哲学の謎 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1318
レビュー : 138
  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061492868

作品紹介・あらすじ

時は流れているだろうか。私が見ている木は本当にそこにあるか。他者、意味、行為、自由など根本問題を問いなおす対話篇。

感想・レビュー・書評

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  • なんだかえらくざっくりしたタイトルだなあと思いつつも野矢さんだしと読んでみる。
    本当にざっくりした、哲学の(というか、暇な時にこういうこと考える癖がある人間の)初歩的疑問を対話形式で掘り下げている。
    最初はなんだか永井均のようなことを言っているなーと思ってて(あとがきにそう書いてた)、大体は永井さんの著作でカバーできてる感じはあるけれども、面白かったのは「経験と知」の章の斉一性は一般性を帯びているから斉一性により一般性を語ることはできない。一般性は後天的に獲得された思考習慣のようなものだという論。あと自由というのは虚構の語り口のひとつなのではないかという説。最近読んだ(まだ途中)神学の本にこれに通じるような文章があって、私はそれがすごく恐ろしく、だから「虚構の語り口」という説はそこに落ち込まないための良い説だと思う。

  • そもそも〜?という当たり前と思うことを見つめ直す哲学的な内容だけど、対話形式で読みやすい

    なにかの結論があってスッキリするような本じゃないけど、読んでいる間は日頃の悩みやもやもやから逃げられる、ような気がした

  • これが、野矢氏の真骨頂だと思っています。
    「日常を哲学する」というスタンス。
    そしてそれこそが、哲学ってもんだと思うからです。

    本作は、野矢氏の書いた哲学の入門書です。
    と言っても、ガチガチの哲学書ではありません。
    対話形式で、一つずつじわじわ考えていく、という形式。
    ここで描かれるテーマが、本当に面白いのです。

    対話形式で掘り下げされていく、ちょっとした「謎」。
    たぶん、誰もが一度が考えたことがある「謎」。
    子どもの頃に思い悩み、年齢を重ねるにつれ、忘れ去られる「謎」。

    ・世界の大部分の人が色盲であるとき、「赤」は何色になるか?
    ・ロビンソン・クルーソーは、「狂気」にかかるか?
    ・世界は五分前に始まった
    ・「いままでそうだった」ことは「これからもそうである」ことなのか?
    ・「自由」という行為とは?

    そういった「謎」を、改めて考えてみる。
    そうすると、自分がいかに矮小かが見えてくる。
    自分がいかに無知なのかが分かってくる。
    それが、つまりはスタートライン。

    哲学というものは、小難しいことと捉えがちです。
    屁理屈、無意味な言葉遊び、そう捉えられることすらあります。
    しかし、そうではない、と野矢氏は教えてくれます。
    哲学とは、「考える」ということ、そのものなのです。
    何を考えても良い、何を導き出しても良い。それが、哲学です。

    一番難しいことは何か、ご存じですか?
    それは、「問い」を見つけることです。
    問いさえ見つけることが出来たのなら、あとはそれを解くだけです。
    問いは、始めはあちこちに散在しています。
    問いに答えて終わり、ではなく、その答えから問いを見つける。
    その繰り返しなのです。
    時には、問いに答えることで、前の答えが無効になることもある。
    すべてを一本の筋道として綺麗に並べることが出来るか否か、なのですね。

    人間、と言う物理的な存在である以上、本当の「自由」は存在しません。
    しかし、思考という場所では、すべてが自由なのです。
    そして本物の「思考」は、間違いなく愉悦。
    その入り口に、すっと導いてくれる名著だと思います。

