はじめての構造主義 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061488984

感想・レビュー・書評

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  • パートナーの部屋の本棚から借りて読了。非常に読みやすかったので一気読みしてしまいました。とはいえ高校生が読むのでさえやや難しい上に時代感がどんどん古くなりつつあるので今のZ世代以降にとってどれだけピンとくるのかどうか。

    分かりやすいのは分かりやすいけど、分かりやすいだけではない奥行きがある本で、何度も繰り返し読みたくなるような知的冒険に溢れた本だと思います。
    私としては、人類学や言語学を噛み砕いて説明してくれただけじゃなく、現代数学まで噛み砕いてくれたあたり「助かるわぁ〜」という感じなのですが、更に人類学-言語学-数学のそれぞれの関係性や相互作用を明らかにしてくれたのもまた「助かるわぁ〜」と感銘を受ける。
    およそ構造主義を理解するにあたって読むべき重要文献のリストと前提知識のサブセットが見通せるようになったし、もっと言えばポスト構造主義以降の哲学書の読み方なんかもレクチャーしてくれる、まさに物事の理解の助けにも歩むべき道の標的な助けにもなる。「助かるわぁ〜」尽くしの本と言えるでしょう。

    鵜呑みにしなければ、という話ではありますが。

    それにしても、構造主義が日本に輸入されて広まっていったあたりの時代の空気感もほんのりと伝わってくるあたり、日本における構造主義の受容(ということが果たして言えるのか?)史的なのを考えるうえでも参考になる本ですね。
    日本にいる私たちはそもそも、構造主義が登場しなければならないようなポスト・モダン的状況にどこまで置かれてきただろうか。
    どの程度まで文化的反省をしてきただろうか。
    日本には日本の課題があって、それは構造主義でどうにかなる課題とはまた違った課題なのではないか。
    最後になって、
    「とまぁ、構造主義の話は一通りしてきましたが、えー……で、君にとってこのような方法は本当に必要なのかね?」
    と突き放されたような感じがしております。

    まぁ、私はただの本の虫、ただの数寄者なんで、勘弁してよ、と言いたいところですが。

  • 初読

    構造主義少しはわかるようになったらいいな〜

    と淡い期待で読み始め、おお、確かにわかりやすい、
    これが入門書か…と読み進め、
    ふむふむここでソシュールの言語学が出てくるのか…中身はよくわからないけど……
    そして親族の基本構造ね……交換システム構造もイマイチかわらないけど……そして神話学…これはプロップの物語論とは違うの??

    から、第三章「構造主義のルーツ」
    であらゆる数学、幾何学が出てきて、わからなすぎて泣いた

    今回はレヴィ=ストロースの人生の概要がわかっただけで、
    肝心の構造主義自体は全く理解出来ませんでした。
    でも多分、面白い。この本。
    「寝ながら学べる構造主義」を読んでからまた来ます、、、

  •  なんで読もうと思ったのか忘れてしまったが、構造主義について知りたかったのは確かだ。
     構造主義とはなにかといえば、変換を通して不変の構造を見つける方法だと言えるだろう。ただし、細かい部分は本書を読んで欲しい。
     参考図書にガードナーがピアジェとレヴィ・ストロースを並べた本が挙がっていた。ピアジェは子どもの発達を研究した心理学者だ。未開社会が文明社会に劣っていないのと同じく、子どもも大人に劣っていない。それを思うに、当時の西洋社会では権威の相対化とでも言える大きな流れがあったのだろう。他にもクライエント中心療法を研究したカウンセラーのロジャーズがいる。
     ここからは私事だが、現在、社会福祉の勉強をしている。ピアジェもロジャーズも社会福祉向けの心理学に登場する人物だ。おまけに60年代の公民権運動に端を発するエンパワメントは社会福祉の分野では重要な概念だ。しかし、人類学者レヴィ・ストロースは登場しない。上記の概念を構造主義を中心とした大きな流れとして把握せず、小手先の技術として利用しようとしたことが日本の社会福祉の低迷の一因だと思える。

  • わかりやすいけど、マルクス主義が何かを事前知識として入れとかなきゃいけない。いわゆる歴史(ヨーロッパ史)至上主義的なのに限界を感じて生まれたのが構造主義なのか。自文化を相対化し、異文化を深く理解する方法論。これに尽きるかなと。

