優生学と人間社会 (講談社現代新書)

  • 講談社
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本棚登録 : 293
レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061495111

作品紹介・あらすじ

優生学はナチズムか。戦後日本の優生政策の内実とは。優生思想の歴史を再検討し、遺伝子技術時代の視座を示す。

感想・レビュー・書評

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  • ◯旧優生保護法一時金支給法が可決された今、基礎から学びたい人におすすめの一冊。優生思想、優生学をその起こり?を世界史的な視点から丁寧に説明されている。その流れの中で、我が国における優生学の位置付けが見えてくる。大変分かりやすい。
    ◯優生学まではいかないものの、日々を生きる中で、例えば職場においては仕事に対する能力が絶対的な価値を持つことになるが、その能力を持たない者に対しては不要な人間であるかのように扱い、排除することは往々にしてありうる。
    ◯この辺りは生活のためであるので仕方ないとは思うものの、全く関係はないのだろうかと考えてしまう。
    ◯昨今のパワハラなどの議論の根底には、こういった人間が無意識に抱く整理する思考や清潔感があるのではないか。
    ◯そうした身近なことから考えに対しても、この本で語られている、未だくすぶり続ける優生的な思想に対する示唆はとても参考になる。

  • 優生学という学問を知っているだろうか?これは障害者や犯罪癖のある人間が増えるのを防ぐ(断種はその一手段)ことによって福祉のコストを浮かそうという学問である。

    この優生学はナチズムに通じるということで忌み嫌われていた。ユダヤ人を強制的にガス室に追いやって生きる「自由」を奪った、けしからん、というロジックである。

    もっとも第二次世界大戦後、優生学は日本をはじめ先進諸国で生き続けたという。そして近年優生学批判の枠組みを突き崩すような事態が出現した。

    それが「レッセ・フェール優生学」である。「レッセ・フェール」とは「気の向くままに」という意味である。

    例えば出生前診断における障害児の排除に見られるように、権力の強制ではなく、あくまで「自由」な意思(とは言ってもうまれる子供の意思ではなく、産む親の意思なのだが)によって強権的な優生政策を実施したのと同じ結果が生まれてしまうというものである。

    別の言い方をすれば、人間は自らの能力を高めようと勉学に励み、あるいは体を鍛える。それは少しも責められることではない。さらには次の世代にもそのようにさせる。そのことと、自らと自らの子孫の遺伝子を改良するのとはどのような違いがあるのか、という問いに立たされているのである。

    新書ではあるが本書が突きつけている問いは果てしなく重い。

  • ・優生学というと、ナチスの民族浄化を即イメージし、劣ったものが殺される、というジェノサイドまでイメージがつながっていく。という人が大多数なんじゃないだろうか。私もまさにそうでした。
      ・日本でも96年まで優生保護法があった!  ・優生学は、医学の発達により自然淘汰が行なわれず、弱いもの(医学がなければ死んでしまうように生まれついたもの)やその子孫が生き残ることで、人間という種の遺伝的性質が劣っていくことを危惧したことから始まる。  ・優生学は福祉国家の設立ということと密接に関わっている、という部分に一番驚いた。  ・命の強弱にどうやって線を引くのか、これは本来淘汰されるべきものだったなんて判断ができるのか。非常に考えさせられる一冊。良書。

  • 教養系新書では、漫画やアニメや特撮ヒーローの正義の味方がまず言わない、多様な意見に接することができる一例ですね。

  • サイエンス

  • 105円購入2012-02-09

  • 新書とは思えない内容の濃さ。良書。

  • その経緯からタブー視されてきた優生学について事実部分をフラットな視点で解説し、各国 (地域) での優生政策の歴史が紹介されている。
    恥ずかしながら、この本を読むまで日本での優生政策の中身も全く把握できていなかった。

    こういったものの歴史は社会の価値観の変化を大きく反映しており、とても興味深い。

  • 優生学について客観的な視点で書かれた唯一と思われる和書。2000年と今となってはやや古いのが読む前は気になっていたが、起源や歴史が中心で、神経質になるほどのことではないようで安心。
    優生保護法という一時期にメディアを騒がせたワードがあったなあ、という程度で読み始めてもいいし、相模原障害者殺傷事件というきっかけでもいいし。
    一度読んでおけば理解が深まるのでオススメ。

  • ゼミの参考文献。

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著者プロフィール

1946年生まれ。京都大学理学部卒業。科学史家

「2017年 『ニュートン主義の罠』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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