はじめての言語学 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
3.69
  • (55)
  • (99)
  • (97)
  • (10)
  • (7)
本棚登録 : 997
感想 : 102
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 0004061497014

作品紹介・あらすじ

外国語を知りたい、日本語を深めたい-ことばに興味のあるすべての人に贈る、「にぎやかな言語学」への招待。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ゆる言語学ラジオで言語学に興味を持ち読んでみた。
    言語学入門以前という雰囲気で、著者いわく「一つ一つの部屋には入らずに、ドアのところから中を覗いてきたようなもの」である。

    言語学は何ではないかから始まり、軽妙な文体で言語学の各要素を踏み込みすぎず、必要なだけ説明し、わかりやすい例を出しながら進んでいくので、初学者にとってもとっつきやすい。

  • 言語学ときいて心ときめくひと向けの本
    心ときめくということは私と同じく言語学をやることの地味な大変さを知らない言語学素人なので、本書を読んで言語学を体系的に学ぶことの漠然としたイメージを更新しよう。

    本書の良いところはソシュールがどうとかチョムスキーがどうとか、語用論!音韻論!みたいな体系的な説明は一切放棄しているところだと思う。
    安易にわからせた風な感じを出す雑学系の本はよくあるが、本書はそういったアンフェアな態度でなく、むしろ著者自らが体系的な説明には立ち入らないことを明言している。

    私は学問をやるならまず学問史を入口として、その学問の発展、展開を通じて思考のプロセスやテーマを掴むことで前提を共有するのが大事だという持論をもっていて、他の本のレビューでも主張しているのだが、そういった歴史的な縦の展開は、何をその学問が対象としているかという横の範囲が定まっていることが前提として必要になる。
    本書は、そういった言語学の中身ではない外枠を示すことで、言語学の入口まで連れていってくれる。この点で入門書というより啓蒙書のような導入として優れていると思う。神学と宗教学の区別がつかない人や、語学と言語学の違いを理解していないひとはどうやらこのレビュー欄にもいるようだし、こういう態度は大事だろう。社会科学は特にここを共有しないと議論が噛み合わなくなる。

    こういう本は案外少ないように思う。中身に触れずにその学問を面白く説明するのは難しいから仕方ない。
    この本は、「言語学でいうことばとは何か」とか、「言語学ではこういう意味でこの語を使う」とか、きっちりと言語学のルールを示しつつ、ポップでシニカルな語り口でその難しさを乗り越えていて、単純に読み物として面白い。

    そして学問的な態度がよく表れているのもよい。本書では、「言語学は美しいことばというような価値判断はしない」とか「言語学はどのことばが優れているという価値には立ち入らない」というように、言語という社会的な現象を解明するのが言語学であり、価値判断はテーマでないことに度々言及する。
    価値というのは宗教であり、学問(科学)ではない。これは学問をやっていれば大前提になるが、学問の入口まで導く「はじめて」の一冊としてちゃんと示してあるというのは大事なことではないかと思う。

    ただ、さらに学びたい人のためにと勧められている本がけっこう古かったりするのが唯一残念だった。
    学問的にあまり過去の内容が更新されないのだろうか。そのあたりも言及してくれると安心してその本も購入できたのだが。

  • 言語学について知りたくて、「言語学」をキーワードにしてGoogle検索して見つけた本。
    言語学とはどういうものかを、とてもやさしく説明している。まず最初に、言語学を専門にしていない人が抱く言語学のイメージを一つ一つ否定していく。そして、じゃあ、言語学ってなんなんだ?と疑問を持ち始めた頃に、少しずつ具体的な言語学の世界へ導いてくれる。
    「音」について。世界にはいろんな言語があり、各言語特有の音(発音)があり、それはほぼ日本語や英語などのヨーロッパ言語の一部しか知らない私にとっては非常に興味深いものだった。特に、アフリカで話されている「コサ語」についてはどうしても聞いてみたくなり、youtubeで検索して実際に音を聞いてみた。新しい世界が開けたような気がした。
    その他、「文法」、「分類」についてもとても興味深く、言語学についてますます興味が湧いてきた。

