死後の世界 (講談社現代新書 1115)

  • 講談社 (1992年9月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784061491151

作品紹介・あらすじ

あの世とこの世、天国と地獄、たたりと守護霊、業報思想と審判思想。人類はいかにして死後観をつくり出してきたのか。古今東西の宗教・哲学・文学を通観しながら、社会の問題としての「死後の世界」を考える。

みんなの感想まとめ

死後の世界に関する多様な思想を探求する本書は、古代オリエントから日本に至るまでの宗教や哲学、文学を通じて、あの世の観念を深く考察しています。肉体と魂の二元論や、死後の審判、生まれ変わりの思想が東西を問...

感想・レビュー・書評

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  • 死後の世界を誰も知らない。だから死がどの様なものか人は恐れるし、死ぬ事自体を恐れる。中には死の淵から生還した様な特殊な経験をされて、死の世界を垣間見る事ができたと主張する方もいるだろう。だがそれを本人以外が確認する事は出来ない(現代技術なら、記憶の中の記憶=風景をある程度映像化できそうでもあるが)から、記憶違いや虚言と言われても仕方がない事である。人がそれを真実と証明し確認できない事は、裏返せばどの様な世界であると想像(ここでは創造といった方が良いかもしれないが)する事は現代社会では自由であり、誰しもが持つ権利であるとも言える。実際には古の時代から、人は死後の世界を定義したり、死を恐れたりしてきた。それは宗教の教義として、時には法の中にも定義されてきた。
    死後の世界が大きく二つに分かれている事を我々は知っている。一つは生きている間に善なる行為を行なったものがいく世界、我々の知る天国と、その対極にある悪行を犯したものがいく世界、同様に我々の知る地獄の世界観に重なる。特に後者は様々な宗教の中で謳われており、犯した罪の種類や生前の立場などからいく先が異なる事が多い。例えば盗みを犯したものと殺人、特に親族や宗教者を殺したものには、相応の罰が下る様に別々の世界に堕ちると言われる。この様にどの宗教の教えの中にも存在する負の世界観の源泉がゾロアスター教(拝火教)にあるとするのが本書の筆者の主張である。ゾロアスター教は現在のイランあたりに興った宗教であり、地理的に東のアジア大陸や西のヨーロッパに陸続きで伝わりやすい位置にあった事も、その主張を後押しする理由になり得るだろう。我々がよく知る地獄の思想につながる仏教、ヒンドゥー教、イスラム教、そしてユダヤ教やキリスト教。いずれの教えの中にも、罪人が死後に赴く世界は現世での行いを償うのに相応しい世界だ。釜茹でや生きたまま車に両側から引っ張られて千切れるなど、現世の比でない位に厳しい罰を受ける事が多いのではあるが。
    初めに書いた様に、一部の幸運な?人を除いて、死後の世界を見て、この世に戻ってくる事は叶わない。だからこそ誰も見る事がない死後の世界を善と悪に分けて、生きている間の行いを正そうとするのは理にかなっている。多くの人が幼い頃に小さな虫を殺そうとして、親兄弟に注意された事を思い出すだろう。私などはアリを踏み潰そうとして、親から地獄で踏み潰されると叱られた事を覚えている。そうやって誰もが死後に地獄に落ちるからと、殺生や悪戯を躊躇してきたのではないだろうか。
    殺人を犯したものが、自分の罪の重さに耐えかねて、自殺してしまうという話をきく。そうした人の枕元には殺した相手が現れたりする話もよく聞く。現代科学でもそうしたオカルト的な話を真実と証明する事は出来ないが、その逆に、それが絶対にないという証明もできない。だからこそ、人は悪事を恐れ、死を恐れる。そしてそうした死後の世界から亡くなった身内を救い、無事に天国に行ける様にと、亡くなったのちも供養を怠らない。そしてその供養のたびに親族や普段会わない人々に会う。この繰り返しも、人類が死を恐れ、死自体を崇高なものとして扱ってきたこと、ひいては人類の存続と発展に寄与してきた一つの要因ではないだろうか。
    死に対する様々な考えを思い起こすきっかけになる一冊である。

  • 肉体と魂の二元論、死後の審判と生まれ変わりの思想は洋の東西を問わず普遍的に見られる。

  • メソポタミアからゾロアスター、キリスト教、仏教に、スウェデンボルグやフェヒナーまで。とりあえず死後思想に関連するもの紹介しまくった感のある本著ですが、新書に詰め込みすぎた結果、ぽんぽん話が飛びまくるので、まず前提知識がそこそこ必要になるという結果に。ざっと読むだけでも、本当に理解できないところがある……。
    一応、それぞれの思想についてまとめてくれてはいるものの、あまりに短くまとめているので、気になったものは原典にひとつずつ当たっていかないとだめ。
    著者はゾロアスターの研究者なので、ちょくちょくゾロアスターの思想が多く出てくる。

  • 各宗教の死後の世界についての概説的内容が書かれている。

    気になった部分を少し挙げると、

    *ゾロアスター教 霊魂の不滅を信じ肉体を速く消滅させる鳥葬をした。

    *キリスト教 「煉獄」の概念から贖罪金の発想→金で救われようとする信徒とそれを受け入れる教会の堕落→宗教改革

    *スェーデンボルグ 生きている時に自己にふさわしい行為を物質界に表している。同様に死後に自らの霊界を現出する。

    *三回忌とかの年忌法要はもともとの仏教にはなかった。道教を取り入れた偽経(にせのお経)十王教が、地獄極楽の話とともに、一周忌、三回忌などを伝えた。

    知らなかったぁ~
    なんと偽経でさえ、三回忌までだったのに、今では七、十三、十七、三十三・・・これって僧たちの経済的基盤のため?

    もうやぁめたぁ~ 
    私が死んだ時は、年忌法要などやらないように家族に言っておこう。
    ただ家族や親戚で集まってお茶でも飲みながら話をすれば良いと思う。

  • 05/31

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著者プロフィール

東洋大学仏教学科(インド哲学科)卒、東海大学文明学科博士課程修了。専門はゾロアスター教と古代中東思想。神道、古武道などにも造詣が深い。『ユーラシアの神秘思想『ゾロアスターの神秘思想』』などの著がある。

「2013年 『図解 ふしぎで意外な神道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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