フリーメイソン (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061489301

作品紹介・あらすじ

西欧神秘主義の変容。ゲーテ、ワシントン、マッカーサー…歴史を彩ったフリーメイソンは数知れない。『魔笛』に描かれた、密儀参入と人間完成への希求。古代と近代、神秘と科学、人間と神をつなぐネットワーク。フリーメイソンを西欧思想の系譜に、鮮やかに位置づける。

感想・レビュー・書評

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  • フリーメイソンの始まりが飲み会クラブ、ということを知り、密教というイメージから大きく変わった。歴史や人についてはエビデンスはあまり強くなく、こう言われている、〜かもしれない、といった表記が多いのが気になった。

  •  ブックオフで108円で買って、ずっと置いてあった本。これだけ海外のことに色々興味があるのに「フリーメイソン」というのはほとんど名前しか聞いたことがない状態だったので、いつかちゃんと勉強してみようと思った。仕事がひと段落したところで、やっと読んだ。去年の夏に沖縄に行った時、車の中からMason何とかとか書いてあった施設を発見して、これってフリーメイソン何だろうか、とか勝手に思っていたことも、ずっと頭に残っていたので。
     端的に言ってしまえば、思っていたような組織ではなくて、なんかどこにでもありそうな感じの組織で、ただその「参入儀礼」とかがちょっと神秘的、という印象だった。「なかには、フリーメイソンは、国際陰謀事件を背後で操る秘密政治結社であるなどと本気で考えているひとがいまだにいるかもしれない。」(p.12)とあるが、この本が書かれた30年以上経った今でも、ダン・ブラウンシリーズの影響もあってか、なんかそんな組織なんじゃないか、と、おれが思っていました。無知とはこのこと。「フリーメイソンは、貴族あるいは上層市民層の社交クラブとして発足」(p.54)しており、「先端的な思想に関する情報を交換していた」(同)だそうだ。「フリーメイソンの基層に社交クラブ的要素があり、その上の層に、啓蒙主義・理神論・科学主義という十八世紀の時代精神を体現」(同)しているが、「独自の思想・主張をもっていたわけではない」ということで、ただ集まっている人たちが主に上記のような思想を持っていた、ということだそうだ。さらに、そういう思想を持った人たちだけでなく、十八世紀はキリスト教が退潮していく時期であり、「それまでキリスト教が満たしていた、人々の超自然世界への欲求を吸収するかたちで、さまざまな神秘主義・心霊主義が登場してくる」(p.55)時に、そういう思想の人たちも参加して、現在の視点からすれば2つのフリーメイソンであるように見えるが、「十八世紀においては、神秘主義と合理主義(=理性主義)がそれほどはっきりと区別はされず、むしろ両社は互いに融合していた」(p.56)というのも、全然知らなかった。
     そして、フリーメイソンの歴史を探ることで、同時にこの本のサブタイトルにもなっている「西欧神秘主義の変容」を探ることにもつながるのだが、まず「『人間が神に等しい者』になるという主題」(p.94)、あるいは「人間が神と一体化しようとする試み」(p.96)=「始原(アルケー)への夢」は、西欧文明が「古代から近代にいたるまで飽くことなく問い続けてきた主題」(p.94)だということを押さえておかなければならない。そして、十七世紀後半から「神への接近という主題は、人間の道徳的完成という倫理的な主題にすり変わって」(p.103)
    いったらしい。ちなみにこの「道徳的完成」ということについても、「非ヨーロッパ文化圏に住むわれわれにはそれほど大きなインパクトを与えることはない。しかし(後略)」(p.104)ということも指摘されて、なるほどと思った。いつか「日本人の宗教はどうなってるんだ」と新宿の居酒屋でたまたま隣に座ったイタリア人に聞かれた時に「みんなが信じる特定の神や信仰はないかもしれないけど、みんながより良い人間であろうとする心理はあるんじゃないか」みたいな答えをしたことを思い出した。とにかく、ここで「神に近づく」ということから「徳を備える」というところに行きつく。さらにそこから「次の段階として共同社会の完成に向かう」(p.113)ということで、「フリーメイソンは最終的に世界市民主義あるいは四海同胞主義を指向することになり、キリスト教とくにカトリック教会の宗教的世界主義の発想につながるのである。大道具・小道具はなるほど新しく取り替えられるが、役者もプロットもほとんど同じという劇を、われわれは何度も見せられることになる。」(p.113)という捉え方が重要であるように思われた。こういう風に、歴史をちゃんと辿って、その現象を大局的に解釈する興味深さというか、そういう視点が大事だと思った。最後の方の章では、アメリカに生きる色々な人がフリーメイソンですよ、という話だが、「アメリカ合衆国はフリーメイソンによって独立を達成し、フリーメイソンによって国家建設が続けられたというフリーメイソン史家の主張も、あながち見当はずれとして片づけることはできないのかもしれない」(p.155)という部分が印象的で、冷静に見たとしても、そう言えるというのが意外だった。むしろアメリカ史とかを考える時に、フリーメイソンというか「西欧神秘主義の変容」を考えることが必須なんじゃないかと思う。
     ということで、「フリーメイソン」という、ちょっと俗っぽいネタにもなりそうなのに、色々勉強できて、良かった。(19/03/23)