  •  言語学というよくわからない学問をできるだけ分かりやすく書いた本である。日本語なり英語なりの学問と言えば語学としてはなじみがあってイメージしやすい。ところが言語学となると果たして何を扱う学問であるのかが分かりにくい。何を目的としてどのようなことを行う学問なのかのイメージが湧かないのである。
     本書ではソシュールやチョムスキーといった言語学の大家の論をさりげなく紹介し、それがどのように言語学の世界で使われているのかを具体例に沿って述べている。私は他の本でいきなりこれらの言説に触れて面食らったことがあるが、はじめにこちらを読むべきであった。
     言語学にまつわる誤解に触れた章もおもしろい。たとえば言語に美醜はないとか、言葉の乱れや方言に関する世間の考え方と言語学上の判断とは別のものであることなどは興味深い指摘である。
     大学の先生の話を研究室でうかがうような気楽な文体は「はじめての」学習者には優しい。学生時代に戻りたくなるような気持ちになった。

  •  言語学の入口。そもそも言語学は何を扱うのかという大前提から、言語学の歴史、言語学の諸分野が、具体例と共に、ユーモアを交えて分かりやすく書かれている。ここから興味のある分野を深められるように、参考文献も付されている。

     極力専門用語が避けられているので、何もわからない人でも読み通せると思う。反面、もし言語学をかじったことがある人にはちょっともどかしさもあるかもしれないが、用語として何となく入っているものと知識との紐つけができるかもしれない。

     ことばは、時としてとんでもない科学・偏見がまかり通ってしまうことがあるが、そういうものにもしっかり警鐘を鳴らす。
     
     「言語学」を学問として学ぶ人だけでなく、「ことばに興味がある」人に、ぜひ読んでいただきたい1冊。

     色々心に残ることばはあったけどその中でも
    「大切なのは似ていることではない。規則正しい対応なのだ」(p.185)という言葉に射抜かれました。
     

  • 挙げられている本をチェックすること。

  • 世界中の人が同じ言語を話せば便利なんだろうけれど、そうではない世界の方になったことを楽しめたら。

  • 言葉や言語に興味はあったものの、膨大な書物のなかから自分に合った入門書が分からず迷っていました。
    『はじめての言語学』は文字通り、初心者にぴったりの一冊です。
    自分の言語への理解度の浅さや無意識の偏見を気づかせてくれて、だけどお説教くさくはなく、全体的に軽快な読み心地です。難しい専門用語、個人的にとても苦手な図や表もなく、たのしく読めました。
    著者の黒田さんの言語への姿勢や好奇心、行動力などは、母語を含む多言語を学習している身として、参考にしたいです。

  • 黒田さんは、私にとってはNHKのロシア語講座の先生。
    その黒田先生の、大学1年向けの言語学概論といったら、きっとこんな感じなのかなあ、と思いながら読む。
    前期分の授業という感じかしらね。
    だって、こんな風なんだから。

    第一章。
    一般人の「言語学」に対する思い込みに反論する。
    第二章。
    言語とは何か。
    第三章。
    音声学。
    第四章。
    文法論と意味論。
    第五章。
    言語のバラエティ。比較言語学、方言。

    語り口は平易。
    比較言語学と対象言語学の違いなんて、一言である。
    おお、初めて知った!と思ったら、よく考えたら、私も大学生の頃、日本語教師の検定をとったときに、たしかやったな、と後になって思い出した。
    いや、そんな自分のぐだぐだっぷりはよいとして、本当に分かりやすい。
    名講義と言っていい。

    それから、本書の魅力は、やはりいろいろな言語の事例が出てくることだろうか。
    「言葉好き」の黒田先生の面目躍如たるところ。

    もっとも、この先生、試験は厳しいのかもしれないな。
    この本を読んでいるだけなら、安全だけどね。

  • 言語学の「第一歩」を知りたい人にお勧めの書籍。文体も読み易く、例示も具体的なためスターターキットとしてうってつけだと思う。そのため各自で深掘りをしないといけない説もある

全102件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年、東京生まれ。上智大学外国語学部ロシア語学科卒業。東京大学大学院修了。スラヴ語学専攻。現在、神田外語大学特任教授、神戸市外国語大学客員教授。

「2023年 『外国語の遊園地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

黒田龍之助の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
綿矢 りさ
ウィトゲンシュタ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×