- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061494664
作品紹介・あらすじ
あなたが矛盾しないことをあなたは証明できない-人間の理性に限界があることを証明し、神の存在証明をも行った"アリストテレス以来の天才"。その思想の全体像を、はじめて平易に解き明かす。
感想・レビュー・書評
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久々に心から読んで良かったと思える本でした.改めて著者の高橋昌一郎先生のファンになりました.
人間の思考(あるいは人工知能)はチューリングマシンで既述できるかという疑問に対しても,明確な示唆が得られたと思いました.
私見ですが,人間の思考はチューリングマシンを超えていると思いました.機械に不足している要素は「完全な乱数」でしょう.以前からそのように考えていましたが,この本を読んだことにより,その確信を得ることができました.
AIの研究者にもお勧めの一冊です.詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
○語りうることは明らかに語りうるのであり、語りえないことについては沈黙しなければならない。
○ゲーデルの哲学的見解
世界は合理的である。
人間の理性は、原則的に、(あるテクニックを介して)より高度に進歩する。
すべての(芸術等も含めた)問題に答えを見出すために、形式的な方法がある。
【人間と】と異なり、より高度な理性的存在と、他の世界がある。
人間世界は、人間が過去に生き、未来にも生きるであろう唯一の存在ではない。
現在知られているよりも、比較にならない多くの知識が、ア・プリオリに存在する。
ルネサンス以降の人類の知的発展は、完全に理性的なものである。 -
ひと通り読み終えたは読み終えたが、読んだだけでは理解度は低いと感じた。何かしら自身で「考える」という実践が有用に感じた。
これまでゲーデルについて知っていることといえば、概念を素朴に捉えたもの(不完全性定理とは証明不可能なことである)だけだったので、特に奥深さを持たなかったが、こうした単純な認識が揺さぶられたのでその点はよかった。
不完全性定理に限らず、いわゆる「ヒュームの懐疑論」と呼ばれるものや、メタの問題、無限の扱い(本書でのユークリッド公理5)との関係など、おもしろそうなんだけど、つい先を急いであまり考えずに読み進んでしまう点は反省。
論理学の本てせっかく買ってもつい先を急いであまり考えずに読み進んでしまう。思い悩みながら読んだほうがいいのに、読み終わってから「深く考えながら読めばよかった」と思い悩む悪い習慣。
https://twitter.com/prigt23/status/1044200671728168960 -
不完全性定理について”文系”的に一番よく書かれている本だと思う。不完全性定理というのはとかく文系の人には拡大解釈されがちだが、適用範囲がきちんと限定された数学的な定理であって、決して”「うそつきのパラドックス」を数学的に言い換えたもの”ではない。この本をちょっとていねいに読めばそのことがわかるだろう。(読みたいことを読みたいように読み飛ばせばどんな本を読んでも同じことだが)
ゲーデルのかんたんな伝記や晩年の思想についてもふれられたとてもコストパフォーマンスのよい入門書。 -
読み終えた。
しかし、ただ読み終えただけであり、数学が出てくるところで私の理解をこえるところになった。
誰が読んでもわかりやすいようにという趣旨で、新書という形で発行されたようだが、何というか自分の知性を恥じる読書体験になってしまいました。
現代思想は本当に面白(そう)い、と思うのだが必ずそこには数学や科学の存在がある。文系の頭が拒絶するのか、単に私がアホなのか、それはわかりませんが、大いなる壁である。 -
読み応えのあるゲーデル本。やはり縦書きの本であり、不完全性定理の証明のテクニカルな側面よりも、歴史的な背景と哲学的な意義について詳しく解説している。1930年のケーニヒスベルク会議と、1951年のギブス講演について詳細に書かれているのがとても嬉しい。ケーニヒスベルク会議は、ヒルベルトの記念講演「自然認識と論理」に加えて、数学基礎論における3学派(論理主義、形式主義、直観主義)の討論会が行われたり(フォン・ノイマンも講演している)と、華々しく開催されたのであるが、皮肉なことに、ゲーデルが初めて不完全性定理のアイデアを公表したのも、このケーニヒスベルク会議だったのである。結果的に数学界では受け入れられなかったブローウェルの「直観主義」が、ゲーデルにインスピレーションを与えたというのも、歴史的な皮肉としか言いようがない。
