赤ん坊から見た世界―言語以前の光景 (講談社現代新書)

著者 : 無藤隆
  • 講談社 (1994年5月発売)
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  • レビュー :4
  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061492028

作品紹介

その目に映るものは何。なぜ知識もなく複雑な文化世界に入れる。物理を理解し、言語以前の思考ができる、謎と魅力にみちた、人間の「原型」に迫る。

赤ん坊から見た世界―言語以前の光景 (講談社現代新書)の感想・レビュー・書評

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  • (2013.09.03読了)(2009.07.22購入)
    自分の子供が生まれると分かったころから乳幼児関連の本を読み始め、成長に従ってその時期に合わせた本を順次読んでかみさんの悩みに対応してきました。
    子供が、中学生に上がったころ育児の本とはいったんおさらばしました。
    最近数年で、子供たちは結婚し、孫が生まれてきました。この9月に3人目の孫が生まれる予定なので、久しぶりに赤ん坊に関する本を手にしました。
    赤ん坊との言語コミュニケーションは不可能なので、赤ん坊が何をどう認識しているのか、いつごろからどのような認識が可能なのか、というようなことは、赤ん坊を実験台にして観察してみるしかありません。この本は、赤ん坊に対する実験結果から推測できることをまとめたものです。真偽のほどは、不明です。

    【目次】
    プロローグ
    第Ⅰ部 生きる力の始まり
    1 赤ん坊のもつ力
    2 人間の顔が現れる
    3 物の世界が成立する
    第Ⅱ部 世界が広がりはじめる
    4 基本感情の誕生
    5 「親しさ」から何が生まれるか
    6 移動すれば世界が変わる
    7 指さしという不思議な行為
    8 情報としての表情
    第Ⅲ部 目の前の世界を越えて
    9 言語以前の思考
    10 新鮮な世界への歓び
    エピローグ
    参考文献

    ●聴覚(15頁)
    胎児は、妊娠後期には聴覚器官が相当に発達しており、まわりの音、とりわけ母親の声を聞き取ることができる。
    ●乳児の母親認識(36頁)
    乳児は、母親を親しい人としてどのように認めていくのだろうか。一つは声である。もう一つは、においである。とくに、乳のにおいが重要らしい。
    ●近視(44頁)
    新生児から数カ月までの乳児は、大人でいえば近視であり、ごく近くのものをかろうじて見ることができるだけだが、その像もかなりぼやけたものである。四、五十センチ程度の近距離から人の顔を見ても、一ヵ月程度ではかなりおおざっぱなところしかわからない。それが鮮明になるのは、ほぼ生後三カ月ほどたってからなのである。
    ●物の認識の基盤(66頁)
    乳児が初めから、物は見えなくなっても存在していることがわかっているとしたら、物の認識の基盤は大人と共通していることになる。しかも、物は見えない間も存在するという見方は、人間という生物の認識の最も自然なあり方をなしており、それ以外の見方をすることの方がむしろ後から思いつかれたことなのだ、ということになる。乳児は生まれつき世界をあるしかたで見るように作られており、人のもつ自然な傾向がそこにあるのだということになる。
    ●物理的認識の基本(80頁)
    乳児は、物が隠されていても、それが連続して邪魔の入らない経路を動くと推理できる。物は連続して動き、一つにまとまって存在するのだと理解しているのである。これは大人にも共通する、物理的認識の最も基本的なものにほかならない。物理的認識の核はすでに乳児において確かに存在している。
    ●指さし(159頁)
    指をさしたときに、人さし指そのものではなく、人さし指を延長したその先にある何かを見る。なぜ指先ではなく、その延長上にある何かを見ることができるのか。
    (ちなみに、我が家の猫は、指先を見て、人さし指の延長の方を見ることはない。)
    ●顔を見る(188頁)
    子どもが親の側を見るとき、そのほとんどは親の顔を見る。子どもは親の表情を見るのである。
    ●順序の再現(240頁)
    テディーベアーにお風呂を使わせる様子を見せる。熊を湯船に入れ、その熊を洗い、熊を取りだして乾かす、という三つの行為を実験者が示し、子どもが再現できるかどうかを見ると、一六カ月程度の子どもでも、それができることが見いだされている。

