七時間目のUFO研究 講談社青い鳥文庫 245-3

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061487611

感想・レビュー・書評

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  • 今回のテーマはUFO
    例によって他作品とのつながりはない

    放課後にペットボトルロケットを飛ばしていたあきらと天馬
    打ち上げた高度を測っているときに天馬はUFOを見たというが、あきらは見ていないのに、つい同意してしまう
    ペットボトルロケットの取材に来た新聞記者の前で「UFOを見た」という天馬のせいで新聞記事になり、UFOカウンセラーやフリーライターまで町にやってきて起こる騒動のお話

    総じて大人がバカすぎる
    校長、母親、アダムスキー江尻とそのとりまき等々
    しかしまぁ、読者層が小学生だと仮定するなら、まぁこのぐらいのわかりやすさは必要かもね

    ただ、この「わかりやすい」というのが曲者だと作中でも語られている

    「ああ。簡単に理解できて、道徳的に正しくて、受け入れやすい答えを聞けば、人は安心できるんだ。自分で宇宙について考えようと思ったら、ビッグバン説を理解するために、まず一般相対性理論を勉強しておく必要がある、物理の基本的な知識を学んで、量子力学とか専門的なことも勉強して……数学もできないといけないし……。そういうことを自分で考えるのが、しんどくて、面倒な人は、宇宙の秘密を知っているというアダムスキーさんみたいな人にたよりたいと思うんだろうね。」

    まさにコレ
    自分に理解できない事は、理解しやすくて自分に都合のいいものだけ信じるようになる傾向にある
    だから陰謀論とか信じる人が出てくるんだろうなぁ


    シリーズの3作通じて幽霊、占、UFOというオカルトをテーマにしつつ科学的なリテラシーの重要性を説くという個人的には満点をあげたい内容になっている
    それでいて、それらを信じている人を完全否定するわけでもなく様々な意見がある事を認めているのも好感が持てる
    (ま、個人的には単なるアホにしか見えないわけだけれどもね)

    小学生向けという事を前提にすると、藤野恵美のバランス調整力の凄さが伺える


    あと、ネーミングが若干滑ってないか?
    アダムスキー江尻、テレビ番組「デムパの沼」、天馬にしても「ペガサス」とでも読めばキラキラネーム丸出し感があるのが残念

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著者プロフィール

1978年大阪府生まれ。2004年、第2回ジュニア冒険小説大賞を受賞した『ねこまた妖怪伝』でデビュー。児童文学のほか、ミステリーや恋愛小説も執筆する。著書に、「2013年 文庫大賞」(啓文堂大賞 文庫部門)となった『ハルさん』、『初恋料理教室』『おなじ世界のどこかで』『淀川八景』『しあわせなハリネズミ』『涙をなくした君に』、『きみの傷跡』に連なる青春シリーズの『わたしの恋人』『ぼくの嘘』『ふたりの文化祭』などがある。

「2023年 『初恋写真』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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