シャーロック・ホームズの推理学 (講談社現代新書 922)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061489226

作品紹介・あらすじ

初体面の相手と握手をした瞬間、どこから来たか、何者かを、ホームズは常に見抜いていた。快刀乱麻の洞察は、想像力を駆使した「成功の確率を高める」方法に支えられる。ホームズのめまぐるしく動く頭脳の内部へ誘い、真実解明への論理過程をあざやかに解きほぐす。

感想・レビュー・書評

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  •  推理学というより論理学の本である。
     ドイルの生年1859年にダーウィン「種の起源」が出版されている。科学が百家争鳴する時期に生まれたドイルがSFに手を染めるのも当然か。
     19世紀の科学は博物学など、分類が大まかであり、アマチュアでも概要を大づかみに理解できた。ヴェルヌの古典SFなど、そうした幸福な時代の産物であろう。

  • ホームズの方法を当時発表されていたミルの演繹的論理学と対比させてこれを“確率・統計論的論理学”として位置づけ、その有効性を検証するとてもオカタイ本。

  • 科学哲学の先生による、19世紀科学史・アンパサンド・ホームズ推理解釈。


    【目次】
    目次 [003-008]

      プロローグ 010
    1 ホームズは「論理学者」か 010
      ロンリー警視、ワトスンをこきおろす/シービオク『シャーロック・ホームズの記号論』について


      ホームズと確率論的方法 021
    2 ホームズとワトスンのとの出会い 022
      ホームズの推理はどんな推理か
    3 観察力 027
      どうやって本質を見抜くか
    4 観察と推理 031
      観察すると……/そして推理
    5 消去による推理 035
      演繹的消去法がまず考えられる/しかし消去による帰納という手もある
    6 消去による帰納 040
      ミルの帰納の規則はハーシェルに由来する/ホームズの方法は消去による帰納か
    7 余剰法 047
      「ありそうか、なさそうか」
    8 ミルにおける帰納、演繹、仮説 し052
      くり返して確認する/証明法としての帰納/演繹的方法――人間の計算結果を事実と突き合わせる/仮説法――人間が仮想した結果を事実と突き合わせる/ミルとホームズの違い
    9 ホームズと確率論的方法 059
      古典的方法論――確実な知識をめざす/確率的方法論――確からしい知識をめざす
    10 分析と綜合 066
      デカルトの分析と綜合
    11 逆方向の推理 071
      帰納推理とは確率の比較である/確率の逆算法
    12 確率論的科学観 077
      ホームズは統計的方法によく通じていた/無限の抽選箱


      ホームズの推理の諸相 085
    13 仮説形成 086
      想像力―― 一目で七つの仮説/知識、観察、要因分析/手がかりから仮説へ
    14 仮説形成の論理 096
      類推と類の識別/多様性の統一 ――「屋根裏部屋の道具箱」/類の推定――「規則性を好む傾向」
    15 ヒューウェルの帰納論 104
      ヒューウェルの科学論/概念の解明――道具立ての整備/概念による事実の統合――法則の出現/検証および帰納よ統合――より広く、より単純に/パターンの発見と暗号解読
    16 部分から全体へ 114
      相関の原理――キュヴィエの「神話」/理想的知識――完璧な屋根裏部屋/複合的推理による全体の復原/推理の相乗作用
    17 ホームズの複合的推理 124
      暗号解読の推理/仮説の発想と仮説からの推論/考察に値する仮説/確率論的検証
    18 ホームズの論理的センス 132
      論理的なセンス/論理的皮肉/ホームズの自己規則/ホームズの論理的演出/論理的な切り返し/集中力/ベリーの論理パズルの解答
    19 結論 149


      ホームとダーウィン 153
    20 進化論と科学方法論 154
      ダーウィンと「帰納的方法」/『種の起源』をこきおろした著名な人々/「種の起源」を読まずに一席ブツ方に/ダーウィン説の特徴
    21 ホプキンスのダーウィン批評 163
      科学はひとつ、方法は共通/進化論は科学の規則を満たさない
    22 蓋然的仮説としての進化論 170
      カーペンターの書評――新概念による生物学の統括/フォーセットの書評――蓋然性の計量/フッカーの書評――複数仮説の優劣比較/ピクテの書評――直接的証明と間接的証明/ミルのダーウィン評――ミルは「自然選択」を理解したのか?
    23 確率的方法と進化論 182
      「状況証拠というやつは非常に微妙なものでね」/「確率を秤にかける」/「どんなときにも、ほかの可能性を考えて」

