はじめての死海写本 (講談社現代新書)

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  • / ISBN・EAN: 9784061496934

感想・レビュー・書評

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    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/34410

  • 実家にあった本。死海写本を研究者が真面目に解説する本だが、一般向けとしては残念な出来だった。やけに細かい解説をする割に、それが何を意味するのかの説明が無いので、わかった気にもなれない。ウィキペディアの死海文書のページの方がはるかにわかりやすい。マカベア戦争や第一次/二次ユダヤ戦争等の時代背景の説明は勉強になったが、これまたウィキペディアの方がはるかにわかりやすかった。せっかく良いネタなのに調理の腕が悪くてもったいない。
     
    ・「戦いの巻物」にある「すべての陣営とトイレとの間には、約2000キュビト(約880メートル)の距離を置かねばならない」という規定が申命記と似ていると解説している(p124)が、そもそも現代人にはなぜトイレの位置が重要なのか意味不明。「神が離れ去ることのないため」で済ませず背景をちゃんと説明して欲しい。
     
    ・第5章「考古学から見たクムラン遺跡」の最後に「マグネスはクムラン遺跡の詳細かつ念入りな調査研究の結果、そこに居住していた人々の生活が、徹底して反ヘレニズム・ローマ文化的であったことを、明瞭に提示している」と締めているが、反ヘレニズムだと何を意味しているのかわからない。ちゃんと説明して欲しい。
     
    ・第6章「死海写本と旧約聖書の関係」の最後に「クムラン写本の旧約聖書写本においてモーセ五書、とりわけ申命記と、詩編とイザヤ書が突出してその数が多いことが注目される」とあるが、そのことから何が分かるのか。ちゃんと説明して欲しい。

  • 死海写本の内容や考古学的価値について知りたいと思い読んでみたが、よく分からなかった。
    タイトルに反して、初心者向けの本ではない。読者には前提知識として聖書やユダヤ教、キリスト教に関する相当な教養が求められているように思える。(そしてそれほど詳しい人なら恐らくこの本を読む必要はない。)
    文章や構成も分かりにくい上、括弧書きが非常に多くスムーズな読書を妨げる。括弧を外して文を追加したほうが良い箇所もあるが、出典については脚注にしてほしかった。内容の性格上、英数字が頻出する(写本の識別記号、人名や地名、原語のアルファベット表記などなど)ので、本文は横書きのほうがよかったと思う。
    読破するのにかなり骨の折れる本だった。

  • グラント・ジェフリーの本に死海写本とエッセネ派についての章があったので本書が積読状態だったのをを思い出す。

    フォトリーディング&高速リーディング。
    その後、高速を交えて熟読。読了。

    実に基本的な死海写本についての、まじめで誠実なまとめ。キリスト者で且つ歴史好きでないと面白くないかもしれない。私は楽しめた。

    70人訳がなぜ重要なのかも理解できた。死海写本はマソラ本文よりも1000年古い写本ゆえに貴重ではあるが、マソラ本文に違うものはなにひとつない。それゆえに重要ではあるが、それ以上ではなさそうだとの、私の感想。

    ツァドク家とハスモン家について理解できた。キリストの時代には神殿の祭司長はハスモン家の流れ。すでに正当な家系ではなかったようだ。

  • (2014.06.10読了)(2005.12.07購入)
    【6月のテーマ・「聖書の周辺」を読む】
    1946年から1947年にかけて、死海のほとりのいくつかの洞窟から旧約聖書に関連する多数の文書が発見された。書かれた時期は、およそ二千年前ということなので、初期キリスト教の頃と重なるので、書かれている内容に重大な関心が寄せられた。
    キリスト教の始まりについて、今まで知られていなかった、そして、キリスト教徒にとって、知りたくないことが書かれているのではないか、ということです。
    この本には、その辺のことが書かれているのではないかと、野次馬根性で読んでみたのですが、余りセンセーショナルなことは、書かれていません。
    専門的研究者が書いているので、内容が細かい詳細なところに及んでいるようなので、旧約聖書について詳細に内容を把握している人じゃないと、話についていけないような感じです。ユダヤ人の歴史についても、同様です。
    ユダヤ人の歴史について興味があって、すでに初級編は修了しているような方にお勧めです。

