魔女と聖女 ヨーロッパ中・近世の女たち (講談社現代新書)

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  • 講談社
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レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061491250

感想・レビュー・書評

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  • 「ちくま学術」から増補版が出てしまったが、とりあえず新書のほうで読んでみることに。

    著者は『動物裁判』では、ブタやバッタが裁枯れる時代を描いていたが、こちらは女性が裁かれるだけではなく崇拝されていた事実とその時代背景について描かれており、ほぼ同時に欧州に出現した聖女と魔女、その時代背景を含めて欧州における女性の地位を明らかにしていく。

    フェミニズム的な視点から「魔女狩り」や「カトリック」を眺めるのではなく、魔女の裏表としての存在である「聖女への崇拝」も含めて、聖女と魔女の誕生から終焉までを描くことで、現代新書らしい充実した内容になっている。

    とくに聖なる娼婦としての「マグダラのマリア」についての記述は印象的で、嫌悪の対象でありながら信仰の対象でもある二面性を(割かれているページ数は少ないながらも)うまく中世の女性を取り巻く状況(有機体としてのキリスト教)と対比させてみせてくれる。

    ただ全体的に新書サイズであるがために、情報はかなり不足していると思われる。書きっぷりも『動物裁判』ほどでなく遠慮のようなものが漂い、どこか消化不良なところが見え隠れしているので増補版に期待。

  • 駒沢のブックオフで100円で買った。当時この系統の本を同時多発的に読んでいたのでどれがどれだかあやふや。膝を打つほどではなかったと思う。

  • 「かれらが魔女たちを組織としてとらえるよう促されたのは、当時の人びとがキリスト教会を有機体のイメージでとらえていたからである」

    いわゆる魔女狩りのときの「魔女」と、現代の宗教/文化としての「魔女」にはほとんど連続線がない。ただ、その組織形態はある意味連続していて、どちらも大きな組織を取るようなことがないということだ。

    魔女もカヴンという組織を取ることがあるが、その場合であっても人数は13人を超えることはあまりないと言う。むしろ、そこにあるのは1人1宗派としての意識である。

    だから、魔女を宗教と捉えようとした時、その構成を普通?宗教組織に見られるようなものと考えてしまうと混乱が生じる。

    それがニューエイジ以降に見られるような宗教の個人主義(学術的にはスピリチュアリティと呼ばれるもの)と近いのは明らかだろう。では、かといっていわゆる「ニューエイジ」と同一なのかというとそれもまた違う気がする。

    魔女にもいろいろな種類があるけど、少なからずイメージやシンボルを共有しており、その点において魔女というのは非常に「宗教的」であり、必ずしも共有するシンボルを重視しないニューエイジ群の現象の中で、魔女は特殊な位置にあると考えることができる。

    まあそういうことを考えていくと、日本人的な感覚では「それって宗教というよりやはり文化という言葉のほうが表すのに適切なんじゃないか」というところにまで行き着くわけだけど、この文化と宗教の境目という問題もまたややこしい。

    とりあえず、魔女のドイツ語はヘクセという「垣根=境目」を表すものなので、魔女も「宗教と文化の境目」に位置すると捉えておくのが妥当なのかもしれない。

  • 女性蔑視が作りあげた魔女。
    女性礼讃が生み出した聖女。

    相反しているようでいて
    どちらも西欧中世の時代、確かにあった女性の姿。

    この魔女と聖女の存在を引き合いに、当時の女性観について見通した一冊。

    女性のなかに幻想をみる男性と、知らず知らずのうちにそれを煽り波立てていく女性。
    魔女も聖女も中世が生んだひとつの悲劇と言えるでしょう。

    ***
    魔女と聖女の解説というより、ヨーロッパ中世のジェンダー論と言って差し支えないかもしれません。
    扱っている内容のわりに読みやすいと思います。が、読みきるにはそれなりの根気がいる気もします。興味のある方にぜひ。

  • 魔女と聖女

  • 面白かったのは時祷書や書籍関連の話。

    時祷書とは祈りや聖者伝の書かれた、12世紀以降のポピュラーな書物。これは何世代も受け継がれる嫁入り道具だったそうな。

    本が嫁入り道具とは面白いですね。
    また国際結婚の際、嫁が持ち込む本は異文化交流の源になっていたようだ。これもまた面白い。なんだか男尊女卑の中で、

    「あたしの持ってきた本読みたいんでしょ?」

    的なやりとりがあったとしたら、ちょっと面白いですね。妄想。

  • [ 内容 ]
    イヴ=魔女とマリア=聖女。
    蔑視と崇拝の呪縛のなかで女はどう生きたか。
    「魔性」と「聖性」をキーワードに中・近世を読み解く。

    [ 目次 ]
    1 魔女
    2 聖女
    3 魔女と聖女の狭間で
    4 したたかな女たち
    5 女性の文化は存在したか

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 魔女と聖女について知りたいと思い、購入したが、拷問に力が入りすぎているような。あと少し感情的な描写が多い。そうなるのも分からないではないけれど、残念だ。
    ヤハウェ「お前の孕みの苦しみをおおきなものにする。お前は、苦しんで子を産む。お前は男を求め、かれはお前を支配する」


  • 卒論の参考にさせていただきました。
    面白味にはちょっと欠けますかね。

  • 課題図書だった。

    一番の印象は
    絶対王制と家父長制の関連性!

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著者プロフィール

池上 俊一
池上俊一:東京大学大学院総合文化研究科教授

「2014年 『ヨーロッパ中近世の兄弟会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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