七時間目の占い入門 (講談社青い鳥文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061487208

感想・レビュー・書評

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  • 小学生の頃に大好きだった本。
    この本をきっかけに藤野恵美さんの本を読むようになった。
    この作品は登場人物一人一人に色があり、且つストーリーが生き生きとしていて、主人公のさくらに当時の自分を重ね、勇気をもらえることができた。

    新しい学校やクラスメイト、聞き慣れない方言や環境に戸惑いながらも前に進もうと自分を変える物語。
    前に出るのが苦手で、少し気を回りすぎてしまう性格のさくらが、占いをきっかけに良くも悪くも様々な出来事が相次ぐようになる。
    小学生ながらにさくらの心の声に強く共感して読んだ記憶。
    さくらの視点から見る登場人物や起こる出来事に対して詳細に様子が描かれているため、安易に想像がしやすい。

    占いから断ち切り自分の固い意思を示したさくらに対し、ひみこ先生は「雨天決行なら、天気予報を気にする必要はないものね」という言葉をかける。
    たくさん悩んだ上での決断なら、どんな障害があろうとも結果に左右されないだろうというさくらの意思の強さが示されている。
    さくらが美春に駆け寄って声をかけるシーンで、雨上がりの晴れやかな心と共に物語を締める。

  • シリーズ2作目だけど登場人物も全く違うし、別作品扱いでいいんじゃなかろうか?

    前の学校では孤立していた転校生のさくら
    新しい学校で注目されるための方法として選んだものは占い
    星座占い、血液型占い、そして勉強したタロット占いで友達もできてクラスの中で地位を確立するけど……なお話

    占いの種類は、命、相、卜(占)の3つあるらしい
    でも、天命や天数を知るための手段の違いであって、それぞれに明確な違いはないんじゃないのか?

    まあ全体を通してみれば、占いに対する僕のスタンスとも合致する部分が多数ある
    占いに肯定的な意見も否定的な意見も含めてね

    現代の科学においては、血液型と性格に関してはまったく関係がないとはいえないんじゃなかったか?
    秀治くんが抗原の有無が性格に関係しているはずがないと言っていたけど、それって赤血球だけの話ではないし、しかも血液型によってかかりやすい感染症や疾患が違うというデータもあって
    もし血液型によって各種の行動で生存率に差があるとしたら、性格に差があっても不思議ではない
    ま、実際は血液型よりも他の要素のほうが生存率に効いてると思うけどね

    あと、いよちゃんが占を信じる人はアホと思いたいのもわかるし
    実際にさくらが水晶を掴まされている描写も「信じるものは救われる。足元をな!」という言葉通りになってるわけだけれども
    それでも本人が信じていて納得しているんだったらそれで良いと思う

    終盤の会話もそうだけど、信じる人は信じればいいし、信じない人でも信じないなりに付き合っていけば行けばいいのさ

    ただ、その思い込みによって自分や他の人に迷惑がかかる状況は許してはいけない

    血液型による多数決の暴力はわかりやすいけど、実際の世の中には同じ構図の多数決の暴力がいっぱいあるなぁと思う
    この本を読んでそれに気づく小学生がいたらいいな


    占との付き合い方という意味ではいい話だけど
    水晶おばさんとか、みやびとの関係とか色々とストーリー上のいい感じの伏線が回収されないまま終わっているのが心残りといえばそう
    でも、この話の主眼はそこにないんだろうなぁと思えば、納得できる面もある


    前作の怪談に続いて占いも僕が小学生だった頃に流行っていたので、時代は変わっても変わらないものはあるんだなぁと思う

  • (2014-12-26)

  • お父さんがいない寂しさを、占いのせいにして、紛らわせていたのではないかなと思う。

  • 血液型占い、星座占い、タロット占い。とにかく女子って占いが好きだ。オバチャンの若いときも、お嬢さんの数年前も、イマドキの小学生もそれは変わらない。
    雑誌や本に書かれていたり、テレビで流されている占いの情報って、当たらずも遠からずで、実際信じている人ってどのくらいいるのだろう。10個ある項目のうち、一つでも当てはまっていたら、そっくりそのまま信じちゃうものなのかな。

    作品の中では主人公の「さくら」やキーパーソンとなる「いよ」は、占いが持つ裏表と真正面から向き合うことになったけど、この先の展開がどうなっていくのか少しだけ不安だ。

    というか、途中占いの館でのさくらの行動って、親視点から見て不安じゃないか???
    あのおばさん、人としてどうかと思うんだけど……

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著者プロフィール

1978年大阪府生まれ。2004年、第2回ジュニア冒険小説大賞を受賞した『ねこまた妖怪伝』でデビュー。児童文学のほか、ミステリーや恋愛小説も執筆する。著書に、「2013年 文庫大賞」(啓文堂大賞 文庫部門)となった『ハルさん』、『初恋料理教室』『おなじ世界のどこかで』『淀川八景』『しあわせなハリネズミ』『涙をなくした君に』、『きみの傷跡』に連なる青春シリーズの『わたしの恋人』『ぼくの嘘』『ふたりの文化祭』などがある。

「2023年 『初恋写真』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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