冤罪はこうして作られる (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061491458

作品紹介・あらすじ

無実の者が、ある日突然に「犯人」にされる。警察はなぜ「犯人」を作り出すのか。裁判官はなぜウソを見抜けないのか。今も冤罪を生み続けている日本の刑事司法の構造的欠陥をえぐる。

感想・レビュー・書評

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  • 不当逮捕して冤罪を作るには、まず市民をモノ扱いしなければならない。相手から人間らしさを奪う。狙った市民を人間から、ただのモノに変える。冤罪事件で警察官が異様なことをしでかす例は幾つも目にしている。冤罪被害者が、どのような扱いを受けるのか、その想像は容易く、まったく楽しいものではなかった。心身共に差別され傷つけられる。不当逮捕は悪趣味かつモラルに欠ける。
    不当逮捕に対して「なんと酷いこと」との感想が寄せられる。私は同意するばかりであった。心に突き刺さる。不当逮捕だけでも大問題なのに、それを誤魔化そうと姑息な策まで講じている。同じような酷いことが現在も繰り返されているのだろう。
    市民がさらされている脅威が描き出されるのを見て、心を痛めずにはいられない。冤罪の犠牲者を痛み、警察権力の虚しさに涙を流す。警察国家は危険な道である。しかも、先は袋小路である。汚名で終わるか、もっと汚名で終わるかの違いだけである。
    不当逮捕を憎む情熱は本物である。変化をもたらしたい、より良い社会にしたいと考えている。市民は良くないことよりも良いことを望む。不当逮捕は良くないことである。事実を明らかにすることは癒しにつながる。無知や無関心は悪と今更ながら感じる。

  • [ 内容 ]
    無実の者が、ある日突然に「犯人」にされる。
    警察はなぜ「犯人」を作り出すのか。
    裁判官はなぜウソを見抜けないのか。
    今も冤罪を生み続けている日本の刑事司法の構造的欠陥をえぐる。

    [ 目次 ]
    ●他人の悲劇ではない
    ●なぜ虚偽自白をするのか
    ●アリバイを握りつぶす
    ●代用監獄で何がおこなわれるのか
    ●見込み捜査の危険性
    ●警察スパイの違法性
    ●鑑定を無条件に信頼
    ●棒読み自白の録音テープ
    ●都合の悪い証拠は無視
    ●裁判官はなぜ誤るのか
    ●誤判の蔭に誤鑑定あり
    ●冤罪を防ぐために

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    [ 参考となる書評 ]

  • 出版されてから時間はたっているが、今読んでも参考になる。
    つまり、冤罪に関しての問題点は昔から何も解決していないということだろう。

    戦後の刑事司法で起こった冤罪の具体例、その背景や原因、考えられる解決策などが詳しく記されている。
    新書ではあるが読み応えがある。
    真面目すぎて面白みに欠ける気もするが、冤罪について知るには好著の一つだと思う。

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著者プロフィール

1935年盛岡生まれ。 1958年東京大学経済学部卒業。 1966年司法研修所修了。 東京都立大学(1966〜76年)、東北大学(1976〜99年)、専修大学(1999〜2006年)において刑事訴訟法・司法制度の研究・教育に携わる。東北大学名誉教授。法学博士。 日本民主法律家協会代表理事。憲法改悪阻止宮城県各界連絡会議(宮城憲法会議)代表委員。再審・えん罪事件全国連絡会代表委員。住基ネット差し止め訴訟を支援する会世話人。自衛隊の国民監視差止訴訟を支援するみやぎの会共同代表。 〈主な近著〉 『冤罪はこうして作られる』講談社現代新書、1993年。 『人身の自由の存在構造』信山社出版、1999年。 『希望としての憲法』花伝社、2004年。 『刑事訴訟法の変動と憲法的思考』日本評論社、2006年。

「2008年 『裁判員制度を批判する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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