メタファー思考 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061492479

作品紹介・あらすじ

目玉焼き・メロンパン・希望の光・人生の黄昏-日常言語に含まれる思考手段としてのメタファーをとりあげ、人間的意味の形成のしくみを明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 文学的な表現技法としてのメタファーではなく、「人間的意味の形成の問題」という観点からメタファーの認知科学的な意味に迫った本です。視角のメタファーと空間のメタファーを中心に、人間の認知活動や思考活動においてメタファーの持つ意味を解き明かしています。

    テーマそのものはおもしろく感じましたし、数多くの具体例を提出して問題の広がりを読者に印象づけることに工夫が凝らされていますが、理論化ないし体系化への志向があまり感じられないところに、少しもの足りなさを感じてしまいました。

  • とても面白かった、けど、難しい!

    メタファー(見立て)から、言葉を考える。
    特に「視線」のくだりが面白かった。
    日本語でも、英語でも、目から線が出ているわけではないのに、同じイメージをする。
    つまり、《人間的意味の形成》であると筆者は述べている。

    確かに、言葉に含まれる似通ったイメージに、ハッとさせられることがある。
    それらを調べることによって、人間そのものの探求になるのだろうな、と思うのだ。

    見立ては、伝わらなくては意味をなさない。
    けれど、時として思いもつかない見立てに、感動さえさせられることがある。
    なかなか、細かい所を読み切れなくて悔しいのだけど、大きな問いを得た気がする。
    再読前提。がんばる。

  • 難しい。
    メタファーから人間の営みを紐解く本。

  • 背景知識もなかったため、
    新書にしては難しく学術書に近いと感じた。
    人間は思考する時に、いかにメタファーという手段に頼っているかがわかった。
    日本語と英語のメタファーの対応を通じて、人間の思考の傾向について検討している点が面白かった。

  • ふむ

  • メタファーをきる。
    期待した内容と乖離があったのであんまり合わなかった。
    やや学術視点。

  • 山本 良彦 先生

    メタファーとは、抽象的で分かりにくい対象をより具体的で分かりやすい対象に「見立てる」ことであり、これがわかると私達の思考のくせがわかるということである。
    ヒトに関わる医療従事者として是非メタファーを理解しておきたい。

  • 目玉焼き、畑の林檎が異質に思えるくらい、中身は割と専門的な言語学の話。(入門書ではない。ましてビジネス書ではない。)
    感覚表現、時間表現、位置や空間把握といった分類でメタファーの使用例がたくさん挙げられている。メタファーを通じて人間の言語と思考の本質が見えてくるようで、その考えに衝撃を受けた。
    日本語と英語は基本語彙に同じような感覚でメタファーを使っています、ととにかく沢山紹介している感じ。中国語の漢字もメタファーが使われてそうなのに。
    「立場」「基礎的な」「一段と」「規定する」当たり前のように学術的な文章でも使う言葉も、大もとにたち返れば「メタファー」であることに、改めて気づく。

    暖色、warm colorの一致。
    「p46 基本的なメタファーをおさえると、私たちの思考法が見えてくる。平たくいえば、私たちの思考の癖が分かるということである。この癖は、人間的な癖である。」
    「P80 まことに存在のメタファーの力は絶大である。森羅万象を「もの」化してしまう力を秘めているのであるから。中略 これは、いったん「もの」化させないと、私たちは、ある思考対象について具体的に考えを展開できないからなのであろう。」


    修論で「抽象化した言語行為の単語と、文脈との関係」というようなものを扱ったけど、それは語用論、認知言語学というより、メタファーの観点が直接的に関連してたのだなと今になって思う。もう少し他人の専門的な言葉を借りて記述できたはず、、、

  • 序章 メタファー発見
    第1章 視覚のメタファー
    第2章 空間のメタファー
    第3章 メタファーと現代社会

    著者:瀬戸賢一(1951-、京都市、言語学)

  • メタファー思考というと何かビジネス書のタイトルにも思えるが、本書はメタファーという存在について考える入り口としての新書であって、ビジネスには役立たないし、安易な「まとめ」も拒絶するかなり奥深い内容。

    目玉焼きというのは「目玉を焼いたものではない」というのは誰もが知っていることだが、それらのメタファーを認知の面からさまざまな例を紹介して行く。

    目玉焼きやメロンパンなどの類似性からくるメタファーなどのわかりやすい例から、就職氷河期や雪解けといった言葉遣いの紹介に進み、普段何気なく使っているメタファーをもとに、言語とメタファーの関係、現実の世界と意味を表す世界を触媒する存在としてのメタファーを、ソシュールやその思想などにあまり頼らずに深く掘り下げて行くところがおもしろいし、日常の言葉がメタファーから成り立っている箇所も多いことへの気づきなども得ることができて読んでよかったと思う。

    難点を探すとすると、メタファーの例が次々と紹介されるページが多いわりに「思考」をじっくりと紹介する場面が少なく感じることくらいか。

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著者プロフィール

大阪市立大学名誉教授 佛教大学教授

「2014年 『大学生のための 英語の新マナビー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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