俳句をつくろう (講談社現代新書 1528)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061495289

作品紹介・あらすじ

俳句とは反個性にはじまる自己表現である。伝統の「型」を通して日常に新たな感動を見出す、古典詩の本質とは何か。秀句をまじえ語る、清新な入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 俳句とはそもそも何なのか、川柳との違いは?といったところから解説されていて、新たに知るところが多かった。
    自己表現は、自分の感情に一定の形を与えること、すなわち内面世界を普遍化すること。その型の1つが五七五。俳句は古典詩で、個性尊重の今日的な考えとは逆行しており、アンチ個性の上に成り立つもの。
    俳句は俳諧連歌を前進としており、その発句がそのまま俳句の定型になった。なので一句にも背後に短歌の形式と膨大な和歌の歴史があり、十七音が一篇の詩として成り立つ。有名な古典から言葉を借用することを本歌取りと呼ぶ。発句が脇句にもたれなくても自立できることが重要で、これが切れと呼ばれ、切れを生むものに切字がある。川柳は七七の前句に続ける付句から生まれた。前句の題に答えを出す形なので、川柳は俳句と違い、言い尽くす。
    季語は俳諧連歌の発句で普遍的な情緒を成立させるために必要で、それが俳句にも引き継がれた。和歌の歴史は勅撰集の歴史でもあるが、それ以前の万葉集以来部立が四季の項目から始まる。ただし、四季という概念は暦とともに大陸から伝わったもので、気候のずれは存在したが、当時の歌人はその季節感のギャップ自体と楽しんでいたようである。例えば鹿が妻恋いの淋しさという情緒を表すことを季語の本意という。
    俳句は日常の平凡な場面を捉えて、その小さな感動を作品にする。映画で言えばディテールであり、ストーリーは俳句にはない。俳句は短いので思いを語れないため、自分の思いを述べようとせず写生や取合せといった方法をとる。他に応用として体言止めや助詞で止める省略や、デフォルメや隠喩がある。
    最後に吟行と句会の実際や効用についてや、無季の句として戦争や老いを題材にした俳句の紹介。

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著者プロフィール

1949年、東京都武蔵野市に生まれる。俳誌は、「豈」「未定」「俳句評論」「船団」「魚座」を経て、現在「件」と「トイ」に所属。主な著書は、句集に『花盗人』『東京物語』『黄金の街』、評論に『詩的ナショナリズム』『虚子の近代』『秋の暮』『俳句が文学になるとき』(サントリー学芸賞)『俳句をつくろう』『俳句のモダン』(山本健吉文学賞)『加藤郁乎論』『俳句の射程』(加藤郁乎賞、俳人協会評論賞)『虚子の読み方』『露地裏の散歩者─ 俳人攝津幸彦』『永田耕衣の百句』などがある。

「2023年 『デルボーの人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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