はじめての構造主義 (講談社現代新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061488984

感想・レビュー・書評

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  • 構造主義の入門書として素晴らしい本。特に、構造主義の発生と近現代数学の発展との関係についての記述は、歴史の解釈の1つと割り切って読んだとしても、ワクワクする論旨展開になっていて、非常に面白い。そして、構造主義におけるブルバキの役割についてもはっきり言及されており、私が本書を手に取った目的を完遂することができた。モノに着目する際に、その表層(見た目)を無視して、裏にある機能の「構造」を切り出そうと試みることが構造主義だとしたら、代数系の間の準同型写像を構成するという現代数学の王道アプローチと、思想的にはほとんど変わりがない。(もっとも、現実のモノとモノの間に、厳密な準同型写像を構成できることはほとんどないのだが)

    ブルバキとは、「数学」の考察対象のすべてを「集合」と「写像」の概念で統一的に記述できるよう、病的なまでに注意深く「言葉(数学語)」を整備したグループである(たとえば、injectionやbijectionといった用語を「発明」したのはブルバキである)。レヴィ=ストロースがアンドレ・ヴェイユ(ブルバキのリーダー)との会合を重ねる中で、「構造」のアイデアを膨らましていった、というのは著者の仮説であるが(彼らに面識があったことを示す史料は存在する)、歴史の解釈の1つとして非常に面白いと思う。

    【関連レビュー】
    ・寝ながら学べる構造主義(内田樹)
     http://booklog.jp/users/asaitatsuya/archives/4166602519
    ・ブルバキ―数学者達の秘密結社(モーリス マシャル)
     http://booklog.jp/users/asaitatsuya/archives/4431709266

  • 構造主義の入門書として本著は広く読まれているようだ。個人的にはレヴィストロース風の構造主義はまるで面白くないのだが、構造主義の骨子を理解するにはレヴィストロースが必要なことはなんとなくは理解できた。結局のところレヴィストロースが何をしたかったのかがまるでわからない。相対という言葉を使うけれど、<構造>なるものは真理ではないのか?と感じる。真理がないというが、構造であるならば相対を果たしきれてはいないのではないか?また、レヴィストロースの思想自体は他の思想への影響力は極めて強かったのだろうが、その思想自身がより根源に迫りきれるものなのかどうかというとかなり不確かにも思われる。個人的には哲学とは真理への志向性と本人の嗜好が混ざり合ったものだと感じている。それがどちらなのかわからなくなりそのわからなくなった先にしかしなにやら見えてくるものがある。もしそれに成功したならばそれが哲学と言っていいのではないか?著者が後書きで述べているように、現代日本では独自の哲学を持っている人は少ない。ビジネス書やら芸人やらがそれぞれ哲学という言葉を簡単に使っては本を書いているけれど、彼らはそれを手に入れるために懸命に考えたのではなくて社会的に成功した後に、自分が何を考えて行動したのかを文章化しただけだろうと思われる。現代日本においては誰でも言えるような台詞が、社会的に成功したという一点において素晴らしい台詞となってしまう嫌いがある。おまけに現代日本人は年々頭が悪くなっているようにも思う。二十年前とか、三十年前とかならばやや高度な内容のものが広く読まれた。もちろん、大衆にはそれを理解しきれないので実際はそれを読まずにおいた人が大多数だろうが、しかし広く流通したものはそうした高度な内容を持っていた。今はそうではない。今は誰でも書けそうなレベルのものが広く流通している。誰でも読める代わりにこれといって内容がない。そのようなレベルのものをなぜだか礼賛する。もはや思想や知識が馬鹿らしいものだと感じられているのかもしれない。今は情報があればいい、そういった傾向にあるのだろう、と著者の後書きに触発されて書いてみた次第である。


