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Amazon.co.jp ・本 (210ページ) / ISBN・EAN: 9784061492479
作品紹介・あらすじ
目玉焼き・メロンパン・希望の光・人生の黄昏――日常言語に含まれる思考手段としてのメタファーをとりあげ、人間的意味の形成のしくみを明かす。
メタファー早分かり――「月見うどん」はメタファー、「きつねうどん」はメトニミー、「親子丼」はシネクドキ。また、「白雪姫」はメタファー、「赤ずきん」はメトニミー、「人魚姫」はシネクドキ。さらに、「たい焼」はメタファー、「たこ焼」はメトニミー、「焼き鳥」はシネクドキ。
メタファーは、類似性に基づく。より抽象的で分かりにくい対象を、より具体的で分かりやすい対象に《見立て》ること。(略)
メトニミーは、現実世界(民話のような想像世界も含める)のなかでの隣接関係に基づく意味変化である。「赤ずきん」は「赤ずきん」そのものを指すのではなく、赤ずきんをかぶった女の子(赤ずきんちゃん)を指す。(略)
シネクドキは、意味世界(私たちの頭のなかにある)における包含関係に基づく意味変化である。(略)「親子」という類で特定の種「鶏とその卵」を表し、「人魚」という類であの海に身を投げて泡と消えた「人魚姫」を表している。――本書より
みんなの感想まとめ
日常言語に潜むメタファーの世界を探求し、人間の認知や思考における意味形成のプロセスを解明する本書は、視覚的な表現や具体例を通じて、メタファーの深い魅力を伝えています。特に「視線」に関する考察が印象的で...
感想・レビュー・書評
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第三章第一節の「メタファーと心理」については予備知識がないまま読んだので難しくてよく理解できませんでしたが、それ以外のところはよくわかりました。
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文学的な表現技法としてのメタファーではなく、「人間的意味の形成の問題」という観点からメタファーの認知科学的な意味に迫った本です。視角のメタファーと空間のメタファーを中心に、人間の認知活動や思考活動においてメタファーの持つ意味を解き明かしています。
テーマそのものはおもしろく感じましたし、数多くの具体例を提出して問題の広がりを読者に印象づけることに工夫が凝らされていますが、理論化ないし体系化への志向があまり感じられないところに、少しもの足りなさを感じてしまいました。 -
とても面白かった、けど、難しい!
メタファー(見立て)から、言葉を考える。
特に「視線」のくだりが面白かった。
日本語でも、英語でも、目から線が出ているわけではないのに、同じイメージをする。
つまり、《人間的意味の形成》であると筆者は述べている。
確かに、言葉に含まれる似通ったイメージに、ハッとさせられることがある。
それらを調べることによって、人間そのものの探求になるのだろうな、と思うのだ。
見立ては、伝わらなくては意味をなさない。
けれど、時として思いもつかない見立てに、感動さえさせられることがある。
なかなか、細かい所を読み切れなくて悔しいのだけど、大きな問いを得た気がする。
再読前提。がんばる。 -
難しい。
メタファーから人間の営みを紐解く本。 -
背景知識もなかったため、
新書にしては難しく学術書に近いと感じた。
人間は思考する時に、いかにメタファーという手段に頼っているかがわかった。
日本語と英語のメタファーの対応を通じて、人間の思考の傾向について検討している点が面白かった。 -
メタファーをきる。
期待した内容と乖離があったのであんまり合わなかった。
やや学術視点。 -
山本 良彦 先生
メタファーとは、抽象的で分かりにくい対象をより具体的で分かりやすい対象に「見立てる」ことであり、これがわかると私達の思考のくせがわかるということである。
ヒトに関わる医療従事者として是非メタファーを理解しておきたい。 -
目玉焼き、畑の林檎が異質に思えるくらい、中身は割と専門的な言語学の話。(入門書ではない。ましてビジネス書ではない。)
感覚表現、時間表現、位置や空間把握といった分類でメタファーの使用例がたくさん挙げられている。メタファーを通じて人間の言語と思考の本質が見えてくるようで、その考えに衝撃を受けた。
日本語と英語は基本語彙に同じような感覚でメタファーを使っています、ととにかく沢山紹介している感じ。中国語の漢字もメタファーが使われてそうなのに。
「立場」「基礎的な」「一段と」「規定する」当たり前のように学術的な文章でも使う言葉も、大もとにたち返れば「メタファー」であることに、改めて気づく。
暖色、warm colorの一致。
「p46 基本的なメタファーをおさえると、私たちの思考法が見えてくる。平たくいえば、私たちの思考の癖が分かるということである。この癖は、人間的な癖である。」
「P80 まことに存在のメタファーの力は絶大である。森羅万象を「もの」化してしまう力を秘めているのであるから。中略 これは、いったん「もの」化させないと、私たちは、ある思考対象について具体的に考えを展開できないからなのであろう。」
修論で「抽象化した言語行為の単語と、文脈との関係」というようなものを扱ったけど、それは語用論、認知言語学というより、メタファーの観点が直接的に関連してたのだなと今になって思う。もう少し他人の専門的な言葉を借りて記述できたはず、、、
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序章 メタファー発見
第1章 視覚のメタファー
第2章 空間のメタファー
第3章 メタファーと現代社会
著者:瀬戸賢一(1951-、京都市、言語学) -
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メタファー思考というと何かビジネス書のタイトルにも思えるが、本書はメタファーという存在について考える入り口としての新書であって、ビジネスには役立たないし、安易な「まとめ」も拒絶するかなり奥深い内容。
目玉焼きというのは「目玉を焼いたものではない」というのは誰もが知っていることだが、それらのメタファーを認知の面からさまざまな例を紹介して行く。
