はじめての構造主義 (講談社現代新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061488984

感想・レビュー・書評

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  • 正直言ってしまえば難易度は高いものです。
    はじめての~ととは付いていますが
    優しい代物ではないぜこりゃ。

    だけれども、こんな考え方が世の中には
    存在し、それを席巻する一方で
    どんな欠点があったのか、というのを
    知る意味では興味深いものがありました。

    最後の人物紹介は…
    おいおいちょっと待ちなさい、
    夭折している人多いじゃないか!!

    分からなくても、文章が良いので
    面白くは読めるはず。

  • 「構造主義」という、言葉は聞いたことあるものの、具体的な定義や意味についてよく理解できていなかった代物について、初学者の私でも「少しは理解できたかな」という気持ちにさせてくれる本。

    構造主義の始祖であるレヴィストロースの半生の解説から始まり、レヴィストロースがどのような人々と出会い、影響を受けたか、またその結果、なぜ当時の人類学とは違う論理体系(=構造主義)を構築することができたのかについて、分かりやすく、飽きさせない洒脱な文章で解説してくれます。

    私のつたない理解で構造主義を一言で要約してしまうと、「抽象化」であると捉えられました。従来型の人類学では、事実を機能により意味づけすることで理解しようとしていたけれども、その分析には限界があった(具体例は後述)。そのような状況の中、言語学や数学の世界で発展していた「構造化」(=事実を抽象化し、その重要な要素をとらえる手法)を人類学に適用することで、単純な機能の説明ではなく、その事実がなぜ・どのように構成されているかを理解できるようにしたのだと感じました。

    本書では、構造の具体的な例として、人類学における婚姻可能な範囲の問題と、神話学の体系化の大きく2つ挙げています。ここでは、特に面白かった婚姻可能な範囲の問題について触れます。

    世界中の様々な文化・部族において、近親相姦はタブーとされていますが、その範囲についてはまちまちです。例えば、日本ではいとこの結婚はOKですが、ある部族では、いとこの結婚は認められず、またある部族では、いとこでも母方の交叉いとこの娘(=母の男兄弟の娘)はOKだが、父方の交叉いとこの娘(=父の女姉妹の娘)はNGなど。従来型の機能に着目した意味づけでは、父方と母方のいとこに違いは認められず、これは意味不明で説明がつかないことでした。

    レビィストロースは、この事実を解釈するにあたり、「そもそも婚姻は親族や部族間での女性の交換である」という仮説を立てます。この仮説に従うと、母方の交叉いとこの娘は自分の所属する部族とは別の部族の出身となり、結婚相手の候補となりえますが、一方で父方の交叉いとこの娘は、他部族に嫁いだ母親の、その娘ということになり、女性が嫁ぎ先から送り返されているということになり、婚姻を女性の交換ととらえた際には認められないことになります。このようにぱっと見の事実を分析者の主観に基づき分析するのではなく、主観を排除しその裏にある構造に基づき事実を分析することで、より高度な理解が得られるというのです。


    構造主義について勉強してみたい人の最初の本には最適だと思いました。

  • 第1章 「構造主義」とはなにか
    第2章 レヴィ=ストロース―構造主義の旗揚げ
    第3章 構造主義のルーツ
    第4章 構造主義に関わる人びと―ブックガイド風に

    著者:橋爪大三郎(1948-、神奈川県、社会学)

  • 350円購入2006-04-05

  • メモ

    いつ読んだのか定かではない、おそらく10年前か。
    構造主義は社会構造の観察で
    主義と呼ばれるものなのか疑問です。
    「私は構造主義者です」とは聞いたことが私はない。
    橋爪さんは社会学だが、
    構造主義は哲学、心理学、人類学…に及ぶ。


    思うのは
    理論/実践 theory/practiceについて

    実践、事象、経験の観察から
    確率的に多いと導かれたものを、
    うまく説明するために
    理論が存在する。

    理論は確率的に高いことをいうが、

    時間とともに個々の
    実践、事象、経験は変わりゆくので
    その集積から導かれる理論は変容する。

    今現在の理論集合体を構造と言っているのかと思う。



  • 構造主義については100分de名著で扱われてから気になっていた学問。それを、こんな私にも理解しやすい言葉で表現してくれる学者だな、と思っていた橋爪大三郎が解説。やはり分かりやすかった。構造主義のプリコラージュについては、大きく言及されてなかった(理解が及ばなかった)から、もうちょっと調べたい。神話の章は、再読したい。親族に関する内容はかなり興味深かった。
    最後の章に言及されていた"日本的"という部分、もう少し突き詰めて考えてみたい。日本は思想を輸入しては分かった気になっているだけなのかも。
    思想と宗教に関して、もう少し詳しく勉強しないと、やはりスッキリしない。自分のモノになった感じが、まだしない。

