日本史の考え方 河合塾イシカワの東大合格講座!

著者 :
  • 講談社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061497023

作品紹介・あらすじ

もう論述も怖くない スーパー講師が極意を公開!
ポイントは「1853ペリー来航」
これが日本史のツボだ!!

日本史は「ペリー来航」を境に分けて考えよ! 本質が明快に見えてくる特別講義。

感想・レビュー・書評

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  • 天武天皇と明治天皇をキーパーソンに、日本史を大きく二つの時期に分けて対比して日本の歴史を読み解いた本。

    「日本」という国がどのように成立していったのか。これについて、天武天皇を中心とした時期(古代)と明治天皇を中心とした時期(近代)を対比しながら解明を試みています。

    副題に「合格講座」と銘打っていますが、受験対策的な話はほとんどありません(東大の過去問を解説する項目はあります)。

    本書の論説を通して、受験対策的なものではない「歴史を学ぶことの本質」を知ることができます。

  • 日本史をペリー来航とそれ以前の2期に区分し、2つの時期の共通項を対比しつつ考えると、その共通点は「神」としての「天皇」の出現とこれに伴う「帝国」日本の成立であると考えられる。東大の2次試験の論述問題も交えながら解説していく。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file7/naiyou26802.html

  • できれば、高校生のときに読みたかったですね。
     ※高校生のときには発刊されてなかったので、無理ですが…。

    こんな感じで日本史を教わっていたら、もっと楽しく勉強できたはず。
    歴史は、出来事の羅列を覚えるだけの科目じゃないはずなので。

  • 現在と過去が繋がっているという、まさに歴史を学ぶ意義を問う快書。単純に流れとして捉えるのではなく、二つの時期を対比すること。神としての天皇のもとで帝国としての日本は形を整えていった。中華思想を現代ではどう追及していけば良いのか。歴史に学ぶしかないのであろう。

  • 天武天皇、明治天皇の時代を主軸に日本をみつめている。
    それは外圧に対して相手の体制を導入して対抗する日本の姿であった。

    東大合格講座とあるが、内容は受験用というわけではない。
    だが、学説を突き付けたり自己の展開を強く押し付けるのではなく、あくまで教育という立場でまとめているためか、非常に読みやすかった

    印象的なエピソードとして。。。
    明治の初代文部大臣が日本語を捨てて英語を日本人の言葉にしようという発言があったという点。。これを当時の異常さと考えるか。だが、江戸時代まで日本では漢文が教養の一つとして重きをもたれ公用語であった。
    日本独自の言葉が活用されているにもかかわらず漢文を使い続けた点には注目してよいように思える。

    これを読むと日本の歴史には中国、朝鮮の存在が常にあったという事や北海道、沖縄が日本にとってどういう位置づけなのかを振り返るきっかけになると思う。そして日本のダブルスタンダード、トリプルスタンダードな姿勢。全ての背景にある天皇という存在。これらが何なのかを問いかけていきたくなる

  •  東大云々と書かれているが、それ以外の学習にも活用できる。著者の入試問題の分析を基盤に、それに近年の歴史研究の成果を踏まえながら、とくに日本史全体を貫く外交とそれに付随する国制について述べている。具体的には「華夷秩序」の話が中心。日本が東アジア外交秩序の中でその「思想」も含め、どのように「振る舞ったのか」が描かれていて、初学者には大変分かりやすいと感じた。もちろん議論のレベルはダイナミックなので、個別の歴史事象の世界では著者の主張(分析)に含まれない歴史事実もあり、批判も受ける部分はあるだろうが、少なくとも入試問題(ことに東大)に立脚する限り、著者の「まとめ」は議論の深みや内容について大きな逸脱はしていないと私は感じた。東大の過去問などを観ていると、歴史学研究の俎上にある研究課題や成果が早々と問題になっている。しかし一方で、受験生の多くは山川出版社『詳説日本史』などを介し学習しているわけであり、授業もそうであり(私もその1人)、教科書の制約上、大胆な議論は掲載されることは少なく、その情報を肌身で感じるには教員の話題や自己収集による文献調査などをしなく、しかもこれらの情報を間断なく入手するのは難しい(受験生は日本史だけを勉強しているわけでもない)そういった意味で、本書は冒険に満ちた著作ではあり、日々更新される歴史学の研究成果を考えるといずれは本書の「価値」も低下してくる日もあるだろうが、現段階においては、大変「ありがたい」1冊になると感じつつ読んでいる。今でも時折、よく開く1冊である。続編が出ればいいなと感じている。