    ☆関連図書(既読)
    「小児外科」駿河敬次郎著、中公新書、1967.03.25
    「新生児」三宅廉・黒丸正四郎著、NHKブックス、1971.05.20
    「胎児の環境としての母体」荒井良著、岩波新書、1976.09.20
    「0歳児」依田明著、朱鷺書房、1978.03.25
    「乳幼児の世界」野村庄吾著、岩波新書、1980.12.22
    「胎児は見ている」トマス・バーニー著・小林登訳、祥伝社、1982.08.25
    「新生児」山内逸郎著、岩波新書、1986.05.20
    「赤ちゃん学を知っていますか?」産経新聞取材班著、新潮文庫、2006.06.01
    「赤ちゃんの心と体の図鑑」デズモンド・モリス著・日高敏隆監訳、柊風舎、2009.10.30
    「赤ちゃん教育」野崎歓著、青土社、2005.07.07
    (2013年9月16日・記)

    (「BOOK」データベースより)amazon
    その目に映るものは何。なぜ知識もなく複雑な文化世界に入れる。物理を理解し、言語以前の思考ができる、謎と魅力にみちた、人間の「原型」に迫る。

  • 2012.02.07-04.22
    この本を読み終えました。 o(^"^)o バブゥ = (^-^)V

    ○聴覚器官?
    *聴覚経路の神経の髄鞘化は、だいたい胎児9か月半ばに完成している。
    *新生児は仏語と露語を聞き分けることができる(仏メレールの実験)。

    ○誕生後3時間?(早稲田大・大藪氏実験)
    *うぶ声→高度覚醒期(まどろみ↔覚醒:80分)→レム睡眠(50分)→覚醒(20分)
    *高度覚醒期に環境の急激な変化に対応する生理的な適応が急激に進行。
    *このときの覚醒状態に人(助産婦さんやお母さん)と目が合う。
    *大きな赤い物を動かすと覚醒を延長することができる。
    *2~3か月になると大きな赤い物に対する関心がなくなり、人の動きに反応。

    ○人間の顔が現れる?
    *母親を親しい人として認識:声、におい、人の顔
    *図形として顔を認めることが、おそらく生まれつき備わっている。
    *生理的微笑:レム睡眠期→ある種の音→微笑が生起する(ウルフの実験)。
    *ある種の音:高い音、複雑な音、強さが弱い音、特に母親の声
    *はじめの5週間は人の声、6週すぎると人の顔が微笑反応を誘発する。
    *生後4カ月程度で、母親の顔とほかの人の顔を区別する。
    *コンスペックとコラーン(ジョンソンとモートンの実験)。
    *コンスペック:人の顔の基本的な構造上の特徴を知覚できる機構
    *コラーン:個別の顔を認識する学習機構(生後2カ月後に働きはじめる)

    ○物の世界は成立する?
    *物をスクリーンで隠して、物理的な矛盾がわかるか実験(生後4か月)。
    *目の前にあって現に知覚している物を超えて、必ずしも見えていない物の存在や動きを理解し、そういう表象を頭の中に描くことができる。
    *物が隠されていても、それが連続して邪魔の入らない経路を動くと推理できる。物理的認識の最も基本的なもの。

    ○基本感情の誕生?
    *生後8カ月ぐらいの間に基本感情は出そろう。
    *基本感情は、乳児や他のさまざまな文化の人々と共通(エックマン)
    *恐れ、怒り、嫌悪、悲しみ、喜び
    *それぞれが特有の生理学的な変化をともなう。
    *表情と感情が対応する。
    *感情喚起のモデル(イザード)
    神経課程→(感覚運動課程↔感情課程→認知過程)→感情経験→神経課程
    *姿勢→感情:うつむき→<悲しみ>。
    *うつむきが回復を促進する:うつむき→<悲しみ>→胸を張る→<元気>
     ヾ(_ _。) →( ̄^ ̄)→ (^-^)V

    *感情と情動(認識から発生する感情)は1歳半ぐらいから顕著に現れる。
    *感情喚起に役立つ認識
    1.評価
    2.比較やカテゴリー化、推論や判断
    3.原因帰属と信念
    4.記憶と予期

