はじめての構造主義 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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本棚登録 : 2026
レビュー : 212
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061488984

感想・レビュー・書評

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  • これは面白かった!
    特にレヴィ=ストロースの人類学のアイデアや、それに関するモースの贈与論、ソシュールの音韻論や記号論などここまで詳しく、かつ分かりやすく書いてある本は他に読んだことが無い。
    中盤の数学史と構造主義の関連を説明する部分は脳みそとろけるかと思うほど面白かった。
    内田樹の『寝ながら学べる構造主義』の後に読むと、理解が深まって良いと思う。
    これはオススメ!

  • 「構造主義」という、言葉は聞いたことあるものの、具体的な定義や意味についてよく理解できていなかった代物について、初学者の私でも「少しは理解できたかな」という気持ちにさせてくれる本。

    構造主義の始祖であるレヴィストロースの半生の解説から始まり、レヴィストロースがどのような人々と出会い、影響を受けたか、またその結果、なぜ当時の人類学とは違う論理体系(=構造主義)を構築することができたのかについて、分かりやすく、飽きさせない洒脱な文章で解説してくれます。

    私のつたない理解で構造主義を一言で要約してしまうと、「抽象化」であると捉えられました。従来型の人類学では、事実を機能により意味づけすることで理解しようとしていたけれども、その分析には限界があった(具体例は後述)。そのような状況の中、言語学や数学の世界で発展していた「構造化」(=事実を抽象化し、その重要な要素をとらえる手法)を人類学に適用することで、単純な機能の説明ではなく、その事実がなぜ・どのように構成されているかを理解できるようにしたのだと感じました。

    本書では、構造の具体的な例として、人類学における婚姻可能な範囲の問題と、神話学の体系化の大きく2つ挙げています。ここでは、特に面白かった婚姻可能な範囲の問題について触れます。

    世界中の様々な文化・部族において、近親相姦はタブーとされていますが、その範囲についてはまちまちです。例えば、日本ではいとこの結婚はOKですが、ある部族では、いとこの結婚は認められず、またある部族では、いとこでも母方の交叉いとこの娘(=母の男兄弟の娘)はOKだが、父方の交叉いとこの娘(=父の女姉妹の娘)はNGなど。従来型の機能に着目した意味づけでは、父方と母方のいとこに違いは認められず、これは意味不明で説明がつかないことでした。

    レビィストロースは、この事実を解釈するにあたり、「そもそも婚姻は親族や部族間での女性の交換である」という仮説を立てます。この仮説に従うと、母方の交叉いとこの娘は自分の所属する部族とは別の部族の出身となり、結婚相手の候補となりえますが、一方で父方の交叉いとこの娘は、他部族に嫁いだ母親の、その娘ということになり、女性が嫁ぎ先から送り返されているということになり、婚姻を女性の交換ととらえた際には認められないことになります。このようにぱっと見の事実を分析者の主観に基づき分析するのではなく、主観を排除しその裏にある構造に基づき事実を分析することで、より高度な理解が得られるというのです。


    構造主義について勉強してみたい人の最初の本には最適だと思いました。

  •  レヴィ=ストロースとリーバイ=ストラウスの綴りが同じというツカミにはまり、一気に通読。読者に理解させるための書き方を徹底した、本物の良書だと思う。ある概念を理解するための読書体験を、これほど面白く提供してくれた著者を尊敬する。[more]

