名演奏のクラシック (講談社現代新書 993)

  • 講談社 (1990年1月1日発売)
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感想 : 8
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  • 本 ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061489936

感想・レビュー・書評

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  • 「クラシックの名曲・名盤」(1989年)の姉妹編。前著は名曲の名盤を紹介しているが、本書は演奏家の名盤を紹介している。

    今(2024年)から遡ること34年も前の本なので、マニア以外の方がこれから読む意義は見出せない。同じように演奏家の名盤を紹介している本なら、2009年に出版された、中野雄氏、福島章恭氏との共著である「新版 クラシックCDの名盤 演奏家篇」をお勧めする。
    ビギナーの方が、宇野氏の本を読むとその強烈な主張を鵜呑みにしてしまい偏見を抱く恐れがあるが、共著では、特に中野氏の意見は的を射ているものが多く、偏見を和らげる効果があるからだからだ。

    さて、本書は内容はともかく、文章は巧みである。宇野氏の文章には慣れ親しんでいることもあるが、スラスラ読めてしまう。

    宇野氏のフレーズを借りれば、「切れば血の出るような」といいたいその筆致は、一気呵成に突き進むスタイルで、他の評論家を一歩超えた至芸といえよう。

    その内容が実用的かどうかは別として、宇野功芳氏は批評家・書き手としては一流ということは確かである。

  • 宇野以外の評論からクラシック音楽に入門するのはよいが、初歩の段階を過ぎたら、他のもっと優れた評論、例として宇野功芳に移ってゆかなければならないのである。
    ほんとうに優れた音楽評論は甘口専門ではない。もっと辛口で、苦い味わいを持っていたり、厳しく大衆を拒否したり、孤独で、深遠で、ときには近寄りがたい存在であるといえよう。
    そこを通り抜けてこそ、初めて真実の音楽評論と巡り会えるのだといえよう。
    僕は現代の評論家たちの、とりすました、きれいごとの音楽評論など、一切読む気がしない。時間の無駄だからである。
    魂の歓喜には、どうしても本質をとらえた芸風が必要なのだといえよう。
    著書に廃版が多いのは残念だが、日本の出版社は新刊中心主義なので仕方あるまいといえよう。
    (パロディ、ネタ含む)

  • 配置場所:摂枚新書
    請求記号:760.9||U
    資料ID:59000272

  • [ 内容 ]
    魂を揺すぶる指導者。
    お気に入りのピアニスト。
    同じ曲が演奏家によって輝きを増す。
    ワルター、フルトヴェングラーからリリー・クラウス、チョン・キョンファまで深くゆたかな響きの世界へ極めつきの名演奏が誘う。

    [ 目次 ]
    1 指揮者(アルトゥーロ・トスカニーニ;ウィレム・メンゲルベルク;ピエール・モントゥー;ブルーノ・ワルター;パブロ・カザルス;カール・シューリヒト;レオポルド・ストコフスキー ほか)
    2 ピアニスト(ウラディミル・ド・パハマン;マルグリット・ロン;アルフレッド・コルトー;ウィルヘルム・バックハウス;アルトゥール・ルービンシュタイン;クラウディオ・アラウ;ウラディミール・ホロヴィツ ほか)
    3 ヴァイオリニスト・チェリスト・声楽家(フリッツ・クライスラー;ヨーゼフ・シゲティ;ヤッシャ・ハイフェッツ;前橋汀子;ギドン・クレーメル;鄭京和;天満敦子 ほか)

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著者プロフィール

1930年東京生まれ。本名は功(いさお)。父は漫談家・牧野周一。4歳のとき、金の鈴子供会に入り、府中四中(現戸山高校)でも合唱部に所属、合唱指揮者を目指し、国立音楽大学声楽科を卒業。当時の学長、有馬大五郎氏に楽理科への転向をつよくすすめられ、NHKからもレギュラー評論家になるよう説得されたが固辞。しかし、ブルーノ・ワルターに出した手紙に返事がきたことから原稿依頼がふえてゆき、やがて評論活動が主となった。著書は40冊を数える。合唱指揮者としてはKTU合唱団、早蕨会、成蹊大学、帝京大学、跡見学園女子大学の常任を務め、客演としては神戸市混声合唱団を24年、日本女声合唱団を18年、アンサンブル・フィオレッティを15年、オーケストラは87年から10年間新星日響、96年から10年間アンサンブルSAKURAを振り、CDは全部で60枚。2015年4月には仙台フィルでベートーヴェン:交響曲第7番、2015年7月には大阪交響楽団で第9を指揮、いずれもCD化された。


「2016年 『宇野功芳の軌跡 DVD付』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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