失われた化石記録: 光合成の謎を解く (講談社現代新書 1344 シリーズ生命の歴史 2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061493445

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  • (2015.09.20読了)(2001.10.05購入)
    シリーズ「生命の歴史」②
    副題「光合成の謎を解く」
    この本は、シリーズ「生命の歴史」の第2巻にあたります。
    このシリーズにはほかに下記二冊があります。
    「カンブリア紀の怪物たち」S.C.モリス著・木下智子訳、講談社現代新書、1997.03.20
    「手足を持った魚たち」ジェニファ・クラック著・池田比佐子訳、講談社現代新書、2000.01.20
    三冊のなかでは、第2巻がいちばん古い時代を扱っているので、最初に読むことにしました。「NHKスペシャル 生命大躍進」生命大躍進制作班著、で全体は把握できたので、今度は少し詳しい話をと思って、積読のなかから引っ張り出しました。
    骨があったり、硬い殻で体が覆われていれば、化石が残りやすいし、形からも、生命体の残骸であることがわかりやすいのですが、時代も古く、殻も骨もなければ、化石を見つけることは至難の業です。
    本書の構成は、「序」を引用すれば以下の通りです。
    「第一章は化石記録が見つからない(失われた化石記録)ことについての〝ダーウィンのジレンマ〟とよばれる問題から説き起こされる。二章、三章では最古の化石記録をめぐる興味深いエピソードが語られる。四章では生命がいかに始まったのかを説明し、五章以降、細胞ができて、光合成が始まる経緯に説きおよぶ。そして最後に〝ダーウィンのジレンマ〟の解決に至る構成は、きわめて卓抜なものだ、」(6頁)
    第二章と第三章の、先カンブリア時代の最古の化石が確認される話がいちばん興味深く読めました。

    【目次】
    序 地球システムと光合成  松井孝典
    第一章 ダーウィンのジレンマ
    プロローグ 寓話=もし歴史が1963年に始まっていたら?
    1 イントロダクション
    2 地質学的時間というもの
    3 「教科書風に」見た生命の歴史
    4 ダーウィンのジレンマ
    5 落着
    第二章 新しい科学分野の誕生
    1 堰が切れて
    2 有名な人物がこの分野に乗り出してくる
    3 ひとりの若者が乱闘に参入する
    4 水門は完全に開く
    第三章 最古の化石とその意味すること
    1 初期の生命の探究における「本当の国際問題」
    2 生命の最古の記憶に関する問と答
    3 要約
    第四章 生命はどのようにして始まったのか?
    第五章 最初の細胞の代謝の記憶
    第六章 こんなに早くから、こんなに速く、こんなにまで?
    第七章 シアノバクテリア=地上最古の「生きている化石」
    第八章 私たちと同じような細胞がついに現れる
    第九章 ダーウィンのジレンマの解決
    謝辞
    訳者あとがき

    ●科学の役割(40頁)
    科学の本来の、そして実のところ唯一の役割は、神の驚くべき仕事を発見し、例証し、そうすることによって神の栄光をたたえることだ
    ●バージェス頁岩(52頁)
    1909年には、標高8000フィートにあるバージェス山道で、ウォルコットはそれまで記載されたことのないカンブリア紀の地層から、驚くほど保存のよいさまざまな海生動植物を発見したのである。
    ●生命の誕生(221頁)
    生命は35億年前より古く、地球が誕生してから最初の10億年が経過する間に生じたのだが、精確にいつだった彼のかは、まだ分かっていない。

    ☆関連図書(既読)
    「種の起原」チャールズ・ダーウィン著・堀伸夫・堀大才訳、朝倉書店、2009.05.10
    「ダーウィン『種の起源』」長谷川眞理子著、NHK出版、2015.08.01
    「さよならダーウィニズム」池田清彦著、講談社選書メチエ、1997.12.10
    「NHKスペシャル 生命大躍進」生命大躍進制作班著、NHK出版、2015.07.10
    (2015年9月22日・記)
    (amazonより)
    35億年前、地球に何が起こっていたか!?
    細胞はどのようにして始まったのか?──生命の始まりに関する大きな謎の1つに、細胞とその代謝がどのようにして始まったのかということがある。最初の細胞は、今日生きている生物の中でいちばん小さくいちばん単純な、マイコプラズマのようなものではなかったのかと想像したくなる。マイコプラズマは本当に小さい。わずか数百のタンパク質をつくる指令に必要なだけのDNAしかもっていない。すべてが寄生性であり、他の細胞内で成長し繁殖する。これは最初の生命形態としては、ありえない生活の仕方である。これに代わりうるモデルは、ふつうの細菌である。しかし細菌というのは驚くほど複雑なもので、数百種類のポリマー、1000種類以上の酵素、数千万個の分子から構成されている。最初の細胞は、もっとずっと簡単なものだったはずである。いちばん初めの細胞がどのようなものであったのかを知るには、今日の生命と最初の生命との間を仕切っている進化のヴェールをはがす必要がある。──本書より

  • ダーウィンは、「昔から今に至るまで、動植物の数は増え続けているし、それを化石で見つけている。しかし、中生代より昔の化石が見つからない。」と主著「種の起原」で述べている。
    それもそのはず、それより昔(原生代、始生代、まとめて先カンブリア時代とも)は、今で言うバクテリアのような動物が多かったこともあり、まず残らない。ましてや化石そのものが残ることが奇跡に近いのだ。さらに、先カンブリア時代の動物は骨格を持たないので、「残ったとしても」、堆積する岩石に潰されてしまう。また取り出せても、不純物をせんべつしなくてはならなくなる。
    そして最大の問題は、「生命はどのようにして生まれたか?」である。生命は炭素、窒素、水素、酸素で大半が出来上がっている。そこで実験を行うことにしたわけだが、それは水蒸気とアンモニア、メタン、水素の混合気体に火花を散らせ、それを冷却し、また加熱させ・・・という実験を続けたところ、アミノ酸ができたそうだ。しかし生命になるにはもっと複雑なプロセスを踏まなければならない。最初の細胞は、泡のようなものであったと云われる。

    この本はある程度科学に詳しくないと読みにくいかもしれないが、喩え話も多く含まれるのでわかりやすいと思われる。

  • [ 内容 ]
    35億年前、地球に何が起こっていたか!?

    [ 目次 ]
    地球システムと光合成
    寓話=もし歴史が1963年に始まっていたら?
    地質学的時間というもの
    「教科書風に」見た生命の歴史
    ダーウィンのジレンマ
    落着
    堰が切れて
    有名な人物がこの分野に乗り出してくる
    ひとりの若者が乱闘に参入する
    水門は完全に開く〔ほか〕

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