    <blockquote>
    【読書メモ、趣旨引用】
     ・ 社会がまずあって、そのなかにコミュニケーションの仕組みができる、というのじゃない。そうではなくて、そもそも社会とは、コミュニケーションの仕組みそのものだ、というのだ p100
     ・ 『野生の思考』(パンセ・ソバージュ)は「三色スミレ」(フランス語で同音) p107
     ・ 視点が移動すると、図形は別なかたちに変化する(射影変換される)。そのときでも変化しない性質(射影変換に関して普遍な性質)を、その図形の一群に共通する「骨組み」のようなものといういみで、<構造>とよぶ。<構造>と変換とは、いつでも、裏腹の関係にある。<構造>は、それらの図形の「本質」みたいなものだ。が、<構造>だけでできている図形などどこにもない。<構造>は目に視えない。その意味で、抽象的なものだ p168
     ・ レヴィ=ストロースは、主体の思考(ひとりひとりが責任をもつ、理性的で自覚的な思考)の手の届かない彼方に、それを包む、集合的な思考(大勢の人びとをとらえる無自覚な思考)の領域が存在することを示した。それが神話である。神話は、一定の秩序−−個々の神話の間の変換関係にともなう<構造>−−をもっている。この<構造>は、主体の思考によって直接とらえられないもの、”不可視”のものなのだ。 p190
     ・ 構造主義; 自文化を相対化し、異文化を深く理解する方法論 p232

    【目次】
     はしがき
     1.「構造主義」とは何か
      -構造主義がやってきた
      -ブームの火付け役
      -マルクス主義と実存主義
      -サルトルとの論争
      -構造主義は「反人間主義」なのか?
      -構造主義の方法
      -現代思想は構造主義に始まる
      -「構造」って、わかりにくい
      -構造主義の核心に迫る
     2.レヴィ=ストロース:構造主義の旗揚げ!
      -『悲しき熱帯』の衝撃
      -レヴィ=ストロースの修行時代
      -アメリカ亡命時代
      -天才ソシュール
      -記号しての言語
      -シニフィアン
      -ニシフィエ
      -レヴィ=ストロースのひらめき
      -音韻論の発展
      -音素をみつけだす
      -恣意性の原理
      -母音三角形と子音三角形
      -レヴィ=ストロースの悩み
      -機能主義の人類学
      -機能主義の弱点
      -人類学の原点にかえる
      -インセスト・タブーの謎
      -イトコにもいろいろある
      -親族呼称の不思議
      -謎の婚姻クラス
      -親族の基本構造
      -クラ交換
      -贈り物としての女性
      -女性の価値
      -限定交換
      -一般交換
      -難問もつぎつぎ解決
      -コミュニケーションの一般理論
      -交換することが生きること
      -構造人類学の成功
      -神話研究と<構造>
      -「構造」か<構造>か
      -神話研究の行き詰まり
      -神話学の手順
      -神話学は客観的な方法か
      -神話学と、テキストの解体
     3.構造主義のルーツ
      -構造主義のルーツは数学
      -真理から制度へ
      -証明という制度の発見
      -平行線公理
      -幾何学と論理学
      -デカルトからニュートンへ
      -理性の時代
      -カントの批判哲学
      -非ユークリッド幾何学の登場
      -公理主義から形式主義へ
      -物理学の革命
      -真理の相対主義
      -遠近法にさかのぼる
      -遠近法のウソ
      -ヨーロッパ社会と絵画
      -遠近法と「視る主体」
      -遠近法の合理性
      -平行線が交わる?
      -射影変換と図形の群
      -交換群と<構造>
      -同型写像と代数構造
      -ブルバキ派と現代数学
      -レヴィ=ストロースとのつながり
      -オーストラリアの代数学者
      -ふたたび、神話の<構造>とは何か
      -置換群としての神話
      -神話学へのいちゃもん
      -主体が消える
     4.構造主義に関わる人びと:ブックガイド風に
      -ほんのスケッチ・人物篇
        ミシェル・フーコー
        ルイ・アルチュセール
        ロラン・バルト
        ジャック・ラカン
        ジュリア・クリステヴァ
        ジャック・デリダ
      -ほんとにブックガイド
        言語学関係
        人類学関係
        レヴィ=ストロースの主な本・書いた順に
        構造主義に関連して
        数学と遠近法について
        日本人による仕事の一例としては
        ポスト構造主義に入門するのなら
     5.結び
      -構造主義は時代遅れか
      -ポスト構造主義は新しいか
      -ポスト・モダンの大流行り
      -モダニズムがんばれ
      -これからどうする・傾向と対策</blockquote>

