- Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061492387
作品紹介・あらすじ
シンデレラや赤ずきんちゃんの物語から魔女裁判、人間狼、子捨てなど、ヨーロッパ社会の忘れられた実像が見えてくる。
感想・レビュー・書評
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中世ヨーロッパの歴史的社会的情勢を背景にメルヘンを考える、ということで、著名なメルヘン数編について、たいそう底の浅い解釈を施している。この著者が、昔話に見られる様式性、先史時代の名残り、事物の象徴的意味、構成を同じくする類話などについて何も知らないことは、一読して明らかだ。さてこの類の本には、うっかり鵜呑みにした読者に「グリム童話は残酷」といったイメージを植えつけ、ひいては、子どもの手からそれらの物語を遠ざけてしまうという弊害がある。腹が立つよ。
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作者の解釈は置いといて、参考図書の出典を割としっかり挙げている点が良い。
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「シンデレラ」
「白雪姫」
「赤ずきん」
「ジャックと豆の木」
「ヘンゼルとグレーテル」
など誰もが知るメルヘンの話から歴史情報を取り出して舞台背景となっている時代を垣間見る史料としようとするもの。
が、精神分析の分野からメルヘンを解釈する、という話は聞いた事があるが、これは歴史の分野からメルヘンを解釈しようとしている。
物語の中に出てくる悪者に対する刑罰は「魔女裁判」で使われたとされる刑罰にそのものだったり、飢饉の際の「子捨て(口減らし)」を思わせる内容があったり、ユダヤ人差別が見え隠れするものがあったり、とメルヘンと言えど、その時代の世相を反映しているものが多い。
精神分析の分野からの解釈よりは、関連が直接的で分かりやすい感じがする。
(「白雪姫」に出てくる毒リンゴは「○○○」の象徴で・・・と言われても、それが正しいか正しくないか、判断がつかない)
ただ、個々の小道具が現す意味の解釈については理解できるが、著者による物語全体の新解釈には釈然としないものもいくつかある。
(あくまで個人の主観的な感想として)
メルヘンも最初から今の状態でずっと伝わっていたわけではなく、原型となる話があり、それにいろいろ付加され、時代の影響を受け、物語自体も変容しているので、いろいろな時代のものがゴッチャになった状態のものを解釈しようとしてもムリが出てきてしまうのではないか、と思ってしまった。
が、メルヘンの解釈としてこういうことも考えられる、というレベルにおいては楽しめる内容になっている。
「さるかに合戦」は勧善懲悪の物語か、過剰な復讐の物語か、「桃太郎」は英雄の物語か、大義なき侵略の物語か、と考えるだけで面白い。
これと同じ意味では著者によるメルヘンの解釈も楽しめるものになっている。 -
個人的解釈+歴史の小話。ヨーロッパの古いしきたりや日常が垣間見える。ネタのひとつひとつが短く、もっと突っ込んで知りたかった。
「三枚の蛇の葉」は初見で物語自体楽しめた。蘇りの葉を目と口に置くのが興味深い。
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「長靴をはいた猫」 なぜ猫なのか / 粉引き屋の特権 / 靴と身分の関係
「白雪姫」 赤・白・黒の色について / ガラスケースの製作史
「赤ずきん」 人狼裁判
「ジャックと豆の木」 農耕史と豆の話
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タイトルからはもう少し歴史話が読めると思ったのだが、残念ながら期待外れだった。著者の解釈も疑問。
例えば
「白雪姫と継母は父/夫である王を奪い合う関係で……」
「継母が胸ひもや櫛、りんごを持って小人の家まで来たのは姫を殺すためでなく、実はみやげ物を持って来ただけなのだ。なのに姫は被害妄想で……」
といった話は、想像を逞しくすればどうにでもなる。他にそういう類話があるなら面白いと思うが。
もっと歴史やテキストを踏まえた、読み応えのあるものが欲しかった。 -
当時の文化や社会状況に視点を置いて歴史的観点から童話を解釈する。おもしろい。
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これもまた1つの解釈の仕方、として読ましてもらった。その時代のことを知って、何故メルヘンには残酷なものばかりなのか分かった。でもこの本を読む前に、まずそのメルヘンを読んで話自体を楽しんでからの方が良いと思う。
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