- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061485907
感想・レビュー・書評
-
気楽に過ごせる場所がどんどんなくなっていくんだなぁと思った。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
太平洋戦争時代に少年だった著者の自伝的小説。
好奇心旺盛なH(妹尾肇)は、洋服仕立て職人の父親と、敬虔なクリスチャンの
母親と、優しい妹の好子の四人家族で、神戸市の下町に住んでいた。
山にも海にも近いこの町で、楽しい少年時代を謳歌していたのだが、
次第に戦争の気配がHのまわりにも、ただよい始めてきた。
当時の一般市民が知りえなかったことが描写されていると、論議を呼んだことのある作品です。
そのことを確かめるべく、関連書も読んでみようと思います。 -
宗教を、キリスト教を否定するつもりはさらさらないが、それでも戦時中前後の厳しい期間に、自分の親が堂々とキリスト教信者として活動していたのを見て、肇は相当嫌だったろう。事実、少年期の肇は母親を含むキリスト教の街頭伝道の一隊が来ると友人からからかわれるため、すぐに隠れていた。私も、もし自分の親がそんなことをしていたら、親に反発するどころか、完全に拒絶していたと思う。中学に上がってからも教員からキリシタンだからといじめを受けていたようだし、かなり大変だったろうという印象を受けた。
-
悲惨な戦争の体験を「辛かった」と語るのではなく、著者は「それが子ども時代だった」とまるでアルバムを開くように見せてくれる。成長過程において、段々と大人社会への疑問もちらつかせながら「自分は自分」であってもそれで人を切ることのない著者の気だての良さに救われる。
-
少年の目を通して描かれた昭和初期の日本の風景。
軽快な文体と描写でまるでその当時にトリップしたかのように、風景が浮かんでくる。
古さを感じさせないのもすごい。
小学生にも読めるようにと全ての感じにルビがふられている配慮も心憎いです。
もうすこし大きくなったら息子にも是非読ませたいな(*^^*)