- Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061497030
作品紹介・あらすじ
ロリコンまんがの誕生、岡田有希子の自死、キャラクター産業の隆盛、都市伝説ブーム、フェミニズムの隘路。現代日本社会の起源を探る試み。
感想・レビュー・書評
-
大塚英志「おたくの精神史 一九八〇年代論」を読みました。前回読んだときは、素直に感嘆した記憶があります。今回は、違和感を覚えました。UWFを例に考えてみましょう。プロレスは、八百長なのか、真剣勝負なのかという論議があります。プロレスファンを含めて、世間は、プロレスを真剣勝負とみなしていません。それに対して、UWFは、新日本、全日本等の既存のプロレス団体のおこなうプロレスは八百長だが、UWFのプロレスは真剣勝負だと主張して、一世風靡しました。それに対して、著者は、UWFの試合を観戦して、真剣勝負なのだろうかという違和感を持ったそうです。さらに、前田日明の演説を冷やかに見つめるプロレス記者の姿を描写しています。本来、プロレスは、実(真剣勝負)と虚(八百長)の境界にあるものであり、既存のプロレス団体のプロレスは、あまりにも虚に傾きすぎていた。 UWFは、プロレスの本来あるべき場所へのゆり戻しに過ぎない。つまり、UWFも、虚と実の境界線にあり、真剣勝負ではない。この主張自体は、正しいと思います。しかし、叙述は、本来、観戦した試合の展開に即した形で、おこなうべきです。この技は、事前の打ち合わせがなければ決まらないとか、この技は、シュートだとかを説明しなければなりません。そのような記述がないので、わかりにくいです。他の章も、具体的記述が乏しいところが共通しています。独りよがりな文章です。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2022/10/13読了。
-
非常に中身の濃い本でした。
80年代のカルチャーは年齢の割にはかじっている方ですが、やはりリアルタイムで体験した方の話を聞くとまだまだ知らないことだらけです。
政治や哲学などの高度な内容も含んでいるため、二割くらいはわからなかったところもあります。
宮崎勤、オウムの事件などの考察は、特に前者の事件に深く関わった方の意見として貴重だと思います。 -
2004年12月15日、4版、並、カバスレ、帯無し。
2014年7月1日、津BF。 -
ある現象を解こうとすると現れる時代性と連続性。
この著者が常に「成熟」を指向していることが、各論に説得力を与えている。 -
この著者のような生き方(つまりすべてにおいて非正規的な)を可能にしたのがこの時代だった。
絶対者(ならびにイデオロギー)と均質的大衆という構図は、商品的価値の消費に還元され、もはや本質的個性というものは相対の中に埋没し、事件だけが突出した。
メイン、サブを問わずカルチャーとは無縁の生活を送っていた身としても、失われた20年(30年)を振り返るのは感慨深い。
本当に歴史は終焉してしまったのかもしれない。 -
「それらの自作自演の宗教はやがてオウムというサブカルチャー宗教に回収されていくことになるのだけれど、僕がその思いつきに一人で悦に入っていた「宗教コミック」は14歳の徳島の女の子に届く質のものではなかった」 ー 282ページ
実際のところ、彼の指している「自作自演の宗教」=個人化した宗教(特に女性を対象とした)はオウムというサブカルチャー宗教には回収されず、そのあとスピだのなんだのに展開されていっているような気もするけど、宗教コミックは確かにおもしろいと思う。これから来る宗教コミックというのはどういった類のものだろうか。 -
300 芳林堂
-
請求記号・361.5/Ot 資料ID・310003133
著者プロフィール
大塚英志の作品