    橋爪さんの本ははじめてだったけど、文体に可愛げのある正直さとユーモアのある表現が隠れていて、読んでいてクスッと笑えた。ポスト構造主義と構造主義の繋がりとか、すごく言葉を噛み砕いて説明してくれるからありがたい。

  • 初めて構造主義を知るにはとてもちょうどよかった。構造主義にも、構造主義以前の思想にも、構造主義よりあとの現代思想にも、自分なりの思想を作ることにも、興味を持てるようなつくりになっていた。

  • 同じく構造主義に関する基礎的事項の説明がある『寝ながら学べる構造主義』(内田樹)を最近読んだためどうしてもそちらとの比較論になりがちなわけではあるが, 極力目を瞑ってほしい
    ちなみに結論から言うと解りやすさと話題の広範さについては『はじめての構造主義』が勝ると感じた

    まずは数学, 何よりも数学, 構造主義を論ずるには数学は不可欠なのだ
    本著ではユークリッド幾何学以降のさまざまな幾何学を位相変換の概念なども交えながら, 簡単に紹介しただけではあるが個人的には大変刺激的であった
    対してそのような内容は内田氏の書著では全く触れられておらず, 私自身も数学がこれほど密接に現代思想に関わっているのかと面食らってしまった
    加えて, 当時の西洋思想家たち(レヴィ=ストロース,サルトル,フーコーetc...)の数学的/自然科学的素養のレベルの高さを鑑みると, 改めて日本の哲学及び(経済学などを除いたゴリゴリの)文系の学者における数学的/自然科学的素養の欠如を思い知らされた

    思想の入門書というものは得てして、その主張や歴史的立場の説明に注力してしまうものだが, 本書は「ソシュールの恣意性原理」, 「ヤーコブソンの二項対立原理」等, 一見無関係にも思える言語学の変遷について論じられている
    それらの事柄がいかにレヴィ=ストロースの構造人類学及びのちの構造主義に多大な影響を与えたかについてある程度(ホントに, ある程度, すんなりはわからねぇよ)理解することができた
    一方の神話分析に関してはレヴィ=ストロースのそれと同様、あまりにも再現性が低くちょっとやそっとでは初歩的理解さえままならなかった

    第四章『構造主義に関わる人びと ほんのスケッチ』もとても魅力的だ
    彼らの主張を一つ一つ説明しているわけではないが(不可能だと思う), フーコーやアルチュセール, デリダらがどんな人間であるかについて, ほんの一欠片ではあるがまさに「スケッチ」的に描かれている
    最終的には当時の日本の思想に対する批判になってしまっていたが、その痛烈な批判もこの国の本質を言い当てており思わず唸ってしまうものだった

    遥か彼方の未来, 構造主義が完全に過去のものとして葬られた時, まだこの日出る国が残っていたとしてもその国民はおそらく1960〜1980年代と同じように流行り物に飛びつくだけの中身のない雑食動物となるだろう...

  • レヴィ=ストロースおじさん

  • 自民族中心主義の色眼鏡があることの意識を促し、それを取り払う助けとなる思想が構造主義だと理解した。競争社会に身を置く、我々現代人にとって一読すべき価値ある本だと感じた。

  • 結構面白くわかりやすい。
    レヴィストロースの、ソシュールの系譜を継ぐ部分と数学的系譜を継ぐ部分はどちらも「構造依存的である」ということを人類学(異文化の説明)に応用したのだろう。と理解している。(言語は「いす」と発音した時、おそらく発声というか音の響きとか考えると同じ「いす」ではないのに私たちはその音をいつも同じ「いす」だと認識できる。数学の方は、じゃんけんで「グーチョキパー」も「きつね庄屋猟師」でも同じルールだと発見できる。それは構造に依存しているから。)
    それで「親族の基本構造」と「神話の構造」を表した。

  • 言葉は知っているが、そもそも思想なのか理論なのか……。いちどゼロ地点に戻ろうと手にした本。構造主義の旗揚げとされるレヴィ=ストロースを中心に解説。神話学やら代数学やら、途中、私はなんの本を読んでいるのかと戸惑いつつ、最終ページの「自文化を相対化し、異文化を深く理解する方法論」という一文で、ゼロから一歩ほど踏み出せた気はする。新書一冊で理解できるものではないが、次に進む道しるべとしては最適に思えた。