    あとがき(一九九八年九月 内井惣七) [190-191]

  • ○ホームズの推理の秘訣に、論理学から迫る一冊。ホームズは探偵として、ある意味でマシーンともいうべき厳密な行動原則を自分に課しています。著者は、その行動原則や方法論こそ当時の新しい科学的方法論と対応するものであり、ホームズ自身の言動から言っても、ホームズは論理学に精通していたと言える、つまり論理学者であった、と結論付けています。

    ○その新しい科学的方法論というのは、それまで非論理的・非合理的とされてきた、「不確かさ」を含んだ検証・仮説形成の過程を科学の射程にいれるということでもあったのでしょう。それは、本書にあるホームズの言葉によれば、「当て推量」と一線を画す、「蓋然性を秤にかけて、最も確からしいものを選ぶ」ことです。そのためには、あるモノに目をつけ、必要な情報を選びぬき、分析し、それらを結びつけ、検証を行うというような、厳密的な手順がなければいけません。そうでなければ、それこそ「当て推量」になってしまいます。

    ○一見すれば、思考に思考を積み重ねる「当て推量」なのに、ホームズの推理は何故当たるのか。そこには「そういう物語だから」という理由以上の方法論があります。真に確かなものなど証明しえない、どんなに検証された仮説も覆される恐れがある、人間の知識の限界を示すような科学的方法論の歴史を、ホームズの世界を通してちょっとだけ垣間見た気がしました。

    ○(ただ、ぼく自身の感想としてはホームズは論理学者というより、厳密な推理のルールをもった科学者だったのだろうと思いました)

  • DVDの『シャーロックホームズ シャドウゲーム』を見たので、なんか頭の中がホームズづいて読んでみた本。
    それにしても映画は面白かったなあ。シャーロッキアンからはクレームがあるかもしれないけど、「普通のホームズファン」にはただただ楽しめる。
    ロバート・ダウニー・ジュニアも相変わらずいい演技。

    で、本書はホームズの推理から論理学の初歩を講義するという内容。
    入門書でありながら、ちょっとだけ「その奥」を覗けるという、「古き良き新書」の体をなしている。
    しかし「種の起源」まで広がるとは・・・・・・ホームズ恐るべし。

  • 非常に難解。ぼくの頭では半分も理解できていない感じがする。

  • シャーロック・ホームズの推理学という題名ではあるが、この本はつまりホームズの真実解明への論理過程を作中の引用文を元に解きほぐして行こうという趣旨の本となっている。
    本書は3部構成となっていているが、プロローグ(ホームズは「論理学者」か)を除くと実際にホームズの論理過程を解明しているのは1部、2部である。
    1部はジェボンスのいうところの「確率の逆算法」とホームズの推理のプロセスの類似性に言及しているが、そこにたどり着くまでのプロセスにおいてJ.S.ミル演繹的帰納法との類似点と相違点について述べられているのが本書のポイントであり、19世紀当時の論理学の変遷を理解する上で有益であった。
    2部は一部を踏まえたうえで、ホームズのいう想像力をいかにして活用するかということに言及している。ここで興味深いのが、ホームズが仮説を選択する際にとっているヒューウェル的方法がジェボンスのいう確率的科学を認めてはいないことである。いわばホームズの推理は両者の長所をいかした科学的方法といえる。
    3部はこれまでの論理学の変遷を理解したうえで当時論争の中心だったダーウィンを基に様々な論理学派の考え方の違いを書いている。1,2部を読めば大体の流れは予想できるが、3部はより理解を深める為のおまけのようなものになっている。
    2部の後半にはかの有名な恐怖の谷の暗号を基に、ホームズの推理をわかりやすく解明しており、3部の最後では確率論的科学観の弱点についても言及しており、シャーロキアンのみならず古典的論理学を知る上でも有用な本である。

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  • 2005年1月27日

  • 19世紀版探偵方法解明

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