これが現象学だ (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061496354

作品紹介・あらすじ

現代哲学の大きな潮流をなす現象学とはそもそも何なのか。空虚になった学問の危機を克服し、人間の直接経験から出発して世界に至る思想の全貌を解説。

感想・レビュー・書評

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  • 難解と言われる現象学が平易に解説されている。現象学を理解するには格好の入門書となるだろう。
    しかし、学問(”厳密学”)として現象学の解説に終始していて、現象学が”哲学”として、我々の生活の上でどのような転換を与えてくれるかは本書からは掬いとれなかった。
    活きた思想哲学としての現象学については、亜流や曲解との批判はあるが竹田氏の解説する現象学の方がが自分には合っているように感じた。

  •  哲学の本、久々に読んだが、難しかった。なんとなくわかる部分すら難しい。

     現象学とは、学問としての哲学・根源学、アルケー(始原)を発掘するロゴスを目指すものである。現象学の基本姿勢は、直接経験に帰することにある。

     フッサールは客観性を主観性に還元せねばならないと考えた。私たちはどのようにして、表象の外に出ることなく、例えば富士山がそこに存在することを確信しているのだろうか。私たちの目を表象の外部に向かわせるのではなく、内部(マッハ的光景)に引き戻さないといけない。これを超越論的還元と呼ぶ。
     現象学の肝とは、「対象が私たちの側からの働きかけから独立に存在すると認めることを拒絶するものであり、逆に、対象は(その存在=超越すらも)、私たちのなんらかの働きかけによって成立するということを意味している。」にあるだろう。
     正方形の紙が目の前にあるとして、現出しているのは、平行四辺形である。しかし私たちは現出をこえて現出者としての正方形の紙を認識できるのである。(志向性)
     この諸現出と現出者との関係から成り立つ現象を扱う学問が現象学だ。

     また現象学は、他の学問を前提にしない。諸学問の前提を己自身で解明しようとするものである。

     現象学のアプリオリとは、時世変化しない「ある」であらわされるものである。(3たす3は6であった、とはならない。ある、である)

     経験について、例えば、ドレミというメロディーについて、一音一音を覚えてることを「把持」。つぎにレが来そうだなが「予持」。この把持と予持の中間にあるものが「原印象」と呼ぶ。このように、経験というもののアプリオリを探求していく学問だ。
     ある人にとっては神様の贈り物であり、ある人にはコーラの瓶である。この意味地平の相違について考えるのも現象学だ。

     総合すれば、存在が存在すると考える原理の構築と、現象学的アプリオリを対象から得る作業が、現象学である。厳密に一つ一つ構築していく必要があり、認知心理学とは異なり、さらに原理的で数学的である、むしろ認知心理学ですら現象学の対象となるものであると思う。

  • うー、全然頭に入らなかった・・・哲学の本読むのは割と慣れてきてるのに。。でも、最後の現象学用語集は良かった。わかりやすかった。でも、自分の読解力がないのか本が入門書としてはハードルが高すぎるのか、とにかく頭に残ったものがあまりないので、評価できず。。現象学については、他の入門書でもトライしてみよう・・

  • 個人的にはまだまだ現象学は難しい。哲学的な知見が足りないのでもっとカントやフッサールについて学んだ方が良いと感じたので、いずれ再チャレンジする。

  • これまでも何冊か現象学が登場する本は読んできたがいよいよちゃんと考えたくなってこちらの入門書を。難しいが、わかりやすい。特に「マッハ的光景」の図解は現象学の思考がどこからスタートするのかがこれ以上無い程明確に描かれている。斜視持ちの私としてはむしろ馴染み深くすらある。晴眼者の両眼視の方が現象学的には逸脱した捉え方なんじゃないかというぐらい。まぁそこら辺の視覚的なものについても、認識全般についてもこの本を足がかりに少しずつ勉強を進めて考えていこう。とりあえず今の段階ではやはりカントよりフッサールの方がしっくりくる。

  • 旧版を完読。
    最近何かと現象学関連の本を読むことが多く、理解を深める&再確認のために、入門書であるこの本を選んだが結果は大満足。
    20世紀の思想書(フランス系が特に)を今後読んでいく際、とても励みになる読書体験になりました。

  • フッサールの思索の歩みをていねいに解き明かした本です。とくに、入門書では扱われることの少ない、フッサールの論理学や学問論、ノエマ的意味と基体の分析などについても、立ち入って説明がなされています。

    第2章「現象学の学問論」では、『論理学研究』で提示されたフッサールの諸学問の基礎づけが取り上げられます。フッサールは、論理学的な「表現」が指し示しているものについての理論を「存在論」と呼び、もっぱら言語どうしの結合を考察する部門を「形式存在論」、質料的な本質に関わる部門を「領域存在論」と位置づけました。本書では、こうしたフッサールの学問論が構成されていくプロセスが扱われています。

    『論理学研究』では、諸現出とそれらを媒介してみずからを現わす現出者との関係が解明されました。その後に書かれた『イデーン』では、「現出」が「射影」と呼びかえられたうえで、「射影」が含んでいるさまざまな「ノエマ的意味」と、それらが収斂する「基体」との関係が解明されます。つまり、『論理学研究』ではフッサールの関心は純粋論理学的なものに向けられていたのに対して、『イデーン』では上のような「現象」の構成を明らかにすることが主要な課題とされたのです。著者は、これこそが現象学の中核部分だといい、そのプログラムの中身を分かりやすく解説しています。

    最後に、受動的総合の分析などを含むフッサール晩年の取り組みがとりあげられます。ここで著者は、フッサールの議論を超え出て、フロイトの精神分析学を現象学の観点から基礎づけるという試みをおこないます。フッサールは、理解可能なものが現象する地平を「世界」と名づけました。世界はいつまでも閉じられることなく、他者との出会いを通じてたえず編成されなおされていきます。著者は、そうした理解可能な地平に位置づけることのできない体験が、いつまで経っても過ぎ去ることなく自我に「反復強迫」されるといい、超越論的現象学の観点からフロイトの精神分析が報告する経験的事実の基礎づけを与えようとしています。

  • 現象学の歴史的な役割を、よくわかっていません。
    観察対象の系の中の存在である人間には、見えないものがあるはずです。
    観測できないものを見ようとしているのか、見えるものだけで解決しようとしているのか。

    この本に書いてあるものが、現象学だと、何が嬉しいでしょうか。
    レビューにそれを書いてくださる方がおみえでしたら、よろしくお願いします。

    哲学、現象学というものの入門にはよいと思います。
    欲しいのは入口ではなく、出口ではないでしょうか。
    系の中での観測は、「出口無し」なのでしょうか。

  • こちらも非常に分かりやすい解説本。一冊読めば、フッサールとそれ以降の思想(例えば現象学的社会学とか)が分かった気になる。現象学は現代思想をやる上では避けて通れない道なので、是非一読をお勧めする

  • まぁまぁ読みやすかった。記述が控えめな表現が多い。もう少し別の本で補強した方が楽しいかも。

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