  • 構造主義にも慣れてきたかなと思い、逆に入門書を手に取ってみた。そしてまだまだ自分は分かってなかったんだなと反省した。言語学や二項対立など既知の知識はもちろん多かったが、新たに知ったことも非常に多かった。本書は主にレヴィ・ストロースを中心に書かれており、〈構造〉とはそもそも何か、遠近法や数学との関係、構造主義に関する思想をざっと知ることができる。やはりレヴィ・ストロース解説の箇所はとても読み応えがあった。難しい箇所もあるが確かに入門者にはうってつけの著作だと思う。ボクももっと構造主義を知りたいと感じた。

  • 構造主義がどれくらい近代思想にとって破壊的だったかよく分かる本。
    哲学書の類いはほぼ読んだことが無かったが、詰まることなく読み進められた。分かりやすい。

  • レヴィ・ストロースの人類学を見ていけば、最近読んだ本たちによくでてきた、黒人奴隷の問題の出口がわかってくるのかもしれないという予感の元、読み進めていきました。まあ、構造主義自体もう何十年も前にできたものなので、そのころからすでに開かれた出口ではありますが、今でも解決されていない問題ですし、かといってそれ以降よい方向へ向かわせてもきただろうから興味がありました。構造主義の「構造」とはなんぞや、といえば、人間でも物事でも社会でも、その根っこの部分の仕組み、みたいなもの、と言えるでしょう。因数分解していって残ったところで眼前にあらわれる法則、と言い換えてもいいです。そして、付け加えるならば、それははっきりと言葉にできないし、はっきり見えません。それが「構造」なんだと理解しています。たとえば、言葉にするとき、文章にするときに、その元となる動機があると思うんです。それは言葉になる前なので、ふわふわどろどろ形もなくてまだ名付けられてもいない。そういうところを動機とし、スタートとして、言葉が生まれる。もうちょっと厳しく言うと、言葉に当てはめる。要は言葉という枠にはめることなので、言葉になる前のふわふわどろどろしたものと、言語化したものは等価ではないです。まあ今回はそこのところはいいとして、そのふわふわどろどろしたものを見つめてみる行為と、「構造」を見つめてみる行為はちょっと似ているんじゃないでしょうか。そんな見方をして知覚するのが「構造」なんじゃないでしょうか。「構造」というものについては、まあ、そのくらいにしておきます。レヴィ=ストロースの人類学で見えてきたのは、欧州中心主義の否定です。それは、奴隷にされたアフリカの黒人や、アメリカ先住民、オーストラリア先住民など、いわゆる未開の民族への差別を許さないものでした。欧州人が優れている前提で彼らを頂点とするヒエラルキーを作り、下位に位置する民族からはいくらでも搾取をしていい、という植民地主義の間違いを指摘するものだった。著者は、「西欧近代の腹のなかから生まれながら、西欧近代を食い破る、相対化の思想である」と本書のはじめのほうで構造主義を表現していました。そのくらい、衝撃的な思想なんですね。

  • 正直言ってしまえば難易度は高いものです。
    はじめての~ととは付いていますが
    優しい代物ではないぜこりゃ。

    だけれども、こんな考え方が世の中には
    存在し、それを席巻する一方で
    どんな欠点があったのか、というのを
    知る意味では興味深いものがありました。

    最後の人物紹介は…
    おいおいちょっと待ちなさい、
    夭折している人多いじゃないか!!

    分からなくても、文章が良いので
    面白くは読めるはず。

  • 軽やかな語り口で構造主義が分かる。
    この手の入門書は「一冊読めば分かる!」みたいな顔をするが、この本はレヴィ=ストロースに多くを割くなど、自覚的に入門書たろうとしており、多くの本が紹介され今後の学習につながるよう工夫されているのに好感が持てる。

  • レヴィストロースの親族、神話研究の概要が理解できた。構造とは 視点を変えても 変わらない本質。視点を変えて 見て、視点の差異を無視することで 構造が浮かび上がる

    構造は目に見えない抽象的なもの 。数学の話が 構造主義の理解に役立った。少し 構造主義が見えてきた

    未開の地の親族の基本構造について、結婚は交換であり、近親相姦が否定されて 初めて社会が広がる という文章には 驚いたが、未開社会の集団思考の自然調和から 見出されたシステム と理解した。利害や必要に基づくシステムではなく、交換のための交換に基づくシステム。