  •  レヴィ=ストロースとリーバイ=ストラウスの綴りが同じというツカミにはまり、一気に通読。読者に理解させるための書き方を徹底した、本物の良書だと思う。ある概念を理解するための読書体験を、これほど面白く提供してくれた著者を尊敬する。[more]

    <blockquote>
    【読書メモ、趣旨引用】
     ・ 社会がまずあって、そのなかにコミュニケーションの仕組みができる、というのじゃない。そうではなくて、そもそも社会とは、コミュニケーションの仕組みそのものだ、というのだ p100
     ・ 『野生の思考』(パンセ・ソバージュ)は「三色スミレ」(フランス語で同音) p107
     ・ 視点が移動すると、図形は別なかたちに変化する(射影変換される)。そのときでも変化しない性質(射影変換に関して普遍な性質)を、その図形の一群に共通する「骨組み」のようなものといういみで、<構造>とよぶ。<構造>と変換とは、いつでも、裏腹の関係にある。<構造>は、それらの図形の「本質」みたいなものだ。が、<構造>だけでできている図形などどこにもない。<構造>は目に視えない。その意味で、抽象的なものだ p168
     ・ レヴィ=ストロースは、主体の思考(ひとりひとりが責任をもつ、理性的で自覚的な思考)の手の届かない彼方に、それを包む、集合的な思考(大勢の人びとをとらえる無自覚な思考)の領域が存在することを示した。それが神話である。神話は、一定の秩序−−個々の神話の間の変換関係にともなう<構造>−−をもっている。この<構造>は、主体の思考によって直接とらえられないもの、”不可視”のものなのだ。 p190
     ・ 構造主義; 自文化を相対化し、異文化を深く理解する方法論 p232

    【目次】
     はしがき
     1.「構造主義」とは何か
      -構造主義がやってきた
      -ブームの火付け役
      -マルクス主義と実存主義
      -サルトルとの論争
      -構造主義は「反人間主義」なのか?
      -構造主義の方法
      -現代思想は構造主義に始まる
      -「構造」って、わかりにくい
      -構造主義の核心に迫る
     2.レヴィ=ストロース:構造主義の旗揚げ!
      -『悲しき熱帯』の衝撃
      -レヴィ=ストロースの修行時代
      -アメリカ亡命時代
      -天才ソシュール
      -記号しての言語
      -シニフィアン
      -ニシフィエ
      -レヴィ=ストロースのひらめき
      -音韻論の発展
      -音素をみつけだす
      -恣意性の原理
      -母音三角形と子音三角形
      -レヴィ=ストロースの悩み
      -機能主義の人類学
      -機能主義の弱点
      -人類学の原点にかえる
      -インセスト・タブーの謎
      -イトコにもいろいろある
      -親族呼称の不思議
      -謎の婚姻クラス
      -親族の基本構造
      -クラ交換
      -贈り物としての女性
      -女性の価値
      -限定交換
      -一般交換
      -難問もつぎつぎ解決
      -コミュニケーションの一般理論
      -交換することが生きること
      -構造人類学の成功
      -神話研究と<構造>
      -「構造」か<構造>か
      -神話研究の行き詰まり
      -神話学の手順
      -神話学は客観的な方法か
      -神話学と、テキストの解体
     3.構造主義のルーツ
      -構造主義のルーツは数学
      -真理から制度へ
      -証明という制度の発見
      -平行線公理
      -幾何学と論理学
      -デカルトからニュートンへ
      -理性の時代
      -カントの批判哲学
      -非ユークリッド幾何学の登場
      -公理主義から形式主義へ
      -物理学の革命
      -真理の相対主義
      -遠近法にさかのぼる
      -遠近法のウソ
      -ヨーロッパ社会と絵画
      -遠近法と「視る主体」
      -遠近法の合理性
      -平行線が交わる?
      -射影変換と図形の群
      -交換群と<構造>
      -同型写像と代数構造
      -ブルバキ派と現代数学
      -レヴィ=ストロースとのつながり
      -オーストラリアの代数学者
      -ふたたび、神話の<構造>とは何か
      -置換群としての神話
      -神話学へのいちゃもん
      -主体が消える
     4.構造主義に関わる人びと:ブックガイド風に
      -ほんのスケッチ・人物篇
        ミシェル・フーコー
        ルイ・アルチュセール
        ロラン・バルト
        ジャック・ラカン
        ジュリア・クリステヴァ
        ジャック・デリダ
      -ほんとにブックガイド
        言語学関係
        人類学関係
        レヴィ=ストロースの主な本・書いた順に
        構造主義に関連して
        数学と遠近法について
        日本人による仕事の一例としては
        ポスト構造主義に入門するのなら
     5.結び
      -構造主義は時代遅れか
      -ポスト構造主義は新しいか
      -ポスト・モダンの大流行り
      -モダニズムがんばれ
      -これからどうする・傾向と対策</blockquote>