目玉焼きやメロンパンなどの類似性からくるメタファーなどのわかりやすい例から、就職氷河期や雪解けといった言葉遣いの紹介に進み、普段何気なく使っているメタファーをもとに、言語とメタファーの関係、現実の世界と意味を表す世界を触媒する存在としてのメタファーを、ソシュールやその思想などにあまり頼らずに深く掘り下げて行くところがおもしろいし、日常の言葉がメタファーから成り立っている箇所も多いことへの気づきなども得ることができて読んでよかったと思う。
難点を探すとすると、メタファーの例が次々と紹介されるページが多いわりに「思考」をじっくりと紹介する場面が少なく感じることくらいか。 -
読んだ後で、色んな言葉がメタファーされていることに気づけるし、おもろい。
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すごく面白かった。専攻を決める前に読んでたら言語学にしてたんじゃないかってぐらい面白かった。
まず、メタファーレベルで日本語と英語の表現が密接に対応している(「暖かい色」が "warm color"だったりする)ことから、人間には感覚的に共通するところがあるんじゃないの?って論題提起が為されます。筆者はこれを「人間的意味の形成の問題」って呼びます。これには「人間とは何か」という根本的な問題へのアプローチが含まれています。
以上が序章の超要約。一章で視覚のメタファー、二章で空間のメタファー、三章でメタファーと現代社会(ここで心理学、経済学、科学との関連について言及)をそれぞれ扱うという内容です。
序盤は英語と日本語の対応からメタファーを明らかにしていくので、英単語を接頭辞、接尾辞に分解したりします。案外それが英語の勉強にもなります。
一番面白かったのは光のメタファー(p.57)のところです。light (光)は lux っていう、光の照度を表す単位に関連しています。ここから派生して luster (光輝)や illustrious (輝かしい、著名な)などの単語があります。luxの語源が、「輝く」「白い」まで遡れるそうです。ここから日本語なのですが、「著名な」の「著」が「いちじる(しい)」と読まれ、「いと」(とても)「しろし」(白し)に分解できます。「白」という成分が両者な共通して浮かんできます。こんな感じのが何個も挙げられています。
後半に関しては、メタファーとアナロジーとメトニミーとシネクドキが出てきて一気に難しくなります。さっぱりわかりませんでした。メタファーのところだけやっとって感じです。
休み明けのウォーミングアップとしては勉強になるけど、難しすぎる本でした。 -
最終章に書かれていた「メトニミー」と「シグネトギ」の違いが面白い.
メトニミー:たこ焼き,赤ずきん
シグネトギ:親子丼,焼き鳥
メトニミーは隣接や包含の関係で表されるものをいう.例えば,たこ焼きは具の一部で料理の名称を表している.「シリコンバレー」は地名でアメリカのIT業界全体を表現している.
シグネトギは種と類,数学的には要素と集合,情報科学的には「is-aの関係」になっている.
例えば親子丼では,鶏と鶏卵を「親子」と一般的な関係性で表している.
メタファー以外のレトリックを知れてよかった. -
つかみどころがない物事を捉えるときに、私たちはよく「メタファー」(隠喩)を用いて理解します。例えば、「人生」とは「旅のようなもの」であるとか、「議論」とは「戦いのようなもの」であるというような理解の仕方です。このようなメタファーによる理解は、人間の認知の根本的な特徴であるとも言われています。そして、メタファー的な思考は、創造的思考や発想において重要な役割を果たしていると思われます。認識、思考、創造のレトリックとしてのメタファーについて学びます。
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私が手にとったのは真っ白な表紙に灰青色のうっすらとした正方形がうかぶ表紙のタイプなので、この画像とは少し手に取ったときの雰囲気も、本から受けるイメージも違うけれど、中身は同じもののようです。
この本の筆者は英語学が専門です。
英語を日本語を通して覚えることの危険性についても、この本を通して理解できる部分が多々あります。
よくある1語1訳の英単語集で覚えた知識ではなぜ歯が立たないのかも理解できるでしょう。
それ以上に、この本に出会うことで意識に変革が起きるのは、いかに我々が物事を、実際の姿に則してではなく既に知っていることと照らし合わせて理解しているかが分かるところに原因をみます。
私たちが見ている、感じている、かいでいるetc.etc.
そんな世界と「現実世界」との間には大きな隔たりがあることを再認識(re-cognize)させてくれる本です。 -
レトリックの修辞技法のひとつである「隠喩(メタファー)」を詳細に説明することを通して、人間の認知構造の一端を解き明かそうとする本。著者が英語学の専門であるので、英語を引き合いに出しながら、日本語との共通項に着目して論じている。この点、言葉の認識に関する構造主義的な立場で語られている。採用するメタファーによってものの見え方は変わる。例えば、資本主義の根底にある「time = f(money)」という関数は「経済」を捉える場合の一つのメタファーであり、外部世界を認識する仕方としてそれがしっくり来るので採用されている。別のメタファーが生まれれば、また別の見え方に取って代わる。つまり、メタファーとは物事を見えやすくする眼鏡だと云える(←メタファー)。
新書1000本ノックその22 -
メタファーは、文学だけでなく、人間のちょっとした思考や生活においても切り離せず、物事の認識を助け、イメージを豊かに広げてくれることが分かる。また、時間をお金に見立てるような、特定のメタファーの浸透が、広く社会の価値観を固定化し、認識の自由を奪う危険性も示唆していることに共感する。
入門書にしては、この本で指すメタファーの定義説明がなく、人によっては、それのどこがメタファー?当たり前じゃん、と思われそう。また、例の選び方や論の展開がやや恣意的に感じる。帰納法的な方法をとらざるを得ないから仕方ないし、細かく検証してたら新書じゃ収まらないんだろうけれど。
最後の文献案内も良い。
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