森はよみがえる: 都市林創造の試み (講談社現代新書 1220)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061492202

作品紹介・あらすじ

生き物たちの命を育み、水の恵みをもたらす緑の森が、都市化の中で荒廃していく。失われゆく「里山」の復興をめざし、北海道苫小牧の地で進められている都市林作りの実践をリポート。

感想・レビュー・書評

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  • 素晴らしい本である。多面的機能を考慮した森林経営ということの実態について、よく理解できた初めての本。

  • 1994年刊行。
    著者は北海道大学農学部教授。

     読破済みの「イワナの謎を追う」の著者だが、すっかり忘れていた。
     本書は北海道大学が保有する「苫小牧演習林」の再生・開発を通じ、荒廃しつつある森林を再生し、①森林保全に伴う環境問題の改善、殊に生態系の回復。②今でいう「里山資本主義的」な地域林業の復興と新規事業化の実現。③研究活動に必要な森林環境の再現。④周辺住民の憩いの場としての公園機能の拡充を目指す試みを追跡した書である。

     少し古い書なので、この試みの帰結したところは判らず、現状も不明だ。

     ただ、かかる試行錯誤なしには、戦前期に存在した「里山」の環境面や機能面での再現は難しいだろう。しかも、それは多地域で同時並行的に行われなければならないことも確かなはず。そういう意味では、本書の叙述はその一例を提示したに過ぎない。

     加えて、先の①ないし④の目標に関し、②は難題だし、本書の試みも成功しているとまでは言い難い。現実に森林保全・改善の活動は、事業体として独り立ちできているわけではなく、基本的には北海道大学の予算や、国・地方公共団体の援助頼みだからだ。

     とはいえ、こういう試みを絶やしてはならないのも確かだ。ここは、ドイツやオーストリア、あるいは北欧からのお雇い外国人や外国企業を誘致し、林業の二次三次産業の実験的な取組を、彼らとの合弁会社を通じて行い、その帰結として林業の裾野を広げていく試行錯誤が求められるのではなかろうか。

  • 「イワナの謎を追う」が誠実で印象に残ったので読んでみたらやっぱりアタリだった。地味だが良い本だ。
    北大の苫小牧演習林に赴任した著者が、森や川を再生して行く過程。荒れた森はどうやって再生するのか、生き物の少ない単調な川をどうやって豊かな川に変えて行くのか、その過程が具体的に書いてある。本当にやりがいのある仕事だと思う。
    学者らしい淡々とした書き口。これはこれでよしとして、淡々と書かないで、担当者や市民の顔を見えるように書いたら、ドラマとして大変面白いものになっただろう。これは著者の仕事ではない。誰かやってくれないだろうか。「数字が取れる」とはとても思えないが、何人かの心に食い込むよい作品になると思う。駄目かなあ。

  • [ 内容 ]
    生き物たちの命を育み、水の恵みをもたらす緑の森が、都市化の中で荒廃していく。
    失われゆく「里山」の復興をめざし、北海道苫小牧の地で進められている都市林作りの実践をリポート。

    [ 目次 ]
    都市林とは何か
    試みの舞台
    多目的利用の体制作り
    森の道作り
    環境緑地の林業
    都市林の針葉樹
    森の応接間
    小川の復活
    動物たちの復帰
    人の活動

    [ POP ]


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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 分類=森林・都市・自然。94年9月。

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著者プロフィール

北海道大学名誉教授。専攻は動物生態学、森林科学。1934年、長野県諏訪市生まれ。北海道大学農学部卒業後、高校教員を経て、同大学院修了(イワナの研究で農学博士)。1973年から23年間、北大苫小牧地方演習林長。同演習林の森林を総合的自然研究の拠点とするとともに、市民と自然の交流の場として開放。著書に『イワナの謎を追う』『森林と人間』『自然は誰のものか』など。

「2022年 『たぬきの冬 北の森に生きる動物たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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