  • 『デリダ』を読む前に前段階として読みました。

    そうした「おさらい」で読むには、ちょっともったいない内容で、構造主義というよりもレヴィ=ストロース入門といった感じでしょうか。新書でここまでできるのであれば、分厚い本って何だろうという感じがしないでもない。

    ぼんやりしていた理解度が一気に高まる。素晴らしい。

  • ・宇宙論か仏教関係の本を読んでいて勉強しようと思ったが、何も覚えてないので難しかったんだと思う、二度目読書中。1回目読んだときに響かなかったところが、2回目読むとかなり異なる気づきを得られることが多い。(この本だけではないが)、ただ、結局構造主義がなんであるか理解できるレベルにはならなかった。
    ・西欧近代は、知らず知らずのうちに、東洋やいわゆる「未開」の社会を、劣ったもの、自分たちより遅れたものとみなしてきた。それがどんなに根拠のないことか、はっきり示せるのが構造主義である。
    ・人間の人間らしいあり方は、これまで西欧近代が考えてきたより、もっとずっと広いのだ。今まで片隅に追いやられ、正当な光の当たらなかったところにも、いくらも人間的な文化のしるしを見つけ出すことができるのだ。こう、構造主義は主張する。
    ・日本人はふつう、世界が「山」や「水」や「ナイフ」や「犬」や…からできあがっていると信じている。しかし、それは、日本語を使うからそう見える、ということにすぎないらしい。英語だとか、他の言語を使って生きてみると、世界は別な風に区別され、体験されることになるだろう。つまり、世界のあり方は、言語と無関係ではなく、どうしても言語に依存してしまうのである。われわれはちう、言語と無関係に、世界ははじめから個々の事物(言語の指示対象)に区分されているもの、とおもいがちだ。ところが、そんなことはないので、言語が異なれば、世界の区切り方も当然異なるのだ。
    ・シーニュ(記号)=シニフィエ:「犬」という記号が言わんとする意味内容+シニフィアン:「犬」という記号を成り立たせる音のイメージ(ソシュール)
    ・三すくみ(じゃんけん)の関係は、変換の一種である同型写像によって保存される、<構造>だ。ここでも、写像と<構造>とは、やっぱり裏腹の関係になっている。このように考えると、ジャンケンの仕組みを理解するのに、「紙が石をつつむから、パーの勝ち」というような説明は、あまり関係ないことがわかる。三すくみということだけが大切で、「紙が石をつつむ」とか「キツネが庄屋を化かす」とかいうのは、ことがらの表層(<構造>に関係ない、どうでもいいこと)にすぎない。そういう表層にとらわれないで、いろんなジャンケンのの間の変換関係を調べ、その<構造>をとりだすのが大切である。
    ・ゲーデルの不完全性定理:数学が完全であることを、その数学自身によって示すことはできない
    ・要するに、オーストラリアの原住民の結婚のルールは、抽象代数学の、群の構造とまったく同じものなのだ。
    ヨーロッパ世界が、えっちらおっちら数学をやって、「クラインの四元群」にたどりつくまでに、短くみても二千年かかった。つい最近まで、誰もそんなもの、知らなかったのである。ところが、オーストラリアの原住民の人々は、誰にも教わらないでも、ちゃんとそれと同じやり方で、大昔から自分たちの社会を運営している。先端的な現代数学の成果と見えたものが、なんのことはない、「未開」と見下していた人々の思考に、咳回りされていたのだ。
    ・レヴィ・ストロースは、主体の思考(一人一人が責任をもつ、理性的で自覚的な思考)の手の届かない彼方に、それを包む、集合的な思考(大勢の人々をとらえる無自覚な思考)の領域が存在することを示した。
    ・構造主義-自文化を相対化し、異文化を深く理解する方法論-

  • 「構造主義といえばレヴィ=ストロース、レヴィ=ストロースといえば構造主義」というのは知っているけど、「じゃあ、構造主義ってなに」という素朴な疑問に応えてくれた本。〜主義って言うわりには、イデオロギー的な重さはなくて、思索の方法論のような感じがする。とはいえ、単なる思考ツールでもなく、ひとつの思想ではあるのだろう。こや構造主義に至るまでのメジャーな思想もいろいろおさらいしてくれるので有難い一冊。