    ○「親しさ」からなにが生まれるか?
    *愛着:個人間の親密で情緒的な絆をもとにして成立する対人関係。
    *愛着の対象に接近→安心を確保(安全基地)→まわりの探索活動
    *人見知りは、愛着の裏返し。
    *愛着の安定→仲間関係、課題解決力、自我の発達など→好ましい発達
    *愛着を安定化させるもの→同調性、同期性
    *ME:客観的な我、I:主体的な我
    *安定的な愛着を持つ乳児が、より複雑な自己および母親の知識を持つ。

    ○移動すれば世界が変わる?
    *生後8カ月で大脳皮質、特に記憶と表象に関する能力が成熟する。
    *ハイハイができるようになるのは、生後6カ月から10カ月。
    *生後6カ月までは視覚の発達がまだ弱く、20、30cm~1mの範囲。
    *移動することによって検索できる範囲が増大する。
    *移動経験→位置情報の自己中心的な判断から相対的判断へ(9カ月)
    *対人関係の変化、母親の表情に敏感になる。→感情的な発達。
    *リスクにも敏感になる。視覚的断崖の実験(UCBのキャンポス)

    ○指さしという不思議な行為?
    *指さし・・・(?・"・)σ バブゥ
    *自分と相手との関係の中で、第三の物についての共同の了解が成立する。
    *生後6カ月ごろ、母親が指差しを行ったとき対象を見るようになる。
    *生後9カ月以後、人差し指を伸ばして対象を触るor触りたがるようになる。
    *乳児の指指し→母親が名前を教える→名前を覚える

    ○情報としての表情とは?
    *「他者への問い合わせ」(Social Referencing)。
    *子どもの学習過程:環境の構造化→周りのものに意味を提供
    *与えられた表情(情報)と環境に対する働きかけの合致は10か月以降。
    *18か月以降、親と乳児との関係はもっと相互的、交渉的になっていく。
    *乳児が母親を見るときの行動:1.情報欲求 2.アピール 3.その他曖昧なもの
    *第2子のほうが情報欲求とアピールの頻度が高い傾向がある。・・・(・_・?)

    ○言語以前の思考とは?
    *言語と言語による意味は、言語以前の思考を基礎にする。
    *1歳児のカテゴリー:似たものをまとめていじる傾向がある。
    *1歳台の前半までは、カテゴリーの階層は理解できないようだ。
    *大きく2つのカテゴリーに分れて、さらにその下に小さなカテゴリーある。
    *19か月→自動車と飛行機、24か月→犬とうさぎ、31か月→犬と馬。
    *8か月で、さまざまなものを24時間くらいは覚えていられるようになる。
    *イメージスキーマ(発達心理学者マンドラー)
    *空間的な構造が概念構造に移し替えられる。
    *0歳の終わりごろ、生きているものとそうでないものの区別。
    *含み、含まれる関係、支え、支えられる関係。

    ○新鮮な世界へのよろこび? ・・・o(^"^)o バブゥ
    *0歳が、赤ん坊としてのかわいらしさが新鮮に輝いている時期だとすれば、1歳から2歳の赤ん坊は、自分自身が世界に踏み出して、その世界の新鮮さと、それを可能にしてるみずからの力に歓喜しているように見える。
    *時間と空間の次元に沿った世界の秩序化(1歳から1歳半)。
    *空間の秩序の広がりのステップ
    (1)目の前の動きに注目
    (2)顔の認識の始まり
    (3)手の届く世界
    (4)移動する空間
    (5)第3の対象と、感情から解き放たれること
    (6)部屋の中を越えて
    (7)目に見えない世界を想像する

  • [ 内容 ]
    その目に映るものは何。
    なぜ知識もなく複雑な文化世界に入れる。
    物理を理解し、言語以前の思考ができる、謎と魅力にみちた、人間の「原型」に迫る。

    [ 目次 ]
    第1部 生きる力の始まり(赤ん坊のもつ力;人間の顔が現れる;物の世界が成立する)
    第2部 世界が広がりはじめる(基本感情の誕生;「親しさ」から何が生まれるか;移動すれば世界が変わる;指さしという不思議な行為;情報としての表情)
    第3部 目の前の世界を越えて(言語以前の思考;新鮮な世界への歓び)

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