  • 参加のときの儀礼って、ボーイスカウトのと似てるな。実態は同じようなもんなんだろうな。秘密結社というよりは、いろんな立場の人が情報交換するためのサロンみたいな。

  • "(西欧)近代"というもの、考えれば考えるほど惹かれるテーマ。
    "神"を"人間"が超越することにより、"人間"ひとりひとりの勝負(知恵比べ)が重視されるようになった時代、そう捉えていた。"人間"が"神"をそして"宗教"を、"自然"を、支配できると考えたことにより、近代科学による万物の征服に動き出したのだろう、と。

    著者吉村も、おおよそそのような"西欧近代"観をもつ。そしてそうした時代の受け皿(疑似宗教)として、フリーメーソンは役割を果たしたのだ、と。ふむ。
    "神"に救ってもらうのではなく、自らを高めて完成した人間となるのがゴール、とは非常に興味深い。

  • 初めてフリーメイスンを知るきっかけになった本。改めて読んで、その高尚に驚愕(≧∇≦)
    エピローグは、圧巻!入門書として最高の著書!108円で購入したのは申し訳ない(´・Д・)」

  • なかなか読みやすかったです。

  • フリーメイソンといえば都市伝説で有名な秘密結社なので
    すごく都市伝説的な話を期待していたのですが
    そんなものは全くなく、とても学術的な良書でした。
    裏切られた感はあるのですがとても勉強になりました。

    18世紀に発展したフリーメイソンは神秘主義と合理主義が
    融合した存在であったことが記されていますが
    自然科学も基にしている「理神論」という考え方を
    私はこの本を読むまで知らなかったのですが個人的には
    とてもしっくりくる考え方だと思いました。
    もう少しじっくりと学んでみたいと思わせてくれました。

    ちなみにこの本で西欧の歴史やアメリカの歴史を
    フリーメイソンという観点からではありますが
    学ぶことが出来たのも良かったかなと思っています。

  • ゲーテ、ワシントン、フランクリン・ベンジャミン、マッカーサーなど歴史上の人物に少なからぬ影響を与えた秘密結社フリーメイソン。そのフリーメーソンの発生論から密儀や実際にどのような役割を果たしてきたのかを解説しています。実際に現在も密かに存在・活動するこの秘密結社に関心ある方はどうぞ。

  • 読み物というより教科書。

    記載されている事項は豊富。
    マニアになれる。

  • フリーメイソンって秘密結社で裏組織的ぽいのかと思っていたら
    違うんですね。
    ダヴィンチコードの影響を受けすぎていましたw

    そういう類のものかと思って手にとってみたんですが
    これは歴史的な背景にそってフリーメイソンについて
    起源や思想や目的について真面目に書かれていました。

    なんとなくフリーメイソンについて分かった・・・かも。

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著者プロフィール

1947年生まれ。名古屋大学名誉教授。専攻は、近代ヨーロッパ文化史、西洋神秘思想史。著書に『フリーメイソン』『図説フリーメイソン』『図説錬金術』などがある。

「2013年 『図説 近代魔術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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