電脳遊戯の少年少女たち (講談社現代新書 1472)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061494725

作品紹介・あらすじ

テレビゲーム、伝言ダイヤル、プリクラになぜ若者たちは熱中するのか。電子メディア社会の中で「遊び」はどう変容したのか。斬新な視点で論じつくす。

感想・レビュー・書評

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  • テレビゲームやプリクラ、あるいはアイドル・マニアの生態を手がかりに、現代の「遊び」のあり方を論じた本です。

    シーソーで遊ぶとき、交互に上げ下げするという「遊び」の目的のなかに、遊び手が取り込まれることになります。ここでは遊び手は、シーソーの両端に置かれたおもりとなっており、遊びを構成するひとつの項の位置を占めています。「遊び」や「ゲーム」のルールは、単にその遊びの「文法」を規定するのみならず、その遊びに固有の目的へと人びとを動員し、命じる機能をもっていると著者は考えます。ルールが指定する行動をとり、それによって「ゲーム」と呼ばれる構築物を保持することが、遊びの「モラル」だと著者はいい、こうした「遊び」のなかでは「これは遊びである」というメタ・コミュニケーションが成立しているということに著者は着目しています。

    また著者は、テレビゲームが少年たちにあたえる影響を危険視する論者たちが、テレビゲームを現実のシミュレーションであるとする誤った認識に陥っていると指摘します。ゲームの主人公は、そのゲームの世界観を一定の遠近法のもとで見通すために指定された特定の視点であるにすぎません。プレイヤーは、ゲームの世界で展開される、育児や戦闘、探索や謎解きといった個々の場面を構成する項として振舞うことが期待されています。現代の特異な事件を引き起こしているのは、現実と虚構を混同させるテレビゲームの悪影響ではなく、「これは遊びである」というメタ・コミュニケーションが正常に機能しない現代の社会の病理だと考えなければならないと著者は主張します。

    本書でとりあげられる話題はかなり古いものですが、「遊び」の本質についての考察をもとにていねいにこれらの事象を分析しています。

  • 1999年刊行。社会学の範疇かな?「遊び」を取っ掛かりとして、現代の青少年の実態を切り取ろうとする。が、エビデンスが…。著者は埼玉大学教養学部教授。

  • 『電脳遊戯の少年少女たち』
    著者:西村清和(にしむら きよかず、1948-)美学.
    http://www.l.u-tokyo.ac.jp/schema/annual_report9/nenpo9.3.07bigei.html


    【内容紹介】
    現代社会を斬新に読み解く!
    虚構と現実のはざまで若者たちは何を見るのか

     テレビゲーム、伝言ダイヤル、プリクラになぜ若者たちは熱中するのか。電子メディア社会の中で「遊び」はどう変容したのか。斬新な視点で論じつくす。


    《極私の疑似共同体――インターネット上では、ニックネームにあたる「ハンドル名」でおたがいに呼びかけあいつつ、微細に分化し、自殺の方法や毒の入手まで相談しあう極私の疑似共同体が、まるでかつての遊び仲間のように自然発生する。……そうだとしても、これをもっぱら病理とし、そこからの治癒を、かつての共同体における原っぱでの仲間たちとの遊びにもとめても、それはおそらくのぞみのない処方だろう。むしろわれわれとしては、伝統的な共同体における遊びと現代の電子メディア社会における遊びとのあいだには、遊びであるかぎりでどのようなつながりがあるのか、しかしまたどのような変容と断絶があるのかを探りあてるべきである。》――本書より
    http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784061494725


    【目次】
    第1章 “遊び感覚”とは何か
    鳥と少年
    「遊び」の簒奪
    当世「お買い物ごっこ」考
    笑いのエチカ

    第2章 「物語遊戯」の冒険
    ホラーの快楽――ケースM
    ポリゴンの迷宮――テレビゲームの快楽

    第3章 「メディアごっこ」の憂鬱
    誘惑のミミクリー
    「おたく」の反乱
    ポストモダンの“わたし”探し
    同調のメディア

  • 受験生のころ、問題文としてお会いしたことがある文章。

    「遊び」というものを捉えなおすのには、ちょうどいい読みやすい本だと思います。

    しかし、少し前の本なので、最近の本と合わせて読まれることをお勧めします。

  • [ 内容 ]
    テレビゲーム、伝言ダイヤル、プリクラになぜ若者たちは熱中するのか。
    電子メディア社会の中で「遊び」はどう変容したのか。
    斬新な視点で論じつくす。

    [ 目次 ]
    第1章 “遊び感覚”とは何か(鳥と少年;「遊び」の簒奪;当世「お買い物ごっこ」考;笑いのエチカ)
    第2章 「物語遊戯」の冒険(ホラーの快楽―ケースM;ポリゴンの迷宮―テレビゲームの快楽)
    第3章 「メディアごっこ」の憂鬱(誘惑のミミクリー;「おたく」の反乱;ポストモダンの“わたし”探し;同調のメディア)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 図書館利用。
    高校新書レポート用。

  • 〈わたし探し〉の質の変化を分析して、面白い。(石原千秋氏推薦。『教養としての大学受験国語』233頁)

  • テレビゲーム、伝言ダイヤル、プリクラに
    なぜ若者たちは熱中するのか。
    電子メディア社会の中で「遊び」はどう変容したのか。
    斬新な視点で論じつくす。

    講談社現代新書(1999/10/20第一刷発行)


    ○〈遊び感覚〉とは何か
    鳥と少年・・・中空の遊泳
    「遊び」の簒奪・・・遊びと非行のはざま
    当世「お買い物ごっこ」考・・・ポストモダンの病理
    笑いのエチカ・・・笑いのダブル・バインド

    ○「物語遊戯」の冒険
    ホラーの快楽・・・歌舞伎のもつ「遊戯性」
    ポリゴンの迷宮 テレビゲームの快楽・・・現実と虚構の境界侵犯

    ○「メディアごっこ」の憂鬱
    誘惑のミミクリー・・・アイドル・マニアの擬態
    「おたく」の反乱・・・「大衆化するマニア」のアイデンティティー
    ポストモダンの〈わたし〉探し・・・顔の拡散
    同調のメディア・・・「主体性ゼロ度」の擬態

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著者プロフィール

西村 清和(にしむら きよかず) 1948年生まれ。東京大学文学部美学芸術学科卒業、同大学院修了。東京大学名誉教授。著書『遊びの現象学』(勁草書房、サントリー学芸賞)、『フィクションの美学』(勁草書房)、『笑う人間/笑いの現在』(共著、ポーラ文化研究所)、『現代アートの哲学』(産業図書)、『視線の物語・写真の哲学』(講談社)、『電脳遊戯の少年少女たち』(講談社)、『イメージの修辞学』(三元社)、『プラスチックの木でなにが悪いのか』(勁草書房)、『日常性の環境美学』(編著、勁草書房)、『感情の哲学』(勁草書房)ほか。訳書 ゾルガー『美学講義』(玉川大学出版部)、『シェリング著作集3 同一哲学と芸術哲学』(共編訳、燈影舎)、『分析美学基本論文集』(編・監訳、勁草書房)。

「2021年 『幽玄とさびの美学 日本的美意識論再考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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