    本著の内容を要約すれば、構造主義というものは相対性を肯定的に捉えようというものだと言えよう。ニーチェが言うところのニヒリズムが全てを相対化し虚無的に振舞うというのならば、構造主義は主客概念や西洋中心のヒューマニズムなどの近代精神への反省として生まれた思想であると言える。とはいえ、反人間主義ではない。西洋中心のヒューマニズムに反対しているだけであって、基本的に人間に重きを置いているところには代わりがないからである。レヴィストロースは自文化を相対化することで構造に迫ろうとしたのだ。個人的にはこれが真理といわずしてなんだろう?とは思うのだけれど、だから真理を相対化するというよりは、西洋中心の真理ではなくてより普遍的な人間としての真理を見つけるべきだと考えていたのではないか?とは思われる。だが、レヴィストロースについてはどうにも哲学者とは思われず、思想家というのはうなずけれるけれどきいていると人類学者にしか思えないのだ。一般に広く言われている構造主義やポスト構造主義は、構造主義の前後に繋がっている連綿とした流れから、それぞれが都合のいい部分を借用して自らの理論を作り上げているものの集合みたいなものでかなり混沌しているのは間違いない。とはいえ、その根本にあるものはソシュール的な言語学と西洋の遠近法より発達する幾何学と言えるようだ。そこにはかなりの根拠があるように映じる。とはいえ、その数学はどちらかと言えば文系よりな数学にも思われる。理論重視の数学とでも言えばいいのか。ちなみにレヴィストロース自体は抽象代数学に重きを置き、結果として空間的な分析を行っているのだが、これは相対性理論と比べるとやや相対性が不十分と言えるのかもしれない。このあたりのズレをどうにかできた人はいるのかいないのか不明ではある。ちなみにソシュールの言語学自体もそれが出現してくる必然性やそこに焦点が当たる理由もわかるのだが、実際に議論されていることはせせこましくてちまちましたものとなっているというのもまた事実なのではないだろうか?真理への志向性への反省としてその土俵自体を捉えようとするのがポストモダンであるはずなのだが、実際には周辺領域のテクニカルな議論に終始してしまっているような気がしないでもない。本著を読んでいて一番愉しく読めたのは数学的な部分だろうか?

  • 難しい理論や概念の本質を分かり易く教えてくれるという意味で、とてもいい本に出会いました。
    レヴィーストロースってすごい人なんですね。結婚・親族にかかわる全人類共通の構造を示して見せたのだから。なんて頭がいいのだろうと思います。こういった、できるだけ普遍的に仕組みを解き明かそうという考え方は自分にとっては興味があるものです。
    しかしこういった人類学や社会学、神話学って、現実世界を変えてるんのかなと思いました。例えばニュートン力学や相対性理論が科学技術を生んだというような意味で。

  • 再読中。

  • ほほう。ちゃんと理解した気はしないけど面白かった。

  • 修論に格闘してたとき、「君のやっているのは記号論なんやでぇ」と言われ、「記号論って何!?」と慌てて読んだ一冊。今思うと、なぜタイトルに「記号論」のキの字も入っていないこの本を手に取ったのかはまったく謎なのだが、結果的に現代思想の入門にはとても良かった。専門的な評価は分からないが、現代思想への導入としては、分かり易く、面白いので良いと思う。

  • おもしろい!!
    図書館で借りて一気に読みました。のちのちちゃんと買って手元に置いておきます。

  • 構造主義の入門書というと、それに属する人々の思想を簡潔にのべて終わってしまう場合が多く、はたして構造主義とはなんだろうという疑問がのこってしまうことが多い。しかしながら、本書はそのような個別の思想を箇条書きに記述するのではなく、あくまでも構造そのものを焦点にあてているので、エッセンスがとてもくみ取りやすいと思いました。

  •  レヴィ=ストロースに焦点をあてて、「構造主義」の来歴とそのエッセンスを紹介したもの。フーコーなど他の構造主義の思想家については簡単な紹介にとどまっている。

     ソシュールの言語学に端を発するある体系の対立的要素を書き出し、書き手という主体者を離れたテクストの「構造」を明らかにするという思考は、確かに斬新であるし、様々な分野に応用できる可能性を秘めていたことは理解できる。

     これをきっかけに色んな構造主義の本に手を出してみるのも悪くないと思った。

  • モダニズムからポスト構造主義へ

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著者プロフィール

1948年神奈川県生まれ。社会学者。東京工業大学名誉教授。1977年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学後、1989~2013年東京工業大学に勤務。『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『こんなに困った北朝鮮』(メタローグ)、『戦争の社会学』(光文社新書)、『丸山眞男の憂鬱』(講談社選書メチエ)など著書多数。共著に『ふしぎなキリスト教』(講談社現代新書、新書大賞2012を受賞)など。

「2019年 『4行でわかる世界の文明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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