  • 兼ねてから気になっていた構造主義に関する入門書として読んでみた。中高生を含む初学者向けに書いたとのことで、確かに読みやすい。

    構造主義は社会の相対化を導くということで、勝手に主客反転の思考プロセスで生まれたのかと思っていたが、言語学・科学・数学をルーツに持つことに驚き面白く読めた。

    ただレヴィ・ストロースに偏っていること、この思想の影響が表層的にしか語られていないこと、提言が出版当時(1988年)の社会状況に依っていることなどには少し物足りなさを感じたので、「寝ながら〜」の方も併せて読んでみたい。

  • はじめての、と言うだけあってとてもわかりやすい構造主観の本。でも結局よくわからないのは私の頭が(ry。。。
    とは言え、個々の考え方は示唆に富んでいて視野を広げるにはとてもいい本。たまに読み返して咀嚼したい系。

  • レヴィストロースを触る本。これで満足してはいけないが、導入には読みやすくて良い

  • とてもとてもわかりやすい。

  • 構造主義の”構造”とは何かが、読み進めていくうちにスッと頭に入ってくる。最初は人類学と哲学との関連がよく呑み込めなかったが、非常にうまく料理されていて消化できた。
    incestに関する禁忌の法則など、身震いするほど面白い。大学で自然科学を専攻し、理系人間として生きてきたのだが、本当はこういう勉強がしたかったのだと改めて気づかされた。

  •  自分が若干十歳だった頃、湾岸戦争が始まった。ミサイルが降り注ぐ街を映すテレビを見ながら、父は自分にあの戦争の仕組みを解説してくれた。最後に父は「さて、アメリカとイラクと、悪いのはどっちだろう」という疑問を自分に投げかけた。自分は悩んだ末に「どちらにも立場があるのだから、一概に善悪の基準で判断できない」といったことを拙い言葉で伝えたと記憶している。
     「はじめて」と銘打つだけあり、本書は構造主義が誕生に至るまでの過程とその成長をわかりやすく解説してくれている。カタログ的な構成であるため、構造主義の体系を俯瞰できて、はじめて構造主義に触れる人にも、考えを整理したい人にも良い本なのではないかと思う。
     本書を読みながら、1991年当時のいち小学生にさえあのような構造主義的な見方をさせた、知的変動のうねりの大きさに思いを馳せていた。キリスト教圏ではない日本に生まれた自分には、その転換の意味が本当の意味では理解できないのかもしれない。しかし、きちんと構造抽出を行うことができれば、その意味を捉えることができるかもしれない。小学生のあの頃に自分が知らず知らずのうちに身に着けていた視点の源流を探しに出かけたいと思った。

  • 口語調で構造主義についてわかりやすく解説されている。
    内容自体はかなり難しいが、勉強の第1歩として適切かと思う。

  • 小難しいイメージを持っていたので読むまでためらっていたが、読んでみえると口語体で書かれた文章が読みやすく、簡単な内容でわかりやすかった。意外にも2日で読めた。ソシュールの言語学やらブルバキの数学やら関連する人々とその考え方にも興味が沸いた。

  • 構造主義についてわかりやすく概説。

  • 平易な言葉で読み易いが、分かり易いかと言われると人によって微妙なところかもしれない。それにしても良書ではある。主にレヴィ・ストロースの思想から構造主義を読み解く入門書である。
    レヴィ・ストロースの<構造>を、根底にあるブルバキ派の<構造>に従って抽出する橋爪氏の解説は面白い。また個人的には、ポストモダン信仰は舶来主義の延長ではないかという氏の指摘は鋭いと感ずる。

  • 取っ付きやすい文章なので、これなら構造主義を理解できそうな気がする!と思えてくるよ。

著者プロフィール

橋爪大三郎(はしづめ・だいさぶろう):1948年生まれ。社会学者。大学院大学至善館教授。東京大学大学院社会学部究科博士課程単位取得退学。1989-2013年、東京工業大学で勤務。著書に『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『教養としての聖書』(光文社新書)、『死の講義』(ダイヤモンド社)、『中国 vs アメリカ』(河出新書)、『人間にとって教養とはなにか』(SB新書)、『世界がわかる宗教社会学入門』(ちくま文庫)など、共著に『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』『おどろきのウクライナ』(以上、講談社現代新書)、『中国共産党帝国とウイグル』(集英社新書)などがある。

「2023年 『核戦争、どうする日本?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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