    【目次】
    はじめに
    凡例
    第1章 写本発見と公刊への数奇な道
    第2章 死海写本の背景 ヘレニズム・ローマ時代のユダヤ史
    第3章 写本には何が書かれているか
     1 「共同体の規則」
     2 「感謝の詩篇」
     3 「ダマスコ文書」
     4 「戦いの巻物」
     5 「外典創世記」
     6 「ハバクク書註解」
     7 「神殿巻物」
     8 第四洞窟出土の「4QMMT」
    第4章 クムラン宗団の思想
    第5章 考古学から見たクムラン遺跡
    第6章 死海写本と旧約聖書の関係
    第7章 死海写本と新約聖書の関係
    補遺 エッセネ派に関する古代資料
    参考文献・略号表
    人名・固有名詞一覧

    ●「死海文書」を残したのはエッセネ派(91頁)
    クムラン宗団はエッセネ派の中核的な、もっとも厳格な集団であったものと思われる。写本を退避させた後の、宗団の人々の運命は不明であるが、その中には生まれたばかりの原始キリスト教に合流した人々が存在した可能性もある。

    ☆関連図書(既読)
    「死海文書の封印を解く」ベン・ソロモン著、KAWADE夢新書、1998.05.01
    「旧約聖書 創世記」、関根正雄訳、岩波文庫、1956.05.06
    「旧約聖書 出エジプト記」、関根正雄訳、岩波文庫、1969.01.16
    「旧約聖書 ヨブ記」、関根正雄訳、岩波文庫、1971.06.16
    「モーセ」浅野順一著、岩波新書、1977.12.20
    「ヨブ記-その今日への意義-」浅野順一著、岩波新書、1968.10.20
    「旧約聖書を語る」浅野順一著、NHKブックス、1979.09.20
    「旧約聖書入門-光と愛を求めて-」三浦綾子著、カッパ・ブックス、1974.12.20
    「新約聖書入門」三浦綾子著、光文社文庫、1984.11.20
    「イエス・キリストの生涯」三浦綾子著、講談社文庫、1987.11.15
    「聖書物語」山形孝夫著、岩波ジュニア新書、1982.12.17
    「ふしぎなキリスト教」橋爪大三郎・大沢真幸著、講談社現代新書、2011.05.20
    (2014年6月15日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    義の教師、悪の祭司、メシアとは何か?旧約聖書最古の写本の全容をはじめて紹介。

  • 本邦初の「まともな」死海写本の入門書。
    この本では、死海写本の出版に至る過程や、その時代的背景。どんな内容が書かれていて、そのような内容を残した集団とはいったいどんな人々だったのか、そしてその思想をつづる。さらに、考古学的観点から見た文書の価値、旧約聖書との関わり、新約聖書との関わりを解説する。
    おおよそ、死海文書の取っ掛かりを網羅的に解説した本書は、本邦では死海文書の入門書として大きな役割を果たすであろう。

  • ある程度の基礎知識がないと読みこなせないとは思いますが、
    死海写本が見つかった経緯、それが公開されるまでの経緯が載っています。

    旧約学の先生に直接、クムラン写本について質問をしたのですが、あくまでっクムラン写本は、歴史の流れでいえば亜流に近く、主流のキリスト教とは少しことなっている(とはいっても、もちろん本流から離れているわけで、歴史的には意味がある)。

    そのあたりを、なぜクムランという派ができた背景を考えながら読むと、死海写本の本質的な価値が見出せるような気がします。

    ちなみに死海写本は、粘土版ではなく、パピルスででてきたというのは奇跡的なことで、普通は雨が降るところでは腐るのが通例だそうです。その意味では、何重かの偶然の奇跡によって残ったという見方もあるかもしれません。

  • [ 内容 ]
    義の教師、悪の祭司、メシアとは何か?
    旧約聖書最古の写本の全容をはじめて紹介。

    [ 目次 ]
    第1章 写本発見と公刊への数奇な道
    第2章 死海写本の背景―ヘレニズム・ローマ時代のユダヤ史
    第3章 写本には何が書かれているか
    第4章 クムラン宗団の思想
    第5章 考古学から見たクムラン遺跡
    第6章 死海写本と旧約聖書の関係
    第7章 死海写本と新約聖書の関係

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

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著者プロフィール

土岐健治(とき・けんじ)
1945年名古屋市生まれ。一橋大学名誉教授。聖書学。東京神学大学卒業。東京大学大学院西洋古典学博士課程修了。主な著書に『初期ユダヤ教と聖書』(日本基督教団出版局)、『旧約聖書外典偽典概説』『新約聖書ギリシア語初歩』(ともに教文館)、『ヨナのしるし』(一麦出版社)、訳書にO・クルマン『クリスマスの起源』、J・テイラー『西洋古典文学と聖書』(いずれも教文館)などがある。

「2015年 『死海写本 「最古の聖書」を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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