モンゴル帝国の興亡〈下〉 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061493070

作品紹介・あらすじ

陸と海を結んだ巨大帝国の軍事・行政・経済システムと、その終焉…。巨龍、墜つ。

ナヤンの挙兵・クビライ最後の出陣――三大王国は、孫の世代に移っていた。頼むべき分身の息子たちは、すでにいなかった。クビライの生涯で、最大の危機であった。……73歳の老帝クビライは、みずから迎撃を決意した。悲痛な出撃となった。しかし、クビライは果断であった。迎撃態勢の大綱を指令すると、みずから手まわりの兵団をかき集め、みずから先頭に立って突出した。ときに、陰暦5月13日。象の背に結わえ付けた輿に乗っての出撃であった。……ここで両軍、一気に決戦となった。錐の先のように激しく揉み込むクビライ突撃隊の気迫に、実戦の意欲を欠くナヤン軍は崩れ立った。しかしそれでも、少数突撃したクビライ自身のまわりに危機は迫った。クビライ突撃隊の気迫に、実戦の意欲を欠くナヤン軍は崩れ立った。しかしそれでも、少数突撃したクビライ自身のまわりに危機は迫った。クビライを乗せた戦象は、激しく集中する矢のために、後方へ逃走した。混乱する戦況を決定したのは、かねてクビライが、自分自身の「常備軍」として賛成に努めていた。キプチャク、アス、カンクリなどの諸族から成る特殊親衛軍団の威力であった。……御曹子として、実戦の経験のほとんどない青年ナヤンと、数々の修羅場を踏んできた老人クラビライの違いが、すべてを分けた。敵本営の奇襲を狙った緊急出撃といい、戦場での突出攻撃といい、クビライの采配ぶりは、まことに見事であった。彼は最大の危機を、みずからの力で切り抜けたのである。――本書より

感想・レビュー・書評

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  • 1206年にモンゴル高原を平定したチンギスからはじまり、その後約450年にわたってユーラシア大陸を制覇したモンゴル帝国の歴史はとても面白い。私は知らなかったが、モンゴルによって歴史上はじめてヨーロッパと中国が経済的につながり、経済・文化・人材が盛んに交流した。ヒト・モノ・カネが陸路だけでなくはじめて海路を通して流通した。交流することにより経済は豊かになり国は富んだ。モンゴルは国作りの構想として、ひらかれた国作りを実施した。能力・実績主義による人材登用で、人種や文明の違いに関係なく仕事を任せ、帝国の維持と反映に努めた。
    今までモンゴル帝国は野蛮で残酷だ、と勝手に思っていたがぜんぜん違った。大きな誤解をしていた。
    ひとつの国のはじまりから盛衰、そして終わり、歴史を追うことは、個人や組織や国のこれからを考える上でとても面白い。

  • ふむ

  • チンギスとクビライくらいは聞いたことある。ヨーロッパまで攻め込んで、嵐のようにやって来て嵐のように去って行った、みたいな話は読んだような。
    いやはや、その間、その後にめちゃくちゃ権力闘争とか人間ドラマとかあるやん。こんなんもっと高校の世界史の教科書にでも載せてくれたらええのに。
    この本以外にほぼ知識ないけど、著者のスタンスがアンチ漢民族にちょっと寄ってない?とは思いつつ。まぁ完全中立なんてあり得ないしそう言うものと思えばええねんけど。

  • 「著者は、京都大学でモンゴル研究に取り組み、従来の定説を次々とくつがえす刺激的な議論を展開する気鋭の学者です。世界史の教科書に必ず載っている事項について、オゴタイ・ハンは存在しなかった、マルコ・ポーロは実在したか疑わしい、等新説を発表している。ー思い込みと伝説に彩られたモンゴル帝国の歴史を、新しい視点でズバズバと斬っていく杉山説は、読んでいるだけで楽しく、次から次へと新しい発見があります。みなさんもぜひそんな快感を味わってみてください。杉山さんの他の本もおすすめの力作。」(『世界史読書案内』津野田興一著 の紹介より)

  • [評価]
    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    下巻は前巻の終わりに誕生したクビライ政権と中央アジアの諸ハン国が解説されている。
    この時期のモンゴルについてはあまり知らなかったのだけれども、この時代は政権発足当時の内乱が鎮圧されると大きく発展した時代だったようだ。また、中華文明の官僚組織を取り込み安定してきた時代でも在るようだ。
    しかし、広大な地域を支配した帝国の定めなのか、各地域ごとに有力な勢力毎に分割され、各地域に溶け込んでいったと印象だ。それでも東西の交通を活性化させ、様々な点で影響を与えていたことは間違いないと思う。

  • 2017/12/04 15:00:11

  • 出口治明著『ビジネスに効く最強の「読書」』で紹介
    あまり知られてこなかったモンゴル帝国の興亡史を、生き生きと紹介。

  • 集中して何冊も同じ作者のモンゴルものを読むと、重複もあるが、それ以外で気になったところ。/グユクの子ホクの逃避行に、耶律楚材の孫にあたる耶律希亮が同行していたことが語られる。/南宋作戦で調達を受け持った、ネストリウス派キリスト教徒のマール・ヤフナについてもっと調べてみたい。/バラク失墜後、いったん大元ウルス軍による直接支配が実現しかかっていた中央アジアでは、シリギの乱ののち、その目は永遠に消え失せた。

  • チンギスやクビライの華々しい活躍は色々知る機会もありますが
    クビライ後の元や他のチンギスの血統に連なる諸ウルスが
    どうなったのか分かりやすく説明されていて
    大変面白く読めました。

  • 「興亡」の「亡」だが、内紛が続いた割には「ずいぶん持った」というのが率直な印象。文章のあちこちに通説や通俗イメージに対する「そうではなかろう」というのがあって面白い。色々書きたいことがあるんだろうな。

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著者プロフィール

京都大学大学院文学研究科教授
1952年 静岡県生まれ。
1979年 京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学、
    京都大学人文科学研究所助手。
1992年 京都女子大学専任講師を経て同助教授。
1996年 京都大学文学部助教授・同教授を経て現職。
主な著訳書
『大モンゴルの世界――陸と海の巨大帝国』(角川書店、1992年)
『クビライの挑戦――モンゴル海上帝国への道』(朝日新聞社、1995年)
『モンゴル帝国の興亡』上・下(講談社、1996年)
『遊牧民から見た世界史――民族も国境もこえて』(日本経済新聞社、1997年、日経ビジネス人文庫、2003年)など。

「2004年 『モンゴル帝国と大元ウルス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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