「家族」と「幸福」の戦後史 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061494824

感想・レビュー・書評

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  • 一部疑問に感じる部分(宗教なんちゃら)が
    あることはあるのですが、海外の家族の歴史、
    というのを知ることができる点では貴重な本です。

    確かに疑問に思う点はありますが、
    学校教育に関しては批判されている問題は
    いまだに解決されていないんですよね。
    (まあこれはちょくちょくSNSでも出てくるけどさ)

    結局モノがあふれること=豊かではないんだよね。
    それはいろいろとみていけばわかるはず。
    それと恵まれているはずなのに再犯を犯す
    ある人を見ていればね。

  • 1999年12月発行。
    まだというか十分にバブルの富が残っていた時代の考察である事が後年ではわかる。
    郊外生活からの脱出という”目的”ゆえにフリーターで自分探しをすることに肯定的であったりするが、その後の急激に奈落の底へ落ちる経済悪化、失われた30年を考えると「自壊」という言葉が思い浮かんできた。

  • 郊外になんの恨みがあるんだ…と思うような後半の無根拠な郊外disを除けばまぁまぁ面白かった。郊外の誕生、アメリカと日本の郊外の関係、などなど。

  • 戦後のアメリカで始まり、やがて日本にも波及した、郊外に家を構え、消費生活を楽しむという家族のスタイルの成立を、多くのデータを通して明らかにするとともに、そうしたライフ・スタイルにひそむ問題点について論じた本です。

    郊外に暮らす家族の消費が、社会の安定と正当性を示すという「アメリカン・ウェイ・オヴ・ライフ」は、しかしながら多くの専業主婦たちに空しさを感じさせることになったと著者は言います。こうした問題を逸早く指摘したのが、ベティ・フリーダンの『女らしさの神話』でした。その後、若者たちは郊外の価値観を打ち砕くエルヴィス・プレスリーを熱狂的に受け入れるようになっていったと、著者は論じています。

    アメリカに20年から30年遅れて、日本でも消費革命が始まり、人びとは郊外の生活の豊かさを享受するようになりました。しかし、やはりそこでも人びとは満たされない思いを抱えていると著者は指摘します。郊外には共同性や歴史を育むはずの「世間」が存在せず、そこでの価値観から零れ落ちていく少年たちを受け止める緩衝装置が存在していないのです。こうした問題が、郊外を舞台に頻発する少年犯罪の遠因になっているのではないかと、著者は語っています。

    前半のデータを駆使した実証的な論証と、後半の著者自身の印象に基づく記述との間に、少しギャップを感じました。

  • 郊外という問題が犯罪を生んでいる、という論など、ほんまかー??と思いつつも全体的には納得させられた。今まで郊外について勉強してきたと思っていたのに、まだまだだったと唸らされた。郊外論の入門書、と筆者は言っているけど、それにしては初めの方の章は出来事の羅列なので少し重たいかなあ。しかし面白かった。社会学面白い。

  • マイホーム、アメリカ、郊外住宅、理想、現実超える、副題がテーマを示しているようだ。
    夢の部分はアメリカの事情説明。アメリカから持ち込まれたもの、アメリカでは企業が作ったもの、万博という形を借りて、国、世界の幻想となったものである。後半、日本の郊外地域では、郊外に住むことの問題点が発生する。精神的なもの、それが大きな社会問題となり、事件が発生する。
    本書の書かれた時代では、それが当てはまったのかも知れないが、今ではそうとも言いがたい。事件は郊外に限ったことではない。個人による、根深い部分があるのかもしれない。まあ、環境が人生を作るとも言うが、あてはまるところも、原因もあるのかもしれない。
    個人の幸せは、個人単位となった。家族と分かつものではない。

  • [ 内容 ]
    家庭内でそれぞれ孤立する夫・妻・子供たち。
    アメリカ的豊かさの象徴であるはずの「郊外」生活が、戦後日本にもたらしたものは何か。

    [ 目次 ]
    第1章 マイホームという神話
    第2章 ニューヨーク万博と郊外・家族
    第3章 レヴィットタウンとアメリカの夢
    第4章 冷たい戦争と暖かい家族
    第5章 郊外への反乱
    第6章 55年体制の中の郊外
    第7章 郊外という問題
    第8章 郊外を超えて

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 最後の2章くらいはオリジナルの主張で面白かったけど、前半はほとんど文献のつなぎ合わせみたいな感じ。戦後史と銘打つくらいで歴史を振りかえるからそんなもんなのかな。ニュータウンに対峙する街として高円寺が紹介されてました。今後に注目。

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  • 大好きな先生にすすめられて読んだ本。
    視点がまことにとっては新しくてすごく面白かった。
    何回か読み返したい一冊。

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著者プロフィール

三浦展(みうら・あつし)
1958年生まれ。社会デザイン研究者。カルチャースタディーズ研究所代表。家族、若者、消費、都市、郊外などを研究。著書に『 「家族」と「幸福」の戦後史――郊外の夢と現実』 (講談社現代新書) 、 『ファスト風土化する日本――郊外化とその病理』 (洋泉社新書) 、 『東京は郊外から消えていく!』 『首都圏大予測』 (光文社新書) 、 『愛される街』 (而立書房)などがある。

「2022年 『中央線がなかったら 見えてくる東京の古層』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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