中国料理の迷宮 (講談社現代新書 1502)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061495029

作品紹介・あらすじ

王朝の交代は、料理をどう変えたか。社会主義が食文化に与えた影響は?北京・広東などの名菜を紹介しながら中国の歴史を辿る斬新な試み。

感想・レビュー・書評

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  • 中国の文化歴史と、中国料理の変遷。中国は統治者が次々と変わり、その王朝の故郷に伴って宮廷料理も変わっていった結果。羊料理、小麦粉、豆汁、香辛料、鴨。1300年くらいからの中国料理の変遷が綴られていらけれど、作者が北京に詳しいからか、1970年代から2000年くらいの間の北京っ子の日常の食卓・料理屋の風景、雑多で郷土色の強い味、文化革命の動乱や人民食堂の思い出などが実感を伴って伝わってくる。知っているようで全然知らない料理ばかり。
    ラーメン、餃子もそうだけれど、まだ見ぬ知らない本場の料理を味わってみたくなった。中国の料理名が羅列されているけど、中国語のためイメージしづらい料理も多く、蛇足でこれがイラスト(か写真)があるとすごく生き生きと蘇ってくるのになーと思った。

  • どのように中国料理が発展し現在の形になったのか、歴史と紐づけられ解説されている。
    数々の資料をもとに当時実在した料理店や、その特色ある料理がグルメ本のように紹介されていて、読んでいて想像を掻き立てられた。
    また、筆者が文革中に中国に滞在して味わった料理の数々(人民食堂での貧しい食事から、共産党幹部向けの宴席で出される豪勢な料理)はなかなか知ることのできないものであり大変興味深かった。

  • 【目次】(「BOOK」データベースより)
    序章 中国料理とは何なのか/第1章 魯迅が見た北京の食風景/第2章 香港料理の現在/第3章 宦官が担った料理の歴史/第4章 清代の「街の味」/第5章 共産党の「革命の味」/第6章 文革の味覚/終章 甦る味、消える味

  • 2017/11/16 19:09:39

  • この著者である勝見洋一氏は、実に不思議な存在の人である。

    私にとって、中国料理は不思議な魅力を持っている。
    日本料理の繊細さではなく、
    何かしら大胆不敵な料理である。
    日本からみたイメージは、
    ラーメンが中国料理の代表にも見えるが、
    しかし、香港や広東では、みられない。
    台湾においても「日式ラーメン」といっている。

    台湾料理の異常は、「甘いこと」である。
    もしくは、「味の素味」である。
    烏龍茶、麦茶などにも砂糖が入っているだけでなく、
    マヨネーズさえ甘い。
    逆にそのような方向に行ったがゆえに、
    「素食」というベジタビリアンへの
    レストランが生まれたのかもしれない。

    中国料理は、飲茶、海鮮料理、そして四川料理にであった。
     
    勝見氏は、いろいろなことをいう。
    「フランス料理にはその出生に
    2つのコンプレックスがある。
    ひとつは料理法そのものをイタリアから
    輸入したことであり、
    二つ目はレストランでのサービススタイルを
    ロシアから学んだからである。

    あの一皿一皿、一人分の料理が運ばれてくるのは
    ロシアの宮廷が最初におこなったことだった。
    それまでのフランスでは、
    大テーブルの真ん中にだされた大皿の料理に、
    めいめいがもったナイフで自分の分を
    獲得する野蛮な食卓しかもっていなかった。」

    香港料理の根幹
    「香港人の経営感覚のすごさを物語るのは、
    香港料理の洗練度と高級度を
    乾物の素材によってもたらす、
    奇異な料理体系を作りあげたことである。

    フカヒレの姿煮や見事に大きなアワビなど、
    高級料理のほとんどが乾物になったのはなぜか。

    高級料理のうまみ成分抽出用に、
    ホタテガイの乾物が重用されるようになったのはなぜか。
    魚介の乾物を慎重にもどすことによって、
    元々あった旨味が倍加されるのはよく知られているが、
    その旨味の中に乾物特有の腐敗臭があることは
    見落とされている。

    その臭みは、火腿(中国ハム)の燻蒸臭と組み合わされて、
    新しい香港高級料理の強力な味覚となった。
    エキセントリックな洗練である」

    勝見氏の分析は、「文革」によって、
    中国の料理は大きくかわったが、
    屋台を中心とした伝統の庶民の味は
    消えることがなかったとしている。

    満漢全席は、清の時代の料理であることをはじめて知った。
    満族が、漢族を征服したのが、清の時代である。

    毛沢東は、湖南省出身で、「トンガラシ」が好きだった。

  • ずいぶん前に読みました。

    衝撃を受けました。世の中にこういう人がいるのか?

    著者はもしかすると日本人で一番美味な中国料理を
    食べた経験の持ち主かもしれません。

    一番美味しい中国料理はどうすれば食べられるか?

    私見では「共産党幹部の私的な宴会に招かれる」。

    「鮑と松茸と朝鮮人参の炒め」「熊の掌煮込み」・・・

    私の人生で一番記憶に残る中国料理です。

  • 内容自体は興味深いのだが、なんとなく乗り切れなかった。

    で、図書館で借りた東京電力文庫(っていうのがあったんですね、かつては)の「もっと海外を楽しみたい」に著者の講演が採録されており、そちらの方が内容の面白さが伝わってきた。ただし、ブクログでは未登録の模様。

  • [ 内容 ]
    王朝の交代は、料理をどう変えたか。
    社会主義が食文化に与えた影響は?
    北京・広東などの名菜を紹介しながら中国の歴史を辿る斬新な試み。

    [ 目次 ]
    序章 中国料理とは何なのか
    第1章 魯迅が見た北京の食風景
    第2章 香港料理の現在
    第3章 宦官が担った料理の歴史
    第4章 清代の「街の味」
    第5章 共産党の「革命の味」
    第6章 文革の味覚
    終章 甦る味、消える味

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    [ 参考となる書評 ]

  • 為政者が変わると文化が変わり、食が変わっていく。伝統料理と呼ばれるものも実は異国の面影だったり、根強く残った下手な味だったり。中国の歴史を勉強するきっかけの一冊になる予感。勝見さんは中国でいったい何をされていた方なのか、興味を持ってしまう。

  • グルメ本みたいなふりをしていますが、とんでもない奥の深さ。

    天安門事件っていったいなんだったでしょうね。

    この本のはしはしにも、力に巻き込まれて死んでいった人達の囁き声があちらこちらから聞こえるような、音楽の様な本です。

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