  • 日本史を二期に分け、その通底する特徴から『日本』という国を解き明かそうという試みのもとに書かれた、いわば日本史”読解”書。
    夏ごろに「希少本・復刊本フェア」として書店に並んでたのを思わず手に取り放置していたが、自分の中で「日本(史)」について考えることが多くなり、ようやく手をつけた。

    大筋としては、日本は天武朝期に、中国という大国の外圧と支配秩序の構築に伴う内乱の中で、天皇を「神」として戴き、異国を支配下に置く「帝国」としての形を整えた。そして、この展開は、外圧をもたらす大国が中国に西欧に変わりつつ、明治以降も繰り返された、ということ。
    究極には、このような論理に支えられて存続してきたのが真の「日本」の姿だという主張である。

    歴史というのは多様な見方があり、どの説も多くの説のうちのひとつに過ぎないということは念頭に置いた上で、本書の説はなかなかおもしろいと(あくまでわたしは)思う。たいへん短い書だし、論証に関して口をはさめばきりがない部分はあるかと思うが、「ひとつの見方」としてアリかと思われる。
    「(日本という国の)歴史の循環性」や「日本の歴史に外圧が及ぼした役割」などについて、本を読んだり話を聞いたりしながらわたしがぽつぽつと考えていたことに、かなり沿ったとらえ方であった。

    ひとつ、批判を覚悟でここで指摘してみようかと思うのは、先ほどあげた「このような論理」に、日本は「支えられて」存在してきたことはおろか、むしろ「このような論理」の「限り」でしか存在していないのではないか、ということである。
    日本がどのように成立し(というよりは構築され)、ここまで至ったかを見るときに、「外圧」、もっと広くいえば「外国」であり「”日本的”でないもの」が果たした役割に着目することで、日本人のナショナル・アイデンティティーの深層がより深く現前するのではないかと感じるのである。

  • [ 内容 ]
    日本史は「ペリー来航」を境に分けて考えよ!
    本質が明快に見えてくる特別講義。

    [ 目次 ]
    第1章 「日本」以前の日本史
    第2章 「日本」誕生
    第3章 帝国「日本」の虚実
    第4章 「帝国」の再生
    第5章 よみがえる古代としての明治
    第6章 今もまだまだ江戸時代
    第7章 「帝国」のゆくえ

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 著者は有名塾講師。タイトルは「東大合格講座」だが、個人的に内容は東大受験生は既に理解してるはず。天武朝期と明治期の共通性もわからんでもないが、新書でコンパクトにまとめるには些か無理がある印象を受けた。兎も角、受験生は本を読むこと。

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著者プロフィール

河合塾で東大・一橋大・早慶大などの難関大学講座を担当する。河合塾日本史科の中心的存在。楽しいが緊張感をともなう授業で生徒からの絶大な支持を得ている。著書は『石川日本史B講義の実況中継』(全4冊,語学春秋社),『MYBEST よくわかる日本史』(共著,学習研究社),『日本史 標準問題精講[五訂版]』(旺文社),『日本史の考え方』(講談社現代新書)など多数。サテライト講座のパイオニアでもあり,現在はマナビス講座の開発にも取り組んでいる。

「2021年 『一問一答 日本史 ターゲット 4000』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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