ローマはなぜ滅んだか (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061489684

作品紹介・あらすじ

全世界から巨富を集め、繁栄の限りをつくしたローマ帝国。食卓をにぎわす珍鳥・珍魚、文学に、スポーツに進出する「自由な女」、文化となった愛欲-。「永遠」をうたわれた巨大文明の興亡の中に現代の超大国・日本の姿を透し見る。

感想・レビュー・書評

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  • 2023.03.23 現代新書の栞で見つける。このまま行くと日本の衰退は避けられない。かつて繁栄したローマがなぜ衰退したのかを学ぶことは、人口減少時代を生きる日本人にとっても、何某かの処方箋になるのではないか。

  • 同様テーマの文章は星の数ほどある中で、かなりストレートなタイトル。しかし、ローマの繁栄から没落の史実を時系列に語ったものはない。また、特定の滅亡理由を求めたものでもない。ローマ(人)をローマ(人)たらしめた歴史上のトピックが、過去の歴史家からの引用も含め、敢えて時系列を無視されて綴られている。ローマ全盛期の豪奢享楽の有様ももちろん語られていて、それはそれで面白いが、本書の主旨は、地中海世界の成立と発展の様式を、「中心vs周辺」というスキームで捉えていることだ。この中心と周辺という見方がなかなか面白く、古代の歴史観・地勢観だけでなく、近現代の世界勢力相関をも説明できることが、著者自身のあとがきで触れられている。納得させられた。全般に修辞的な記述が多く、読み進めるのに若干時間がかかったが、歴史から「今」を学ぶという意味で、良い読み物だと思う。

  • ローマはのちに、東と西に分裂する。これは西が滅びたあたりのへんなのか?神聖ローマ帝国まで考えると滅んだというよりは、西は遊んでばかりいたために、わけがわからなくなった。つまり西ローマ帝国は、なぜわけがわからなくなったか?ということになるだろうか、…

  • 紀元前から紀元後にかけて栄えたローマ帝国について知れる本。

    今から約2,000年前の話だが、そこに生きた人間も現代の人間と変わらず人として同類であったのだなと思えた。社会の仕組みや価値観は今と比べて原始的なのかもしれないが、素人には複雑すぎる現代社会を鑑みると、こういった古代を例にして社会がいかに発展しまた衰退するのかを学ぶのもいいなと思った。

  • 講談社現代新書
    弓削達 「 ローマはなぜ滅んだか」


    世界を「中心」と「周辺」に分け、ローマ帝国の衰亡を 地中海世界の「中心」からの離脱と捉え、ローマ帝国が 新たな「中心」である蛮族を敵視したため、ローマは新しい「中心」の中に再生されず「滅んだ」とする論調。


    覇権移行の歴史の中で 敗北した前覇権者が、新しい覇権者に協力した例はないように思うが、とても面白い論考だった



    平成元年に書かれた「あとがき」において、高度経済成長を経て「中心」に位置しつつある日本は 「周辺」たる 第三国に手を差しのべることができるか という視座を提示している。


    ローマの拡大と同化政策が、地中海世界を形成し、征服地の原住民に対する文明開花は ローマへの奴隷化とする論考は、現代の資本主義世界にも見られる鋭い指摘だと思う


















  • まぁ初版1980年代やもんなぁ…序文がやたらに大風呂敷広げてたり、タイトルの割に7割方「ローマってこういうもの」の説明やったり、その内の一章がかなりエロ本でそこが一番おもしろかったり。

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  • 大ベストセラーと帯にあるので期待が大きすぎたか。

    ローマ帝国滅亡の理由について著者の意見をもとに一冊にまとめたもの。

    ただし「中央と周辺」と「極端な浪費と収奪」という切り口が中心であって、けっこう単純化されている印象。虚栄に心を奪われて自壊した、とも読める。ローマ帝国を視るときに支配と被支配という視点は特に目新しいものではないし、その繁栄ぶり(浪費ぶり)も特に目新しいものではないが、それらが一冊にまとめてあるという点では読みやすいと思った。

    最終章とあとがきにある著者の主張は、中央は周辺を軽々しく扱わず、差別なく外国人を受け入れなければ日本も滅びる、と読めるが、難民を大量に受け入れているEUが、その難民の重みで崩壊しつつある情勢を見ると、軽々しく「ただ受け入れよ」という点は、出版から20年経った現代では無責任にも感じられる。またそれらを受け入れることが繁栄に繋がるという主張にも読めるが、そもそも帝国ではなく、帝国を目指してもいないただのネイションとしての「日本国」でしかない近代日本の状況とは相違が感じられるので、この辺りは割り引いて読む必要があると感じた。

    ローマ人の当時代的な考え、生活様式といった記載は生き生きとして面白いのだが、最後に著者の主張にあう事実をあげて「これが滅びた原因」として「これが日本が滅びる原因」すると、「なぜ滅びたのかよくわからないし、なんで滅びるのかよくわからない」という読後感になってしまう気がする。

    「もともと成長を続けれる経済モデルはなかった、といいたいのだな」と読み進めると、最後はそれらファクトとは関係のない何だかよくわからない結論になっている。ローマ滅亡について知るのであれば『国家はなぜ衰退するのか』あたりの方がいいかも。

  • 1989年刊。著者はフェリス女学院大学学長(経済史専攻。なお、私が時々参照する高校教科書、山川の「新世界史」(詳説世界史ではない。念のため)の編著者でもある)◆ローマの栄華の理由、そしてそれが崩壊していった理由。欧州古代帝国ローマの内実をシンプルに、鉈を振るうように大掴みさせる一書。◇また、佐藤優氏がいう「歴史を現代のアナロジーとして捉える」という観点からみて、経済的に成熟した国家がいかなる要因で衰退していくか、その兆候は何?、という視点でも読むことのできる書だ(例.危うい中流階層と階層の二極化)。
    勿論、衰亡要因について著者なりの見解は示される。自らウォーラーステインらのシステム論に触発されたというように、中央・周辺を峻別しつつ、ローマの周辺(具体的にはゲルマン)の勃興と中央部への侵食(職能面には農民+軍人として)、その一方で中央の、抜き差し難い周辺への蔑視を内在的要因とするようだ。つまり周辺と中央の力関係の逆転とそれに無自覚な中央という構図。

  • 経済的に超格差社会なのと、文化を広めて不満の芽を摘み取り優秀な人はローマ人になるとかはアメリカに類似している。
    道路が発達しても軍事利用なので庶民には恩恵無しというのも面白い。
    結局のところ周辺にやられたのが滅亡の原因としているが、個人的には無意味な消費や浪費が遠因とみたい。

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著者プロフィール

1924年、東京生まれ。東京商科大学(現・一橋大学)卒業。東京大学教養学部教授、フェリス女学院大学学長等を歴任。2006年没。著書に、『ローマ帝国の国家と社会』(岩波書店)、『ローマ帝国とキリスト教』『素顔のローマ人』『歴史家と歴史学』(河出書房新社)、『永遠のローマ』(講談社)、『歴史学入門』(東京大学出版会)、『ローマはなぜ滅んだか』(講談社現代新書)ほか多数。

「2020年 『地中海世界 ギリシア・ローマの歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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