  • もうこれで構造主義の入門書は何冊読んだことか。
    要するに理解したい、そして実践したいと切望していながら、よくわかっていないんでしょうな。

    でも、20年近く前に書かれた本書を読んで、今まで以上に構造主義の輪郭がはっきりしてきた。残念なことに、これまでの構造主義に関する本を読んだ後の感想はいつもこれなのだが。
    けれども今回は、構造主義をこれまで以上に相対化できた。つまりこれって構造主義的な考えができるようになったってことかしら。

    構造主義の入門書としてはこれまで読んだ中でベストだと思います。

  • 社会学者・橋爪大三郎による構造主義の入門書。1988年出版であるが、内田樹の『寝ながら学べる構造主義』(2002年)と並ぶ構造主義に関する好著として、いまだ評価の高いロングセラーである。
    本書では、兎角わかりにくいイメージの現代思想・“構造主義”の本質を、「人間や社会のあり方を、歴史(と言って悪ければ、西欧思想の色めがね)抜きに直視する方法」、「西欧を中心としてものをみるのをやめ、近代ヨーロッパ文明を人類文化全体の拡がりのなかに謙虚に位置づけなおそう、という試み」、「西欧近代の腹のなかから生まれながら、西欧近代を喰い破る、相対化の思想」と、極めてシンプルに言い切っている。そして、構造主義の生みの親と言われる仏の文化人類学者・レヴィ=ストロースがそうした発想を得るまでの、フィールドワークと研究の過程・成果を具体的に説明している。
    著者は「構造主義の代表格をひとりあげなさい、と言われたら、レヴィ=ストロースの名前を出しておけば間違いない」といい、ミシェル・フーコー、ルイ・アルチュセール、ロラン・バルト、ジャック・ラカン、ジュリア・クリステヴァ、ジャック・ラカンら、その他の構造主義者ついても触れてはいるものの、それぞれ3~4ページ程度である。
    一方、内田氏の『寝ながら学べる構造主義』は、フーコー、バルト、レヴィ=ストロース、ラカンを構造主義の四銃士と位置付け、それぞれの思想を均等に解説しており、同じ入門書でも異なったアプローチをしている。
    ただ、本書のわかりやすさは特筆すべきであり、個人的には、はじめて構造主義に触れるのであれば、本書から入ることをお勧めしたい。
    (2005年7月了)

  • 初版本を何度も読み返している。

  • 構造主義の成り立ちを理解する本。社会学分野だけでなく、数学の分野の話もあるので、途中抵抗がありながらも、学問同士の垣根を取り除いた話が読めるので良い一冊。
    哲学を学ぶときに知識を蓄えるような読み方でなく、提唱者の思考過程を追う楽しみを知った

  • レヴィストロースが気になり読みました

  • いかにもキャッチーな切り口でソシュール、レヴィ=ストロース、神話論、記号論などの取っ付きにくい構造主義の思想をコンパクトに概観した入門書。今でも読まれてるかな?

  • 中三ぐらい?のときに国語の教員にすすめられて読んだ本。

    構造主義って何?っていう中学生でもちゃんと理解できる本。

    良書。

    しかし構造主義なんてもはや死語とか言っちゃいけない

著者プロフィール

はしづめ・だいさぶろう 1948年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。社会学者。東京工業大学名誉教授。主な著書に『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『言語派社会学の原理』(洋泉社)、『政治の教室』(講談社学術文庫)、『面白くて眠れなくなる社会学』(PHP研究所)、『橋爪大三郎コレクション1~3』(勁草書房)、『丸山眞男の憂鬱』(講談社選書メチエ)、『政治の哲学』(ちくま新書)など多数。大澤真幸氏との共著に『ふしぎなキリスト教』『げんきな日本論』(ともに講談社現代新書)、『ゆかいな仏教』『続・ゆかいな仏教』(ともにサンガ新書)、『アメリカ』(河出新書)などがある。

「2019年 『小林秀雄の悲哀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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