  • ◯事前知識
    ・構造主義
    人間やイデオロギーなどあらゆる現象を細分化し、客観的で普遍な構造を追求
    例:人間(男と女)

    ◯1章:構造主義とは何か
    ・火付け役(構造主義の四天王)
    クロード・レビィ=ストロース -> サルトル(マルクス主義)と論争
    ラカン
    フーコー
    アルチュセール

    ・構造主義とは何か
    歴史や西欧的な人類学を否定し、もう一度位置づけ直す。

    現代思想(ポスト構造主義を含む)は構造主義を通ってきている
    《マルクス主義→構造主義→ポスト工場主義》

    ◯2章:レビィ=ストロース
    ・レビィ=ストロースに生い立ち
    ベルギー生まれ
    哲学を学ぶ
    人類学に転向、3年間ブラジルに渡る(よくフィールド調査をする)
    戦争の後、アメリカへ亡命
    言語学者ローマン・ヤーコブソンと出会う

    ・レビィ=ストロースが長年抱いていた疑問
    「機能主義人類学のように親族を捉えていくだけでは、少しも原住民の魂に迫ったことにならない。」
    機能主義人類学:全て機能で説明しようとする。AがBのために役に立ち、BがCのために役にたつという様に目的/手段の連鎖が一列に並んでいる考え方。
    近親相姦や親族呼称など機能主義人類学では説明できない謎がある。

    ・ヤーコブソンによる解答(解決方法)
    ソシュールの言語思想

    言語学者ソシュール
      印欧祖語の母音の研究で有名
      しかし、言語の歴史的研究ではなく、人間と言語の深いつながりの秘密を明らかにしようとした
      言語はまず体型(日本語、英語など)があり、音(シニフィアン)と意味内容(シニフィエ)で成り立つ
      言葉が指すものは、世界の中にある実物ではなく、社会・文化的に決められているだけである

    ・レビィ=ストロースはソシュールの言語思想の中の音韻論を人類学に応用
    「親族の基本構造」という書物を出版。
    内容は「親族は女性を交換するためにある」という仮説を実証するもの。
    モースの考えに影響される→近親相姦など「交換するからタブーである」(社会関係が関係する)
    交換すること、言葉を話すことが「人間らしさ」
    論文集「構造人類学」を出版
    これが人類学だけにはとどまらず、大きな影響を与えて「構造主義」が知られるようになる
    〜ここからは「後期のレビィ=ストロース」といわれる
    神話学に没頭
    人間精神の隠された<構造>を研究
    神話学とテキスト(聖書など)を代数学的操作をすることで解体して、本来テキストが言いたいこと(神のお告げ)ではなく、本当の<構造>を探った
    マルクス主義も「資本論」や「共産党宣言」などのテキストがあることから、なしくずしに成立しなくなる
    これによって近代ヨーロッパの知の伝統を支配した、主体の形而上学がいよいよ解体していく
    では神話学の<構造>とはなにを指すのか→3章へ

    人類学者モース
      「価値があるから交換する」のではなくて「交換するから価値がある」

    音韻論とは
      言語学・・・音韻論、統語論、意味論に分けられる
      音韻論・・・音韻音は言語がどんな音から成り立っているのかを明らかにするもの
      統語論・・・文法
      意味論・・・意味

      音素・・・日本語をローマ字にした時に一文字にあたる
      音(素)が似ているからといって、意味が似ている訳ではない(例:inuとisu)
      どういう音からできているかではなく、人々がどう区別しているかが大切

    ◯3章:構造主義のルーツ
    ・構造主義に至るまでの思想上の系譜
    遠近法と構造主義を結ぶものが数学
    遠近法→射影幾何学→ヒルベルトの形式主義→ブルバギ(数学者グループ)の<構造>→レビィ=ストロースの<構造>
    遠近法は見る場所・時間によって物体が違って見える
    射影幾何学とは図形がスクリーン上にどのように表れるかを研究する学問
    視点を移動すると、図形は別の形に変化する。それでも変化しないような性質のものを<構造>とよぶ。
    <構造>は図形の本質のようなもので目に視えず抽象的なものである。

