王朝貴族物語 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061492080

作品紹介・あらすじ

古代エリートの生活と哀歓。午前3時の起床、吉凶占いから夜の社交までの一日。激烈な出世競争、土地や富への欲望。恋の歓びと病気・怨霊への恐怖。豊富なエピソードでつづる王朝絵巻。

感想・レビュー・書評

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  •  平安時代の貴族たちの生活や風俗などに焦点を当て、当世風にわかりやすく叙述した本。少し前に描かれた本なので、ちょっとううんという感覚の所もあったりする。

     内容は以下の通り。
    プロローグ
    第1章 その名は貴族
    第2章 ワン・ピラミッド・クライマーの官僚たち
    第3章 王朝エコノミック・アニマル
    第4章 王朝の男と女
    第5章 王朝人の心の中
    エピローグ

     王朝の貴族たちの外形から、心の内側に至る形で叙述されている。
     平安時代の貴族たちは、わずかなポストを奪い合うかなり熾烈な階級社会の中を生きている。一見、雅な、優雅な生活をしているように思うが、一皮むければ生き馬の目を抜くような苛烈な競争社会を生き抜いているのである。
     大河ドラマの「光る君へ」でも紫式部の父である藤原為時がなかなか官位にありつけない様子が描かれている。
     その一方で、怨霊などに悩まされ、怯えているのも平安時代の貴族なのである。
     何かあれば、陰陽師や僧侶たちが加持祈祷を災いを祓い、清めていくのである。この辺りは、少し現代に生きる我々の感覚ではわからない所ではある。

     王朝貴族は、なんだかんだと言っても、明治時代まで生き残り、その後華族制度の下となり、戦前までは続いているしたたかな存在だったのである。

  • その名は貴族◆ワン・ピラミッド・クライマーの官僚たち◆王朝エコノミック・アニマル◆王朝の男と女◆王朝人の心の中

  • 平安貴族の生活や考え方がよくまとめられており、また著書のシニカルなユーモアもあり、すらすら読めました。中流貴族がいかに出世に苦労していたか、また清少納言など宮廷の舞台裏などは興味深いものでした。
    ただ、平仮名が字の上手くない人が作ったという解釈は、間違ってると思います。

  • 対象の読者層を絞りすぎているかな? という気がします。貴族を何かとサラリーマン世界に置き換え、現在のビジネスシーンに当てはめすぎていたり、やんわりと現代の政治批判をしていたりで、わかりやすいのですが、少し読み手の年代や性別を選ぶかもしれません。収入や住宅事情等、経済面の記述が多めです。終盤の文学作品や陰陽道に基づく禁忌などから、当時のメンタリティに踏み込む部分には意欲を感じました。お金の話と色恋沙汰ばかりの下世話な内容かもしれませんが、ある意味、人間味に満ちた貴族達の日常の暮らしぶりに触れられる本です。

  • この時代の事を書くにしてはちょっと言葉使いがちょっとポップに書きすぎ。あまり現代に置き換えて書かれても抵抗あって逆に入ってこない。ただ王朝貴族の一日を追ったものなどそうあるものじゃなし、この言葉使いが逆に読みやすいと思う人もいるのかなとも思う。

  • 江戸時代の文化風俗の入門書は多いが、奈良平安朝時代のそれは少ない。庶民ではなく貴族限定ではあるが、楽しいタイムスリップができる一冊。1000年以上前の話なのに、現代人をしてなるほど思わせるエピソード多数。一方で、当時の男女の話にもページを多く割いており、源氏物語の副読本としても有効だ。当世の倫理観とはかなり異なり、相当ま自由恋愛主義の時代かと思いきや、姦通の罪の意識は意外にも発達していたらしい。

  • 平安貴族といったら源氏物語のような華やかな色恋に夢中になっているように思っていたのだけれど、そんなイメージを払拭させるような本。
    現代の事象をひきあいに出していて読みやすいし、少しくすっとくる部分もあって面白みがあっていいと思う。

  • 一番謎だった王朝貴族の経済基盤がよくわかった。
    結局、権力の及ぶ範囲も、狭いものだったんだなあと。

  • 古代のエリートはいつ出勤し、どんな仕事をしていたのか?方違えなど、面倒なことが多い。こんなんで仕事になるのかな。

  • 2007/09/12入手。
    いったん「平安貴族」に手を出しちゃったんでもう少し追いかけてみます。
    2007/09/16読了。
    なんじゃこりゃ。講談社現代新書にありがちな「初心者でも読める入門書」のさらにできが悪いカタチ。総花的になるのは仕方ないにしても、これでは単なるtipsの寄せ集め。これでは大部分の人は読後も「王朝貴族」についてのイメージを得られないだろう。
    まぁ著者さんもこんなものは書きたくなかったろうと同情します。

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著者プロフィール

1932年(昭和7)東京に生まれる。東京都立大学大学院博士課程単位取得退学。富山大学・聖徳大学名誉教授、文学博士。
著書に『王朝歌壇の研究』『万葉集形成の謎』(共に桜楓社)、『閨怨の詩人小野小町』(三省堂選書)、『王朝貴族物語 古代エリートの日常生活』(講談社現代新書)、『万葉集の誕生と大陸文化 シルクロードから大和へ』(角川選書)、『心にひびく日本の古典』(新潮社)、『こんなにも面白い日本の古典』(角川ソフィア文庫)、『創られたスサノオ神話』(中公叢書)、『大麻と古代日本の神々』(宝島新書)、『こんなにも面白い万葉集』(PHP研究所)など他多数

「2020年 『草莽の防人歌 万葉のわだつみの声をきく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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