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ゲーデル不完全性定理について色々読んだなかで一番腑に落ちた本。
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ゲーデル概論。完全性定理、不完全性定理と神の存在論的証明の概説からノイマン、アインシュタイン、ウィトゲンシュタイン、チューリングらとの人生の総括まで。
初心者向けであり、読んでいる間はなんとなく理解した気になれるのだが、振り返ってみると自分で説明が可能だとは言い難い。
これは勿論、新書として入門に最適な分量に収めている本書のせいではなく、自分の知識不足。
理解したいという意欲は十分に得られるので、これを機に一から学びたい。 -
【目次】
はじめに [003-012]
本書の主題と構成
目次 [013-015]
I 不完全性定理のイメージ 017
1 真理と証明 018
アナロジーとパズル
外科医のパズル――問題
将軍のパズル――問題
外科医のパズル――解答
将軍のパズル――解答
チンパンジーのアナロジー
ナイトとネイブのパズル――問題
ナイトとネイブのパズル――解答
ナイトとネイブの発言のパズル――問題
ナイトとネイブの発言のパズル――解答
真理の対応理論
命題論理
モダン・トレンスのパズル――問題
モダン・トレンスのパズル――解答
妥当性と錯誤
法廷のアナロジー
2 不完全性定理と万能システム 037
悪の天才のアナロジー
憲法第九条のパズル――問題
憲法第九条のパズル――解答
証明と公理系
LOVEパズル――問題
LOVEパズル――解答
ペアノの自然数論
述語論理
ナイト・クラブとネイブ・クラブのパズル――問題
ナイト・クラブとネイブ・クラブのパズル――解答
ゲーデルの証明
ゲーデルの証明の意味
万能システムのアナロジー
3 自己言及と自意識 066
ワニのパズル――問題
ワニのパズル――解答
自己言及のパラドックス
信念と自意識
双子のパズル――問題
双子のパズル――解答
ぬきうちテストのアナロジー
様相論理
ぬきうちテストのパラドックスと不完全性定理
神の存在のパズル――問題
神の存在のパズル――解答
II 完全性定理と不完全性定理 089
1 ウィーン時代のゲーデル 090
父ルドルフ・ゲーデル
母マリアンヌ・ゲーデル
兄ルディ・ゲーデル
少年時代
ウィーン大学
2 ウィーン楽団とヒルベルト・プログラム 104
集合論
論理主義
ウィトゲンシュタイン
ウィーン楽団
形式主義
完全性定理
アデル・ゲーデル
3 不完全性定理の反響 121
カルナップの日記
直観主義
ケーニヒスベルク会議
不完全性定理の誤解
精神的危機
III 不完全性定理の哲学的帰結 135
1 プリンストン時代のゲーデル 136
選択公理と一般連続体仮説の無矛盾性証明
ウィーン脱出
プリンストン高等研究所
一般相対性理論の回転宇宙論解
アメリカ合衆国永住
2 ギブス講演 155
アインシュタイン賞
ギブス講演
数学基礎論における若干の基本的定理とその哲学的帰結
人間は機械か
数学的真理と客観的実在
3 数学的実在論 169
反機械論と客観的実在
IV ゲーデルの神の存在論 177
1 晩年のゲーデル 178
親友の死
神学的手紙
一般連続体仮説に関する信念
ゲーデルの死
2 ゲーデルの遺稿 195
ドウソン目録
ゲーデルの哲学的見解
3 神の存在論的証明 203
アンセルムスの存在論的証明
ア・ポステリオリな論証
デカルトの存在論的証明
ゲーデルの存在論的証明(一九四一年頃)
ゲーデルの存在論的証明(一九七〇年)
ゲーデルの存在論的証明の意味
V 不完全性定理と理性の限界 221
1 不完全性・非決定性・停止定理 222
テューリング・マシン
不完全性定理以降の進展
2 人間機械論争 232
3 真理のランダム性と神の非存在論 235
アルゴリズム的情報理論
神の非存在論
おわりに(高橋昌一郎 一九九九年四月二十八日――ゲーデルの生誕九十三周年を祝して) [243-246]
参考文献 [247-254] -
S410.96-ゲン-1466
000374140
ものの本によると、「食通」の行きつく所は、「ホヤ」だそうである。ならば、「知」の行きつく所はゲーデルの「不完全性定理」であろうか。
「すべての真理を知る無矛盾な存在を神と呼ぶならば神は存在しない」(哲学者グリムは不完全性定理による神の非存在論を証明した)
「不完全性定理を証明したために彼は病気になったのか、あのような業績のためには彼の病気が必要だったのか」(数学者フルトヴェングラーの言葉)
著者プロフィール
高橋昌一郎の作品






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