- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061490345
作品紹介・あらすじ
「赤ずきんちゃん」「白雪姫」「ヘンゼルとグレーテル」…。聖書とならんで世界中でもっとも読まれているグリム童話。本書は、現代思想や精神分析の知見をとおし、メルヘンの十九世紀的深層を性とエロティシズム、暴力と残虐性、女性などの観点から、あざやかに解いた力作。
感想・レビュー・書評
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「2015年 新入生にすすめる私のこの一冊」
http://opac.lib.tokushima-u.ac.jp/mylimedio/search/search.do?materialid=214000336詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
メルヘンとは、「ちょっとした知らせ、情報、うわさ」だとのこと。
これだけでも、新しいことを知ることができて、ちょっとうれしい。
90年代に出た本らしい感じがする本だった。
つまり、それ以前にはやった精神分析ですべてが解き明かせるという普遍主義的な雰囲気から、歴史や文化などの個別性を見るべきだと転換する動きが感じ取れる。
筆者は、西洋法制史の専門家。
そのためか、特に白雪姫の章がとても面白い。
王妃のしたことは、すべて未遂なのに、与えられる罰が大きすぎると筆者は問題提起する。
本書では、当時のいつまでも魅力的であろうとすることへの罰という発想だと説明している。
美魔女ブームの昨今を考えると、価値観は変わったなあ、と思う。(ただ、いつまでも魅力的であることから降りられないことが幸せなのかどうかは微妙だと思う。)
真っ赤に焼いた鉄の靴を履かせて死ぬまで踊らせるというのは、魔女裁判での拷問の道具だったとか。
つまり、王妃は白雪姫に魔女として告発され、死刑に処せられたと読めるのだそうだ。
16・17世紀、当局が魔女狩りに血道をあげ、子どもの証言を得ようと証言者の年齢制限を撤廃したという。
王妃はそういった、子どもから密告されて処刑された女性たちと重なる部分があるという見方ができるということだ。
ここは、なるほど、と思った。
魅力的になる娘を父から守るための、姫の追放であり、むしろ王妃は姫の様子をこまめに見て世話をしているのではないか、といい解釈はちょっと半信半疑だけれど。
ところで、本書で時々触れられる、マリア・タタール。
グリム童話の再解釈をした人のようだ。
精神分析の象徴の解釈に対して、フェミニズム的にな解読を示した人なのかなあ、と思う。
新曜社から邦訳があるようだが、今、読めるのだろうか。 -
これも駒沢ブックオフ100円コースだな。
なんか中学生のとき友達から借りて読んだ「本当は恐ろしいグリム童話」のイメージであるところのエロ!グロ!(あんまりグロくはない)が印象付いていて、グリム童話にエッチなエピソードを期待している。ような気がする。 -
グリム童話の概説本。
いわゆる「本当は怖い」の部分にばかりフォーカスしたものではなく、メルヘンの分析・分類や、歴史資料としての意味、精神分析的解釈まで幅広くさらっと触れられていて、読みやすくて面白い。
グリム童話の成り立ちというと、そもそも誰が語ったもので原典はどうだったのかが論点になったり、
あるいは、精神分析的解釈で赤いずきんが何を表すのか等など、細かい点が着目されがち。
しかし歴史的経緯はさておき、現代でも読み物として広く受け入れられていることの意味を問う―原典に忠実でないにせよ時代を超えて変化しつついま現出しているストーリーから現代の価値観に沿う部分を見出す―という視点が面白かった。 -
グリム童話の成り立ちに重きをおかれて書かれた本。メルヘンについて研究してる人って多いんですね。
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グリム童話は本当は恐ろしい、って本が一時期流行ってましたが、心理学的にメルヒェンはエロいです。エログロです。ふひひ。
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グリム童話がどうしてこんなにおどろおどろしいのか…といった解読本みたいな感じ。読みやすい。
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「赤ずきん」と「白雪姫」と「ヘンゼルとグレーテル」ぐらいしか中身は知らないグリム童話。実は200話あり、何度かバージョンアップもされているとのこと。この知っているようで知らないグリム童話について、作者(編者)の生涯や編纂の成り立ちをコンパクトに紹介した上で、様々な解釈と面白さ(怖さ・気味悪さえも含む)を解説している。フロイト派やユング派が登場する精神分析学的な解釈は、素人的にはよくもまぁこんなこじつけができるものだと妙に感心してしまった。グリム童話の猟奇性なり残虐性は、通俗的によく耳にするが、こうした研究書を一冊通じて読むと、メルヘン世界の複雑さ実感し、また奇妙な感覚に陥るものでもある。
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アカデミズムと非アカデミズムの真ん中ぐらいのこういった本は読んでて楽しい
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