アメリカ南部 (講談社現代新書)

制作 : 森本 豊富 
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061492530

感想・レビュー・書評

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  • 1995年刊。著者は早稲田大学教授。◆レーガン大統領輩出に尽力したのは米南部の保守グループと聞けば、米南部を米ローカルの問題として座視することは難しかろう。他方、米南部と聞けば、バーボンウイスキーに、ラグタイムやブルース、ジャズを想起するかもしれない。あるいはコカ・コーラやペプシかも。◇本書は米国の英植民地時代を軽く触れつつ、米独立以降の南部の地域性を政治経済のみならず、文化の側面からも切り取って見せる書。当然、綿花プランテーションの黒人奴隷→公民権運動が軸になるが、小説・音楽にも言及。
    ◇やはりというか、綿花プランテーションの隆盛に淵源を持つ南北戦争の残した痕跡が南北を社会的・文化的に区分けする大きな要素。そういう意味で地理・植生・適正作物の問題を無視するわけにはいかないかも。◇また、本書からは、ケネディ大統領が公民権運動に果たした存在意義の大きさを看取しないわけにはいかない。先に読破した「高等弁務官」が叙述する米軍施政下の沖縄問題に関しても同様と感じたケネディの歴史的な意義だ。

  • 先日読んだ「わが心のディープサウス」と同じ著者による作品。内容もけっこうリンクしているのだが、こちらは新書のせいか、「わが心の…」よりもっと突っ込んで解説されている。


    「ヤンキー」はアメリカ人全体を指すと思っていたら、どうやら北部人のことを指すらしく、南部人は「レベル」と呼ばれるらしい。そういうところでも、南部と北部で区分けされているんだなと感心した。南北戦争に敗北し、時流の波にもまれ、多くの貧しい人々がシカゴやデトロイトに職を求めて移動したとかで、それはもしかして、E.レナードの作品の舞台の多くがデトロイトであることと関係あるのかもしれない。


    アメリカ国内の、というよりアメリカ北部人の持つ「南部人」のイメージは、総じて「人のよい田舎者」という感じらしいが、………北部人だって、一部を除いてたいがい田舎者なんじゃ…? 


    それはともかくとして、ジャズ、ブルース、ロックなどの音楽、「風と共に去りぬ」「欲望という名の電車」といった文学、またコーラやゲータレードなどのソフトドリンクなど世界中で親しまれているものが南部で生まれているのは、奴隷制や産業の立ち遅れなどの過酷な歴史や環境による田舎的な鬱屈もあるだろうが、フランス、スペイン、アフリカの文化を取り込んできた、都会的ともいえる洗練さも無視できないのではないかと思うのだった。

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