- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061497078
作品紹介・あらすじ
大東亜戦争敗戦の真因は組識と教育だった。統帥権独立のため創設された参謀本部が権力闘争の具と化し、参謀養成のための陸軍大学校が教育方針を誤まったことで破滅した日本軍の絶望的な内実を克明に追う。(講談社現代新書)
感想・レビュー・書評
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なぜ日本は無謀だとわかっていた太平洋戦争を開始してしまったのか?
内閣と陸軍の分裂、陸軍と海軍の分裂、参謀本部と陸軍省の並列関係、陸大の「総力戦」学軽視、という組織や教育の側面から説明した力作。
戦前の軍の状況はあまり知られていないが、首相は大本営メンバーではなかった、陸軍大臣は参謀本部長よりも格下だったなど、意外な事実を学ぶことができた。戦前の軍組織の関係を知らなければ、当時の意思決定を正しく知ることはできないはず。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
参謀本部、陸軍大学校、とちらも名前は聞いたことあるけどよく知らないってところ。
明治維新の勢い冷めやらぬ日清日露あたりまでは、組織の構成に不備があっても属人的な力で上手く回っていたものが、落ち着いて制度ができる頃から秀才は輩出されるんやけど大局を見る人財がいない、育てられない。簡単に歴史は繰り返すとか言うのも良くないけど、結局戦後日本も勢いのある高度成長期まで、落ち着いて来たはずなのに勢いがなくなるバブル崩壊後、いつか来た道感がもの哀しい。 -
山県有朋の参謀本部◆幻となった統合参謀本部◆陸軍大学校とメッケル◆参謀本部の初陣-日清戦争◆問われた陸大の真価-日露戦争◆衝撃と迷走-第一次世界大戦◆石原莞爾の挫折-日中戦争◆組織が生んだ狂気-大東亜戦争
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「なぜ無謀な戦争に走ったのか」がわかれば、将来「無謀な戦争に走らずに済む」わけではないような気がしてきた一冊。
新書サイズにも関わらず、陸軍大学校と世界大戦の関係をきっちりと時系で説明できていて著者の知性というかドヤ顔が伺える。
陸軍大学校の創立から消滅まで、敗戦の一因としての立ち位置を新書レベルで克明に書かれている。例えば学校の卒業者が受けた教育の内容が貧弱だったために、第一次大戦において陸軍は「欧州に派兵しない(したくない)」という結論に至ってしまったのだが、これが無残な結果を招くことが予想できなかったなどなど。また共産化を防ぐという目的を離れて中国大陸で戦闘を初めてしまう暴走ぶりなど、どう考えても幼稚で痛々しく時代遅れの知識が背景にあることがよくわかった。
「戦争はんたーい」と叫んでいれば戦争に「巻き込まれない」なんて幼稚に考えてると、また「敗戦」するかもね。 -
新書文庫
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[ 内容 ]
日露戦争に勝利した新興国家はなぜ破綻したのか。
組織の欠陥と無定見な教育に敗戦の真因を見出す新史観。
[ 目次 ]
第1章 山県有朋の参謀本部
第2章 幻となった統合参謀本部
第3章 陸軍大学校とメッケル
第4章 参謀本部の初陣―日清戦争
第5章 問われた陸大の真価―日露戦争
第6章 衝撃と迷走―第一次世界大戦
第7章 石原莞爾の挫折―日中戦争
第8章 組織が生んだ狂気―大東亜戦争
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
日本はなぜ太平洋戦争へと突き進んでいったのか?陸軍、関東軍の暴走というのはよく言われている。ではなぜ陸軍がそうなってしまったのかを、陸軍の士官を養成する陸大の教育の分野から問い直している。その対象は広く、陸大・参謀本部の成り立ち、関係性や海軍、政府との関係について詳細に説明されている。また私が今まで勉強して来なかっただけだが、太平洋戦争に至るまでの動きが細かく書かれていたので、勉強になった。
人材教育の重要性と難しさは企業や現在の義務教育の場面にも当てはまると思った。また何を教えるかとはどんな人材を作るかであり、それは数十年後の日本や世界のビジョンをきちんと描かれていなければならず、今の日本にも不足している点だと思った。 -
メモ:上原 勇作,福田 雅太郎,武藤 信義らの主張;海戦初頭の短期決戦で戦争目的を達成するための常備兵力と,それを可能にする初期動員の即応性を重視し,兵器の質・量の劣勢を精神力などの無形的要素によって補うというもの.昭和8(1933) 時点.p.179
メモ:吉田 善吾海相の報告;海軍が実施した対米図上演習の結果,仮に蘭印の資源地帯を占領しても,海上交通線が確保出来ないため,蘭印攻略は無意味.昭和15(1940)時点.p.228
黒野耐の作品





