと菅原くんは、節分のお祭りに出かけた
    さつきの持ち歩いていた百人一首清少納言のお札がポケットから転がり落ちてしまい、二人はそれを追って異世界に入り込んでしまう
    清少納言を追う間に自分たちの影と別れた彼女たちは、早くに影を取り戻さないと、「クレヨン王国の白いなぎさで影が姿を得て、自分のかわりになってしまう」ことを知り、白いなぎさを探すが、途上で二人ははぐれてしまい…


    福永さんが「活字にもコミックのようにおもしろい世界がある」ことを知らせたかったというだけあって、冒険活劇
    あっという間に読めてしまう

    「やあやあ遠からんものは音に聞き、近からんものは目にも見よ」なんて口上は、これで知ったよ


    クレヨン王国以外の世界がある。木おどり山もあったけど、クレヨン王国はひとつの国に過ぎない事が明確に書かれている。意外な感じ

    小さな人魚
    さつきは自分の影のかわりに人魚の影をつけ、持ち主に返すために人魚を探すんだが、この世界の人魚、小さいんだ
    1メートル位。人魚のミイラを思い出す
    この人魚を養分にする海ザクラという恐ろしい植物がいるんだが…燃えるような紅の幹に輝く貝のような花びらと、非常に美しい!
    が、人魚をしごいて帯にして養分を取る…この追いかけっこが怖い…

    そしてさつきの影の持ち主人魚は既に死んでいるという発想の恐怖


    この話では夢を持ち続ける事の大事さを訴えているんだが、さつきが夢を売らないとなると、夢を売った金で買える豪華シャトー入園見学料、馬車代などをバクがきっちり回収するのが現実的


    この話では発想がなかなか怖いところが、今読むとすさまじいんだが…百点マシンの不帰

    彼は夢を売ってしまい、かわりに影が本体となって帰る…
    しかし、以前よりも性質がよくなっている

    これでよかったのかも…としてしまった発想が一番すさまじいと思った(児童書だ)

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著者プロフィール

名古屋市生まれ。早稲田大学文学部国文科卒業後文筆活動に入る。1956年 オール読み物新人賞受賞。1963年 モービル児童文学賞受賞。1964年 『クレヨン王国の十二か月』で第5回講談社児童文学新人賞受賞。1968年から1988年まで、自然に親しむ心をもった児童を育てる目的で学習塾を開く。
2012年逝去。主な著書に『クレヨン王国』シリーズ47タイトル、『静かに冬の物語』(以上すべて講談社刊)などがある。2012年逝去。

「2016年 『クレヨン王国黒の銀行(新装版) クレヨン王国ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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