- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061495500
作品紹介・あらすじ
前近代の厳然たる身分社会において、敬語は上下を円滑につなぐ交流の手段だった。敬語の起源と役割を問い直す。
感想・レビュー・書評
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確固たる身分制度がありながら上の者と下の者が
コミュニケーションを取ることができる、世界に例のない
日本の社会を作り上げていたのは、その上下の橋渡しをする
ことのできる「敬語」の力であった、と解く日本語論の本。
私が子供の頃は、江戸時代は鎖国で閉じこもり身分制度で
雁字搦めにされた悪い時代で、明治維新によって近代化が
始まり日本は開かれ良い時代が来たという風潮だったように
思うが、最近は、実は明治維新こそが日本というものを破壊
してしまったのではないかという考え方もよく聞くように
なった。この本もまた「上の者は下の者の言うことに耳を
傾け、下の者は気兼ねすることなく上の者に物を言う」と
いう日本の良さが明治維新を機に消えてしまったという。
どちらの観方にも正しい所間違っている所があるだろうが、
敬語というものが日本において欠くことのできない素晴ら
しい「装置」であるという点は間違いがないだろう。正しく
使えるということも確かに大切だが、使おうとするその姿勢
の方がもっと大切である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
[ 内容 ]
前近代の厳然たる身分社会において、敬語は上下を円滑につなぐ交流の手段だった。
敬語の起源と役割を問い直す。
[ 目次 ]
第1章 欧米や前近代の中国では上位者と下位者は断絶していた―お米がないならお肉のお粥を食べれば?(敬語と敬語はどういう関係にあるのか;中国人は死んだら終わりと考える ほか)
第2章 日本では有史以来幕末に至るまで上下の交流があった―お代官様がおやめにならないかぎり、われわれは未来永劫村へはもどりません(日本人の平等意識は不平等意識とイコールである;日本人は先祖とのつながりを重視する ほか)
第3章 敬語は上位者と下位者をつなぐかけがえのない橋だった―羽をください、若王子の神様(日本人が対等に扱えたのは「日本語人」だけであった;「ソト=自然」は恐ろしく尊いものである ほか)
終章 敬語が日本の行く末を決める―すみません、その傘を向こうへやっていただけませんか(なぜ明治から終戦までの時代は下位者が何も言えなくなったか;田中正造の挫折は伝統的な階級秩序の崩壊を象徴した ほか)
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