密教―悟りとほとけへの道 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061489264

作品紹介・あらすじ

深い精神集中によって宇宙の真理を体得する「阿字観」瞑想法や、神秘の炎に祈願をこめる「護摩」の行法。ほとけを供養する数々の秘儀・秘法。聖なるほとけと俗なる身の合一をめざす、密教思想と実践の世界へ、読者を誘う入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 密教の思想と歴史を概観している入門書です。

    密教に対するアプローチにはさまざまなものがあると著者はいい、そうした密教の多様な見かたを三つの階層に分類しています。まず、もっとも下部に置かれているのが、ヒンドゥー教をはじめとするインド文化やその他の宗教にも通じる「宗教レヴェルの密教」であり、つづいてインド、中国、チベットあるいは日本で展開された「仏教レヴェルの密教」であり、もっとも上部に置かれるのが、「真言・天台レヴェルの密教」です。この分類は、歴史的な展開とかならずしも一致するものではありませんが、日本の読者が密教の思想にアプローチしようとするさいの手引きとなるものといえるように思います。

    そのうえで本書は、密教の歴史と諸思想の解説へと進んでいきます。ただ、それらの説明は一般的な概説書らしい内容になっており、かならずしも上記の重層的な密教の見かたをじゅうぶんに反映しているようには思えませんでした。もちろん密教の概要を把握するためには有益な本だと思いますが、すこし惜しいようにも感じてしまいました。

  • ヒンドゥー教と仏教の成立そのものに、密教の源泉があるような気がしていた。
    読み進むうちに、その印象が正しかったようにも読めるし、もっといろいろな事象を把握すべきだというようにも読める。
    現代の確立した仏教との対比で考えない方がよいという印象は残っている。

  •  仏教の中でも「密教」というと何だかとっつきにくいイメージがあるかもしれません。「密」という文字が秘密を連想させるので、ちょっと不気味な感じすらするのではないでしょうか。

     この本は密教に対するそんなイメージを一掃してくれる、初心者向けの入門書です。密教の種類・歴史的変遷・修行のこと等、わかりやすく学問的に書かれています。密教に関する正確な知識を得、体系的に学ぶにはもってこいの本なので、「密教ってなんだろう?」という方にのみではなく、特定の密教に興味のある方にも、まずこの本を読んでから個々の密教について学ぶことを心からお勧めします。

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著者プロフィール

1945年 香川県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。種智院大学講師、同教授、国際日本文化研究センター教授を経て現在、種智院大学学長。文学博士(京都大学)。密教学専攻。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

「1994年 『密教大系』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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