クレヨン王国 12妖怪の結婚式 (講談社青い鳥文庫)

著者 : 福永令三
制作 : 三木 由記子 
  • 講談社 (1996年1月16日発売)
3.81
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061484306

クレヨン王国 12妖怪の結婚式 (講談社青い鳥文庫)の感想・レビュー・書評

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  • センダンとダイコンの話が好き。けっこう切ない。

  • 「よめさんがいいの、おくさんはいや」の歌のあたりで、妖怪の正体をどかっと思い出した。

    この話に出てくる妖怪たちが、人間さまと呼び、人間の文明が持つ生命力というか破壊力に心酔して、それとひとつになって生き残るという野望。
    これは、自分の子孫を残そうとする生命体のすべてが持っているものだけれども、この話の設定は、すごく堪えた。
    妖怪に取り憑かれた人間の姿は哀れで、妖怪が退治されれば嬉しいのだけれど、人間のありように、妖怪たちの心酔っぷりに、苦しくなる。

    しかしルカ、最後に「何もない」は、あんまりだろうに。それは照れなのか、悔しさなのか(笑)


    時間が、気分次第で等分に流れるものではないという感覚、何かが生まれ出るときの感覚。
    それを表す表現はたくさんあるし、強烈に頭に残るものも多いけれども。
    福永さんのこの表現は、あらためてすごいと感じた。
    植物を愛した、ただのやさしい人ではなくて、さすがは「天国に嘘つきがいなかったらつまらない」と言わせた、人生経験の深みが違う方だ。
    人の心が変わってしまうのは、ときに悲しい別れになるし、変わらないでいて欲しいと思う。いっぽうで、自分が瞬時に、もうまるっきり変わってしまうこともある。
    それを、こんなふうに書かれると、苦しくてたまらないし、あきらめも納得もするし、縁のなくなった人々を思い出しもする。



    p197
     ふたりは、たしかに、はなればなれでした。ふたりの時間は、べつべつに規則正しく動いていました。しかし、ルカは、その中で手も足も出せずに息をころしてひかえているしか、しかたのない感覚を味わいました。なにかが自然の摂理で発酵しはじめ、なにかが色づきはじめているような。
     時間というのは、ふしぎな生き物です。時計の一分は、公平に六十秒でできていても、その尺度と無関係な何かが合って、ひとたびそれに突き崩されると、たったの一分が十年間をおし流すような力をみせるときがあるのです。
     ルカは、それを胎児が生まれるときを予感するように感じとりました。
     深作実子が、三日で、院長の心をとらえてみせると宣言したとき、ルカもモニカも、そんなことはおこるはずがないと思いました。しかし、いま、ルカが感じはじめたことは、三日間でさえ、長すぎるのかもしれない、というおそれでした。
     院長は、七十年生きてきた人生経験ゆたかな教養ある老紳士でした。七十年間、かれの心臓は、おだやかで規則正しく、常識という名のリズムをうちつづけてきました。それは、普遍の真理のように山のように動かないものに思われていました。
     しかし、ルカは、息を潜めて、ふたりのようすをうかがっているうちに、悲しみにも似た静かな心で、こう感じたのです。
     ――どんなときも、かならず変わらなければならない。院長も、変わるときは、いっしゅんだ。いっしゅんだけれども、でも、いつとはなしに、だ。――
     院長もルカも、そして、大介くんも妖怪たちも、生きているものは変わっていかなければなりません。そして、変わるしゅんかんは、いつもとつぜんで、そして、いつとはなしに、なのです。
     ――なんでもありなんだ、この世の中は。――

  • 続きもの的な感じになってます。月のたまご続編シリーズまでの道のり。

  • シリーズの中で一番すき。
    私が一番最初に触れたミステリーはこの一冊かもしれない。
    探偵役のキャラクターも王道さがなくって面白い。

  • 初めて読んだクレヨンシリーズです。児童書だとなめてかかったら、とっても面白く一気読みしました。優しい文体にユーモアがあふれ、現代社会へ向ける視線の厳しさに時折「おおっ」と唸るしまつ。サンドイッチが食べたくなります。

  • すっごい懐かしい…妖怪がすっごい怖かった気がする。いまだにその得たいの知れない恐怖を覚えてます。

  • 児童書だけど、描かれているのは「好きな人への想い」。
    相手のことを想う気持ちに切なくなります。

  • シリーズ制覇の途中で出会った本でした。
    どの本も好きだけど、一番インパクトがあったのがこれでした。

  • 実子の最期に胸が切なくなった。
    人を愛するってことは本来こういうことなんやろなぁ。

  • 2001 4 28

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