- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061492653
作品紹介・あらすじ
日本は大陸で何をしたのか。軍医中将石井四郎と医学者達が研究の名で行った生体実験と細菌戦の、凄惨で拙劣な実態。残された資料を駆使して迫る、もう一つの戦争犯罪。
感想・レビュー・書評
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科学者の視点からみた大陸での戦争。石井らの行った行為を科学的視点からも捉えつつ、戦争で隠された真実を暴き出そうと模索し続ける。私達が知らない戦争、加害者としての事実が暴き出されている。教科書に載ることはない事実。あらゆる世代が読んで戦争について考えてもらいたい。(図書館)
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薄い本なのでサクサク読めました。
以前から知っていましたが、改めて本を読んでみて日本の暗部の歴史を感じました。 -
731部隊は日本の愚かさの象徴だと思う。
石井四郎の原点となった脳炎の話や研究者がサンプルを得るために墓荒しまでしたことや、人体実験の規模の割には成果が少ないという筆者の言葉が印象に残りました。研究内容の猿を人に置き換えて読むのはなかなかショッキング -
よくまとまった、日本の731部隊及び関連部隊の成立から崩壊までコンパクトに記述されたらょ有心的な概説書。医学者のモラルが「天皇のため、国のため」思考停止に陥った時、人はいかに残虐無慈悲になりうるか、自立した個人と専門知識にのみ拘泥することの愚かさとそこからの脱却を求めているのも当然だろう。しかし本書刊行から25年以上経っても未だにこの国においては、滅私奉公とお上への忖度がむしろいっそう惨憺たる有様にまで悪化しており絶望を禁じえない読後感にもなってしまった。
また著者や生前の関係者、北野政次や内藤良一(薬害エイズ事件を引き起こしたミドリ十字創設者)にもあっているが記述は短いが当然読むものにも緊迫感を与える。彼らは二人共人体実験を否定しはしなかったのも印象的だ。 -
陸軍中将石井四郎と彼の率いる関東軍防疫給水本部。研究という名の下に医学者たちが行った人体実験と細菌戦を究明する。
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2017/12/25 10:47:09
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こういう新書モノって、事実を淡々と述べてあるだけのイメージが強いし、実際そうあってほしいという期待があって手に入れるけれど、この本は違う。「許すまじ人体実験」の怒りの感情が爆発している。抑えきれていないところが多々あるし、731部隊というタイトルにしながらも、そうでない部隊も組み込んでいるし、時系列もバラバラだし、なんとも読みにくい。周辺も知られるという利点である、と前向きにとらえたらよいのかな。
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(2006.08.08読了)(2005.12.11購入)
七三一部隊というのは、「南京事件」と同様、日本政府が、あまり明確にすることを好まない話題です。当事者も進んで、話すような事はありません。歴史の教科書検定でも、「存在が具体的に立証されていない」とか「学問的研究が存在していない」という理由で、教科書に入れる事は、拒否されています。
●七三一部隊とは?(9頁)
七三一部隊というのは、1936年から1945年まで中国のハルビン近郊の平房に存在した「関東軍防疫給水部」の本部のことだ。創設者で、長く部隊長を務めた石井四郎軍医中将の名をとって、石井部隊と呼ばれることもある。
隊員数3千人弱で、10年間に2千とも3千とも言われる人を人体実験によって殺害していた。人体実験の目的は、病気の原因の解明や、生物兵器開発のためとされていた。確認されているだけで25種類の病気について人体実験を行い、その他、各種のワクチン開発などでも人体実験を行っていた。
●マラリア(57頁)
マラリアという名前はイタリア語の”mala aria”(悪い空気)に由来するもので、悪い空気を吸うと感染すると思われていた。
●敗戦処理(86頁)
1945年8月9日、長崎に原爆が投下された日、現地ハルビンの時間では明け方、ソ連が中国東北部に進軍して来た。石井はその知らせをハルビン市内の隊長宿舎で聞いた。ただちに東京と連絡を取り、七三一部隊建物の破壊と部隊員の日本への逃避を指揮した。
●戦犯免責(87頁)
アメリカ軍による石井部隊についての調査は敗戦直後の9月から始まっており、研究上の情報を提供すれば戦犯訴追はしないと約束し、戦犯免責を与えた。
1946年末、ソ連が石井たちを人体実験の廉で軍事裁判にかけるということで、引渡しを求めてきた。
アメリカ軍はソ連の引き渡し要求を退けた。
●人体実験の目的(105頁)
七三一部隊で行われた目的の明確な人体実験は、以下のように分類できるだろう。
1.手術の練習
2.未知の病気の病原体の発見のための感染実験
3.病原体の感染力増強のための感染実験
4.新しい治療法開発のための実験
5.ワクチンや薬品の開発のための実験
●生物兵器用の病原体(119頁)
生物兵器用の病原体として望ましいのは、次のようなものだ。感染力が強く、寿命が長く、自然環境の変化に強く、大量生産が容易、敵による検出が困難なもの。
●生物兵器の使用(149頁)
1942年4月コレラ菌を上海に近い浙江省と江蘇省にまたがる地域に飛行機で投下した。日本軍がこの地域に誤って踏み込み、一万人以上にのぼる患者を出した。千七百人以上が死亡した。被害にあった日本兵は上官から、中国の生物兵器攻撃だと教えられたという。
著者 常石 敬一
1943年 東京生まれ
東京都立大学理学部物理学科卒業
専門 科学史、生物化学兵器軍縮
☆関連図書(既読)
「南京事件」笠原十九司著、岩波新書、1997.11.20
「長崎の鐘」永井隆著、中央出版社、1976.06.20
「五十年目の日章旗」中野孝次著、文春文庫、1999.08.10
「極光のかげに」高杉一郎著、岩波文庫、1991.05.16
「収容所から来た遺書」辺見じゅん著、文春文庫、1992.06.10
「戦場から届いた遺書」辺見じゅん著、NHK人間講座、2002.12.01
「パール判事の日本無罪論」田中正明著、小学館文庫、2001.11.01
「風の男 白洲次郎」青柳恵介著、新潮文庫、2000.08.01
「命こそ宝」阿波根昌鴻著、岩波新書、1992.10.20
「「日の丸・君が代」の話」松本健一著、PHP新書、1999.12.06
「靖国問題」高橋哲哉著、ちくま新書、2005.04.10
(「BOOK」データベースより)amazon
日本は大陸で何をしたのか。軍医中将石井四郎と医学者達が研究の名で行った生体実験と細菌戦の、凄惨で拙劣な実態。残された資料を駆使して迫る、もう一つの戦争犯罪。 -
日本もかつてはここまで酷いことをしていたのだ、という事実を知るべき。
中国は戦後、日本人捕虜の気持ちをほぐし、強制によってではなく自発的な意志で各自の戦争時の犯罪行為をきちんと述べてもらおうと考えた。そういう地道な努力によって日中が二度と戦争しないための人材を、友人を中国は作り出したのだった。
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