    ・神話学の<構造>
    <構造>と(数学的な)変換とは、裏腹の関係にある。
    だから、神話に<構造>があると考えるのと、神話はつぎつぎ変換されていくものだと考えるのとは、一緒のことである。
    レビィ=ストロースは主体の思考(ひとりひとりが責任を持つ、リセ的で自覚的な思考)の手の届かない彼方に、それを包む、集合的な思考(大勢の人々をとらえる無自覚な思考)の領域が存在することを示した。それが神話である。神話は、行っての秩序 - ここの神話の間の変換関係にともなう<構造> - をもっている。この<構造>は、主体の思考によって直接捉えられないもの、「不可視」のものだ。

    ◯4章:構造主義に関わる人々
    ミシェル・フーコー(1926-1984):哲学者。レビィ=ストロースの構造主義に、歴史を持つ社会に対しての説明を付加した
    ルイ・アルチュセール (1918-1990):フランスの共産党員。マルクス主義の資本論を構造主義の手法で読んだ
    ロラン・バルド(1915-1980):フランスの記号論の草分けのひとり
    ジャック・ラカン(1901-1981):フランスの精神分析学者
    ジュリア・クリステヴァ(1941-)
    ジャック・デリダ(1930-):ポスト構造主義

    ◯5章:おわりに
    構造主義とは・・・自文化を相対化し、異文化を深く理解する方法

  •  
    ── 橋爪 大三郎《はじめての構造主義 19880518 講談社現代新書》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4061488988
     
     Hashimoto, Daisaburou 社会学 19481021 神奈川 /東京工業大学名誉教授
    https://booklog.jp/search?keyword=%E6%A9%8B%E7%88%AA%E5%A4%A7%E4%B8%89%E9%83%8E&service_id=1&index=Books
     
    …… (19681021)20歳の誕生日に全共闘と共に新宿駅のターミナルを
    通過する貨物列車襲撃を起こしたためマイ・シティビルの東口にあった
    窓から逃げれたものの仲間のように逮捕されかけた。日本福音ルーテル
    教会の教会員(信者・クリスチャン)。(Wikipedia)
     
    …… 主体はサブジェクトの語義からわかるように、神の下に置かれて
    いたが、ルネサンスの人文主義のもと、文字通り「主体」としての地位
    を獲得する。
    https://blogs.yahoo.co.jp/soko821/9810561.html
     
    …… 自然は円筒形と球形と円錐形によって扱い、総てを遠近法のなか
    に入れなさい(セザンヌの言葉)。出典未詳
    https://blogs.yahoo.co.jp/haru21012000/11328867.html
     
    〔序〕 近代以前 ~ 印象派の出現は、芸術の“絶対性”を主張した ~
    〔破〕 セザンヌの静物画 ~ 歴史を変えた四つのリンゴ ~
    〔急〕 他律から自律へ ~ 高校文芸部の後輩に教わったこと ~
    http://q.hatena.ne.jp/1526133650#a1267526(No.1 20180514 14:00:31)
     
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%B1%F3%B6%E1%CB%A1
     遠近法
    https://twilog.org/awalibrary/search?word=%E9%81%A0%E8%BF%91%E6%B3%95&ao=a
     
    (20180515)
     

  • 軽やかな語り口で構造主義が分かる。
    この手の入門書は「一冊読めば分かる!」みたいな顔をするが、この本はレヴィ=ストロースに多くを割くなど、自覚的に入門書たろうとしており、多くの本が紹介され今後の学習につながるよう工夫されているのに好感が持てる。

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著者プロフィール

はしづめ・だいさぶろう 1948年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。社会学者。東京工業大学名誉教授。主な著書に『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『言語派社会学の原理』(洋泉社)、『政治の教室』(講談社学術文庫)、『面白くて眠れなくなる社会学』(PHP研究所)、『橋爪大三郎コレクション1~3』(勁草書房)、『丸山眞男の憂鬱』(講談社選書メチエ)、『政治の哲学』(ちくま新書)など多数。大澤真幸氏との共著に『ふしぎなキリスト教』『げんきな日本論』(ともに講談社現代新書)、『ゆかいな仏教』『続・ゆかいな仏教』(ともにサンガ新書)、『アメリカ』(河出新書)などがある。

「2019年 『小林秀雄の悲哀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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