ヒトはなぜ子育てに悩むのか (講談社現代新書 1280)

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  • 講談社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061492806

作品紹介・あらすじ

「母親語」の力、の父親の役割、ことばの発達。赤ちゃん研究の意外な知見から、育児の常識を読みかえる。

感想・レビュー・書評

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  • 内容紹介(amazon)
    「母親語」の力、父親の役割、ことばの発達。赤ちゃん研究の意外な知見から、育児の常識を読みかえる。

    母親語という現象――実際に、母親語という現象を頭のかたすみに残して、日常の私たちの会話に耳をすますと、意外なほどいろいろなものが見えてくる。まず乳幼児が学習を成立させるうえで、母親語は大切な機能をはたしている。そもそも「母親語」と命名されたのは、母親による高く抑揚の激しい口調が、子どもにとって重要な意味を持つという事実によっている。けれども母親ばかりが、母親語を語るのではない。父親も子どもに向かって用いる。この「父親語」は母親語とまた、違った作用をするらしい――本書より

  • 別に悩んでいるわけではないのですが、わけあってこんな本を読んでみました。これが結構おもしろいのです。今まで自分の考えてきたことが、あるいは一般に信じられてきたことが、何の根拠もないことだということが分かってきます。たとえば、一番強烈なのは「スウォドリング」という子育ての習慣です。今ではほとんど行われなくなっていますが、アンデスの山奥の村などでいくらか残っているようです。それはどういうものかというと、生後間もない赤ちゃんを板にしばりつけておくというのです。動き回れません。「はいはい」もできません。そんなことしていたら子供は歩けなくなってしまうのではと心配されます。なのになぜそんなことをするかというと、まわりがそれほど清潔ではなく、動き回るとかえって危険なことが多いからというのです。そしてそれは、その村の人々にとっては大変合理的な子育ての方法なのです。でも、歩けなくなるのでは・・・ところが、そこが一番の驚きなのですが、実は「はいはい」をすることと歩くということは何の関係もないようなのです。実際、その村の子供たちは、その板から解放される1歳過ぎになるとちゃんと歩けるようになっているのです。それまで一切「はいはい」をしていないにもかかわらず。そして、日本でもお母さんたちにきいてみると「はいはい」をほとんどしなかったという子供たちが結構いることが分かってきたのです。さあ、私たちの子育てに関する常識は一体どこまで正しいのでしょうか。著者はもともとサルの研究者ですが、自分の子供が産まれたのがきっかけで人間の子供も調べるようになってこられたのだそうです。しかし赤ちゃんてかわいいですよね。なぜそんなにかわいく感じるのか、そんなことについても本書で述べられています。

  • 子供によって親にしてもらう、とは良く言ったもので、言葉と視覚、聴覚で凝り固まった頭のまま子供になにかしようとすると上手くいかない理由がよくわかる。
    情報では手に入らない知恵、人間も自然の一部なのが根幹で、文化文明は枝葉とクリスマスツリーの飾りなんだな、と思わせる。

    子供と向き合うことでこれまでの自分を再構築し、さらに発達するための第二の礎にするあたり、なるほどと膝を打った次第。

  • 4061492802 207p 2004・4・9 5刷

  • 母親語の使われ方、母性愛という概念の成り立ちや、スウォドリングの実際(西欧ではなく本場ボリビアの話)などが興味深かった。ちょっと珍しい本かもしれない。

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著者プロフィール

1954年大阪生まれ。専門は、ヒトを含めた霊長類のコミュニケーションの研究。
1983年 大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了
現 在 京都大学霊長類研究所教授

[主著]
ケータイを持ったサル 中央公論新社 2003年
音楽を愛でるサル 中央公論新社 2014年
自閉症の世界(共訳) 講談社 2017年

「2019年 『ニューロダイバーシティと発達障害』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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