謎とき日本近現代史 (講談社現代新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061494145

作品紹介・あらすじ

正しい歴史観をみがくための九つの「なぜ?」。

感想・レビュー・書評

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  •  幕末期に「日本はなぜ植民地にならなかったか」から始まり、戦後の「高度経済成長はなぜ持続したか」まで、9つの「なぜ」の理由となる背景やいくつかの要因を説明していく本。著者は予備校の先生ということもあって、高校日本史の知識があやふやなおれでも無理なく手軽に読める内容だった。
     中経出版の『東大のディープな~』シリーズがあって、大学受験の論述問題を解説したものがあるが、それと似た感じで面白く読めた。
     あとは印象に残った部分のメモ。まず明治憲法における天皇は、わりと天皇中心で全てが進んでいくというイメージがあるが、「日本の国家レヴェルのあらゆる決定は天皇の名でなされるものの、現実の政治運営の場面では、諸国家機関が実質的な決定権をそれぞれの役割に応じて担っている」(p.63)というのが、あまり分かっていなかった。p.169にも、明治憲法体制下には2つの天皇像があると書かれており、1つは「『万世一系』で『神聖』なることをひたすら絶対視していく傾向の天皇像」であり、もう1つは「自己の意思を政治的決定の場に極力もちださず、天皇のもとに設置されたさまざまな国家機関の決定にしたがうことを原則とし、強い不満や重大な危惧を感じても最終的には沈黙する天皇像」ということらしい。他にも明治憲法に関しては「政党内閣の成立を容認する規定など一言もありません」(p.75)ということだから、そんな中で政党が成立したこと自体がすごいことなんじゃないかとすら思った。そして、せっかく力を持ったのに、当時の経済状況や政党内部の腐敗もあって、国民は「テロ首謀者の主張に共感し、軍部の行動に熱い期待をよせるようになっていきます」(p.95)という、今ではあり得ないと思ってしまう極端な状況も自然と起こった、ということが分かった。
     こういう感じで、当時に生きた人々の感覚、というものを理解することが大事なのではないかと思う。もう1つ、例えば1930年代の「感覚」として、「近代を生みだしたヨーロッパの放つ魅力は、なお強烈でした。そこで新たな実験が続々はじまったのです。しかも、そうした実験はことごとく成功しているかのようにみえていました。一九三〇年代は、一党独裁と計画経済こそが人類の到達すべき理想の姿だ、という感覚が世界をおおった一時期です。」(p.98)というのがあったらしいが、こういう「感覚」を理解することなくして歴史は見れないのではないかと思った。(21/03/12)
     

  • 日本近現代を学ぶ上で気になるポイントを9つ挙げ、「なぜ」そうなるかを読者に提示する。日本史の醍醐味はこの「なぜ」を考えるアタマを養う事にあるというのが著者の考え。確かに日本史という教科は暗記物ばかりだとつまらない。ひたすら覚えるだけでは味気ない。知的刺激を与えてくれる本書こそ歴史ギライに必要な一冊ではないか。詳細→
    http://takeshi3017.chu.jp/file8/naiyou29602.html

  • わかりやすくてためになる。某AI氏のように政治的な偏りや、エビデンスに基づかず、誤りがあったとしても反省しない態度とは真逆で、真摯で謙虚な物言いで、丁寧に説明されている点に好感が持てる。近現代に限らず、もう少し時代をさかのぼってエピソードがつづられるとよかったかなとも思うが、考えてみれば、本書で取り扱った以前の部分は学校でもしっかり勉強させられているし、高校等で扱ったにせよ、極端に偏った視点から多くの教師たちが説いている部分に論点にしぼったことが本書の強みである。発刊より20年以上がたったので、そろそろ続編として21世紀の謎解きが期待される。

  • 以前に買っていたもの

  • イギリス 自由貿易に合理的に推進することに全力をつくす政府がよい 貿易関係に最低限干渉してこないあいて政府であれば、分割統治したり、植民地化する必要度は低下 明治政府 国際法を遵守する決意を明治

    1875 英 スエズ運河の運営権をえる それまで喜望峰まわり 距離2割以上短縮

    1921-22 ワシントン会議
     注意すべき点 日英同盟の破棄が明記、日本が第一次大戦中に奪取していた、山東省の旧ドイツ権益を中国に返還する協定が日中間で結ばれたこと、9カ国条約にもとづいて石井ランシング協定を破棄

    急激に勢力を拡張させてきた日本を押さえ込む正確だった

    第一次大戦前 軍縮や平和にそれほどの正当性を与えていなかった
    第一次大戦 犠牲者多く世界の動向を大きく左右

    日露戦争後の日本 英、ロシアと協調
    第一次大戦後 イギリス疲弊、ロシア ロシア革命でなくなる
    日米協調を機軸とした新しい外交戦略を練ろうとした

    大戦景気後 戦後恐慌 軍拡競争は現実的でない

    日米経済力格差 1920
     商船保有量 5.3倍 鉄鋼生産量 52.8倍

    中国での新しい検疫獲得を禁じた九カ国条約は、一方で既存の権益については国際社会が承認をあたえたに等しい性格をも有していた

    満州事変に対して米国は、事態を承認しないという声明(スティムソンドクトリン)を一応出すが、それ以上の具体的な行動をとろうとしなかった。1929からの世界恐慌によって経済的に完全失速していたアメリカは、同時に世界を指導する気力を失っていた。

  • 福田和也氏にも似た書きぶりであるが、歴史をなめていない明晰な語り口でよくできた解説書。そこらの研究者よりは予備校教師の方が、語り口が滑らかで、力があることを示す好例。しかし、ここまで書いて、妻は歴史学者の加藤陽子だと知って、星はひとつ、落ちていった、、、、。

  • これはよい本だ。「謎とき話法」というのは大事。

  • 近代史の膨大な情報をストーリーに。
    情報は多い方が良いが、整理や把握が困難になる。近代史はこの本のような読み物から入るのが良い気がする。

  • 日本はなぜ植民地にならなかったか/武士はなぜみずからの特権を放棄したか/明治憲法下の内閣はなぜ短命だったか/戦前の政党はなぜ急成長し転落したか/日本はなぜワシントン体制をうけいれたか/井上財政はなぜ「失敗」したか/関東軍はなぜ暴走したか/天皇はなぜ戦犯にならなかったか/高度経済成長はなぜ持続したか


    日本近現代史を学び直したくて手に取った一冊。高校日本史の知識がほとんど抜けてしまったわたしにもわかりやすく平易な解説、思想的偏りのないように注意しながら書かれたことが伺える中立的な語り口。もうちょっと全般的に流れを掴めるようなものが読みたかったのだけど、疑問に従って要因を複数述べていくスタイルは、当たり前ですが様々な要因が絡み合って歴史は動いているのだなあと実感できて勉強になりました。いまのところわたしの関心としては近代的国民国家としての日本の形成過程に目が向いているので、「謎とき」に、「国語としての日本語がつくられるなかで周辺諸国、東アジアからの影響をどこまで取りどれだけ排除していったか、日本語という国語はどこまでイデオロギーの支配を受けているのか」と、「前近代のなにを捨て去ったか、近代化にあたってなにを作ったか、その過渡期にあった『日本人』の精神構造はどのように変化したのか(そしてそれは日本近代文学と密接に関わるとおもうのだけども)」あたりを追加したいかな、とおもいました。自分の謎ときは自分で追求するものですね。歴史学に向き合うスタイルを学べたという点でも有意義な一冊。

  • 4〜5

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