- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061495982
作品紹介・あらすじ
進化論はいま、人の心や行動、「文化」の謎にまで迫りつつある。科学と人間をつなぐ思想として読み直す。
感想・レビュー・書評
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進化論そのものを解説したものではなく、進化論を軸に動物行動学、行動進化学、進化心理学などを含めた学問の歴史を追ったような内容。これまでの様々な研究者の業績が紹介されているのは刺激にはなった。後半は進化論の考え方を情報など様々な分野に適応することについての論議が展開されている。
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進化論の考え方が、「人間」と「情報」という2つの領域にどのようなインパクトを持ちうるのかを、大胆に論じた本。
著者は第1章で、20世紀の進化論史を整理している。1920年代の後半における集団遺伝学の興隆は、20世紀初頭に再発見されたメンデルの遺伝学がダーウィンの自然選択理論との融合を可能にした。1940年代には、こうした基本的な枠組みが整備される。以後、動物行動学、社会生物学、分子生物学、さらには情報科学との相互交流を通して、現在に至るまで進化論はその守備範囲を拡張してきた。
こうした進化論の理論的整備がなされてゆく中で、進化論の発想を人間の心や社会を理解するために用いようとする研究が少しずつおこなわれ、同時にそうした研究に対する批判の声も上がるようになった。著者は、通俗的な社会進化論や性急な還元主義を批判しつつも、進化論をグランド・セオリーとする生物学と、人間の意識や言語、文化といった領域とを接続する努力はなされるべきだと考えている。
また、進化論と情報科学との連携には、豊かな可能性が存在している。デネットは、ダーウィンの進化論の本質をアルゴリズムだと解釈する立場に立って、生物の進化のみに適用範囲を限定することのないより包括的な「普遍選択理論」の可能性を論じている。ドーキンスが提唱した「ミーム」(meme)は、ダーウィン・アルゴリズムを人間の分化現象に適用する試みだと著者は述べている。
一方で、進化論をグランド・セオリーとする自然主義の立場から人間のあり方を解き明かす際に、そこで考えられている「自然」が恣意的な「物語」になってしまう危険が存在する。こうした問題を回避するための安全装置として、さまざまな分野との連携によって特定分野の価値観が突出することを防ぐ民主主義的なプロセスと、自然に対する畏敬の念の2つを、著者は提示している。 -
題名のとおり、進化論からいろいろな理論の考え方をみていく本。面白かった。
美術館も人の学びも生きているものかと考えて、では進化するのかと考えると、この本は本当に役に立つ。
この間よんだ、水越先生の話ともつながってくるのかなと思ったし、本のいろんなところに佐倉先生の人格が見え隠れしていた、見た目ほど固くない本。ちょーおすすめ。 -
前半の進化論の歴史をたどる部分はとても面白かった。素人が読んでも興味を引かれた。後半の進化論といろいろな学問との関わり、そして進化論をそう用いていくのかというところは、素人的にはいまひとつ面白みを感じなかった。しかし進化論はとても深く大きな学問だと感じた。
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[ 内容 ]
進化論はいま、人の心や行動、「文化」の謎にまで迫りつつある。
科学と人間をつなぐ思想として読み直す。
[ 目次 ]
第1章 進化論の二〇世紀(進化理論の誕生と完成 現代進化理論の四つの転換点 ほか)
第2章 人の心の進化論
第3章 生命を情報としてとらえる(生命と情報の交錯 知のユーロとしての情報 ほか)
第4章 ハンバーグのつなぎと進化論
第5章 科学と物語と進化論(ミミズでつながる科学者たち 科学の物語とその暴走 ほか)
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
毎章引用される村上春樹のほうが印象深かったり。。。
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進化論を概括的に見ていくスタンスで、いろいろな研究者を紹介しています。進化心理学やミームなど、おもしろそうな話題があるかと思いましたが、ざんねんながら、軽くふれるだけ、なんか、以前の論文の紹介でおわってました。
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コレを読んだら
他も色々読んでみたくなりました。
文体自体は余り好きではないですが
内容はとても面白いです。
ミーム論について勉強してみたいと思いました。
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5点
「進化論という考え方」がわかるようになるかと言われたら、なるような気もするし、ならないような気がする。進化学が多少なりともわかっている人が読まないと、少し難しいかもしれません。村上春樹の小説の一説が章の初めに記されているあたりは非常に個性的で面白いと思います。佐倉先生の活動には非常に興味を持っているので、ぜひとも別の著作も読んでみたいと思っています。
著者プロフィール
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