  • あれは国語の教科書の折り返しのところだつたか。本書の冒頭部分が掲載されてゐたやうな気がする。
    あの時、ものすごく驚き、搖さ振られたことを覚えてゐる。ひとがゐなくなつた後でも、やつぱり夕陽は赤いのか。よく死んだらどうなるのだらうとか、自分と記憶も何もかも一緒のひとがいたとしたらとか、途方もなく考へてゐた気がする。さうした中にあつて、あらゆるひとが全滅した中でも夕陽は赤いのかどうかといふことが、さうした考へと響くところがあつたのだらう。
    その時は、ただ漫然と、この自分と呼ばれる何かが存在しない世界といふものが考へられず、すごく変な気持ちになつた。「わからない」そのことがわからなかつた。知りたくても知りえない。けれど何かがそこにあるやうな、そんな変な気持ち。
    その時から少しは成長した。とはいふもの、幼い時に考へてゐた問ひの魅力は変らない。少し変はつたことと言へば、多少あの時の感覚を見つめなおすことができるやうになつたといふことか。
    もしもひとがすべてゐなくなつたら。この想定自体、ひとの存在を前提がなければ不可能なのだ。そして、見つめた夕陽を「赤」と「言へる」ことも、「赤」の存在がなければならなかつた。
    しかし、このことは、世界が5分前につくられたとする、あるひは、空飛ぶスパゲッティモンスターがつくりあげたとするといふこともあり得る。想像できれば何でも存在する、さういふことになる。要はどうとでも言へることになつてしまふ。そのことを覆へすだけの論理はそれこそ存在しない。真に存在しないことは、沈黙となつてしまふはずだ。
    けれど、世界が5分前につくられたにしろ、誰がつくらうと、それを見つめる、語る何かが存在しなければできないのだ。鈴木大拙先生の言ふ、「光在れ」と言つたのを見つめたのは誰か。このことに尽きる。
    在ると言へばあるし、無いと言へば無い。どちらも同じことばだつた。けれどことばが、何かが存在するといふことは、「本当に存在しない」何かに裏付けられなければならない。有るものが無く、無いが有る。どうやらさうした逆説が成り立つやうなところでひとは生きてゐるやうである。
    語ることばは確かに虚構かもしれない。しかし、虚構が虚構であるといふことは紛れもない「真実」であるし、その真実が成り立つためには、真実は虚構であるといふことが起きてしまふ。そんな風にできてしまつてゐる。なんにせよ、何かが在り、何もないそのことは存在するが知ることができないやうにできてゐるやうである。

  • 読みづらい。
    対話式を取っているが、どっちの話者も口調が同じで、しかも明瞭な役割分担がなく、語り手にも聞き手にもなる。
    おまけに話者ABと文中で明記せず、上部線の有無だけで判断せねばならないから、読み手はしばしば混乱して話の流れを見失う。
    試みは面白いし、発言も深いが、もうちょっとだけ上手く編集してくれれば良かったのに。

  • 書いてある内容はよくある「哲学の考え方入門」って感じなんだけど、フォーマットが対談形式になっていて、ウィットのある会話が面白い。長く読み継がれる新書だと思う。

  • こいつはいいですぜ、旦那。
    哲学超入門編!
    わかろうが、わかるまいが、哲学というものが何を問題にしているか、そのばからしさがわかるというものですよ…
    旦那。

  • 哲学とはどういう学問なのかがわかる、すごくわかりやすい入門書でした。哲学に漠然とした興味があったが、もっと勉強してみたくなりました。メモを取りながら熟読というのではなく、サラサラと呼んでしまったので、細かな内容までは覚えていませんが、哲学を学ぶ取り掛かりとして十分良い本だった思います。

  • ちょっと難しかった。
    哲学とは自分自身との会話であると感じた。

  • 小さい頃考えたことのある謎や、言われてみれば確かに変かもという謎など、誰でも身近に感じられるようなトピックが多く、楽しく読めた。結局謎は解決せず、答えは見つからないのだけど、議論が議論を呼ぶ過程が非常に面白かった。ところどころ難しい論理展開があったので、自分でじっくり考えながらまた読みたい。

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著者プロフィール

1954年(昭和29年)東京都に生まれる。85年東京大学大学院博士課程修了。東京大学大学院教授を経て、現在、立正大学文学部教授。専攻は哲学。著書に、『論理学』(東京大学出版会)、『心と他者』(勁草書房/中公文庫)、『哲学の謎』『無限論の教室』(講談社現代新書)、『新版論理トレーニング』『論理トレーニング101題』『他者の声 実在の声』(産業図書)、『哲学・航海日誌』(春秋社/中公文庫、全二巻)、『はじめて考えるときのように』(PHP文庫)、『ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む』(哲学書房/ちくま学芸文庫)、『同一性・変化・時間』(哲学書房)、『ここにないもの――新哲学対話』(大和書房/中公文庫)、『入門!論理学』(中公新書)、『子どもの難問――哲学者の先生、教えてください!』(中央公論新社、編著)、『大森荘蔵――哲学の見本』(講談社学術文庫)、『語りえぬものを語る』『哲学な日々』『心という難問――空間・身体・意味』(講談社)などがある。訳書にウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』(岩波文庫)、A・アンブローズ『ウィトゲンシュタインの講義』(講談社学術文庫)など。

「2018年 『増補版 大人のための国語ゼミ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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